リピート/リセット

読んだ本の感想。

以下、ネタバレ含む。

同じようにタイムスリップする物語だけれど、男女の違いが感じられた。

「リピート」の方が面白いと思う。

リピート
乾くるみ著。2007年11月10日 第1刷。



1991年10月31日?から1991年1月13日にタイムスリップする話。記憶が10ヶ月前の自らの肉体に憑依する。

世界をシステムによって捉えようとする人々が多く登場し、SF小説を参考にして金儲けを目論んだり、法則を探ろうとする。

登場人物達が逆襲される事を考えないで他人を騙そうとしたり、安易に妊娠させる事に違和感があった。

読んでいて篠崎鮎美の子は、毛利圭介との子ではないように思えた。時間遡行直後に肉体関係を持って妊娠、再度の時間遡行を拒否、髪を切る行為等が伏線だったのではないか?乾先生の作品に偶に登場する自分は浮気するけど、男の浮気は許さない女達?

【登場人物】
風間元春:
33歳の元自衛官。ヘリコプーター操縦中に時間を遡る事が出来るオーロラを発見し、同じ10ヶ月を10回繰り返している。本来であれば死ぬ人間を当人に気付かれぬように助け、自分と同じように時間を遡らせて、死んでいく様を観察している。大森に殺される。

毛利圭介:
主人公。文学部の大学四年生。少林拳同好会所属。本来は別れた恋人の町田由子に殺されるはずだった。再度の時間遡行に成功するも、転ぶのを堪えたために車道にはみ出して自動車に轢かれて死ぬ。

池田信高:
ゴルフのレッスンプロ。風間の仲間で、同じ10ヶ月を10回繰り返している。終盤で天童に殺される。

篠崎鮎美:
24歳。毛利圭介と恋愛関係になり妊娠するが、自宅にヘリコプターが墜落して死ぬ。

大森雅志:
日浄化成バイオ・ケミカル研究所主任。自分を操作しようとする風間を殺害するが、池田に殺される。

天童太郎:
身長190㎝。シナリオライター。自らを操作しようとした復讐に、時間遡行前に池田信高を置き去りにしようとするが相打ちになる形で死ぬ。

高橋和彦:
トラック運転手。時間遡行直後にトラック運転に失敗して死ぬ。

郷原俊樹:
郷原建機社長。狂った元警察官の麻生正義に殺害される。

坪井要:
大学一年生。タイムスリップして東京大学入試に合格しようとする。麻生正義に殺害される。

横沢洋:
45歳。倉田ファイナンス経理部人事課長。自宅が放火されて死ぬ。

P334~P335:
自分の感情ばかり優先させて、相手であるオレの気持ちなんてこれっぽちも構わずに、それ愛してるとかって平気で言う。相手に迷惑をかけておきながら、何が愛してるだ

P414:
他に誰もいなくなりゃ、自分が予言してみせたり、誰を助けるとか助けねえとか決めれる立場に立てるわけだ。要するに神様の立場だ。神様はひとりしかいねえからこそ有難いもんだ。一神教の神様になりてえんだよ

リセット
垣谷美雨著。2010年12月19日 第1刷発行。



2007年から1977年にタイムスリップする話。

「リピート」と読み比べて感じる最大の違和感は、経済的に困窮しているはずの主人公達が投資や賭博で儲けようとしない事。

女優とか結婚に夢を見ているけど、任天堂やセブンイレブンの株式を購入した方が良かったのでは?女性の権利とかに拘るけれど、作者自身が、女性は男性の性欲によって守られていると思っているから、このような展開になるのではないか?

自らに性的魅力が無ければ、男と同じように扱われるが、それは許容出来ない。男に働かせて自分は楽をしたいように読めてしまう。

「私は性欲だけの為に求められている訳じゃない!もっと尊く深い絆によって無条件に愛されるべき存在なのよ!」

終盤になって香山知子の長男が実はニートだった事になって叱責され、47歳のはずの主人公達に恋人が出来る展開に闇を感じた。お前ら、男に誠実を求めておいて、自分は浮気するんかい。

【登場人物】
香山知子:
一度目の人生では主婦をしているが、二度目の人生では女優を目指す。淫靡なイメージの女優になった自分に嫌気がさし、15年目で最初の47歳の自分に戻る。

黒川薫:
システム会社で副部長をしている未婚女性。二度目の人生で香山浩之と結婚するが、結婚生活が上手くいかずに、15年目で最初の47歳の自分に戻る。

赤坂晴美:
困窮した女性。二度目の人生では清令寺龍彦と結婚するが、子供を愛する事が出来ずに、15年目で最初の47歳の自分に戻る。

P223:
男性よりも劣るふりを年がら年中演技しなければならないのだ。そんなことはプライドが許さない。だって実際、劣っていないのだから

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賢者の贈り物

読んだ本の感想。

石持浅海著。2008年4月7日 第1版第1刷発行。



磯風(イソップ?)という女性が出てくる短編集。

金の携帯 銀の携帯
故障した携帯電話の代替機として、①今使用している機種、②最新機種(五千円がチャージされている)、③最新機種(五万円がチャージされている)を提示される。

五千円を加える事で、金を「貰う、貰わない」の選択が、「少し貰う、沢山貰う」の選択肢に変化するため、五万円の端末を提示する違和感を低下させる事が出来る。欠陥のある携帯電話を密かに回収しようとしている可能性。

ガラスの靴
後輩の須藤の家に靴を忘れた女性を推理する。

①尾上(姉御肌)、②鎌田(無口)、③国枝(自爆人間)

後で須藤の家に引き返す口実として靴を意図的に忘れたが、酔ったためにタクシーの中で眠って自宅に到着してしまった可能性。失敗を言い出せない性格の鎌田が靴を忘れたと推理し、二年後、須藤と鎌田は結婚する。

最も大きな掌
パームリサーチ社長の関本が体調不良により、社長を退任する。次期社長として、『最も大きな掌を持つ人物』を据えると言った。①大久保(プログラマー)、②矢島(証券会社から転職したお目付け役)、③近藤(MBA)が候補。

関本の意図は、一時的に身を退いて、各人の役割を明確にしてから社長に復帰するものと判断。短期的には会社を管理出来るだろう矢島を社長にするが、関本の体調不良が長引いたため、二年後にバームリサーチは倒産する。

可食性手紙
オブラートでカンニングペーパーを作った女学生が、クラスメイトの仲野のカンニングペーパーが自分のカンニングペーパーに紛れている事に気付く。きちんと読む前にカンニングペーパーを食べてしまったため、テスト中に理由を推理する。

苦手科目の日本史でカンニングペーパーを使用するのは良くないと判断し、嘘のカンニングペーパーをすり替えたらしい。

賢者の贈り物
フィルムカメラを持っていないのに、妻からフィルムを贈られた男の話。フィルムカメラの方が被写体に感情移入出来るとして、妻が懐妊した可能性を指摘される。

玉手箱
磯風から、平たい紙箱を渡された男の話。「この箱を開けてしまったら、もう二度とあなたとは会えなくなるでしょう」。売春の証拠写真や、誘拐の身代金の可能性を考える。

泡となって消える前に
28歳の藤原が、自らについて語らない彼女について相談をする。学生時代に沖縄の民宿で会った小学生の少女の可能性。強制的に思い出させるのでなく、自然に想起させたかった可能性。

経文を書く
高級ワインを買い漁る安井に関する相談。ワインを買いに行く前日に大量の酒を飲ませ、二日酔いにして、自然とワインを嫌いになるようにする。

最後のひと目盛り
失恋して過食症になった漫画サークル所属の女子大生の話。

現在58kgで、60kgまで太ったら漫画と縁を切るという主人公に対し、同じサークルの布部が二kgのビールを飲ませ、体重が簡単に増減する事を知らせ、漫画サークルに残留させる。

木に登る
ベンチャー企業KHSが開発したテーシー(テーストエンハンサーC、低カロリー食品の味を良くする物質)が危険であるという情報を入手した会社員が、ボリビアに出張中の同期社員 村田(KHSの株式を大量に購入している)に情報を伝えようとして上手くいかない。

結局、村田は出張前にKHSの株式を全て売却していた事が明らかになる。

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始皇帝

読んだ本の感想。

塚本靑史著。印刷 2006年8月15日。



以下は、Wikipediaの『始皇帝』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%8B%E7%9A%87%E5%B8%9D

皇帝として中華を統一するも、不老不死を求めるようになって堕落する様を描く。

P14:
趙の王族がいた。彼こそ、平原君(趙勝)である。世に戦国四君と呼ばれる、信義と侠気を尊んで政に参画した人徳者が、当時民衆の崇敬を集めていた。彼の他に、斉の孟嘗君(田文)、魏の信陵君(魏無忌)、楚の春申君(黄歇)らがそれである

P86:
社交での、表面的な人当りの良さを演出するには、人の悪さよりも『善』を装う方が評判もよくなる
(中略)
男たちには社会で生き延びる術が必要なため、性悪説の方が人気を博したのだ
(中略)
法家主義とは、規則や法律で社会生活の総てを縛って統制する考え方である。法家に大きく作用したのは、人の生れつきを性善説で理解するよりも、性悪説での説得力だった

P138~P141:
中原(洛陽を中心とした、黄河流域)で秦に対抗する軍勢が編成
(中略)
関中(函谷関の内側の意で、咸陽を中心とした渭水盆地を指す)への退却を余儀なくされている
(中略)
函谷関が、中原側からは地形的に占領しにくい構造になっていると、充分知っていたからだ。関所は、背後に控える秦の領土を頂上にした、斜面の中程に構えているのだ。だから、そんな所へ仰向きの陣を構えても、秦が大軍で俯瞰しながら攻めてくれば、あっさり陥落してしまう

P163~P164:
「涇水から落水へ至る運河を、開設させていただきたいのです」
渭水盆地は、南方の秦嶺山脈からの雪解け水で渭水以南は肥沃であるが、北方は荒れ地が拡がっていた。鄭国が言う二つの川は、北方から渭水へ注ぐ支流である。双方をつなげれば、確かに現在やや塩っぽい土地も穀物が育つだろう

P193:
孔子は『論語』で、人の分と生きるべき道を示しました。また、『春秋(魯国の年代記)』を著して、後の世の範例といたしました。現在は、それ以上に価値観が多様化いたしております。そこで国家の指標とすべき思想を創りださねばなりませぬ

P332:
この世界は、咸陽を中心として、拡がればその地に群を置き、また中は県に分割すること。それ以外は、一切認めぬ

P391:
考え方も、国家同様に、郡県制のごとく統一いたしましょう
(中略)
まず、史官(公文書などの記録や保管係)の所蔵している書籍の内、秦の基準に合わない物は、ことごとく焼き払いましょう

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七月に流れる花/八月は冷たい城

読んだ本の感想。

恩田陸著。2016年12月19日 第一刷発行。

以下、ネタバレ含む。

〇緑色感冒
全身が緑色になって死ぬ病気。インフルエンザと似ており、体が緑色にならない内は感染率が弱く、感染しても重篤化しない。緑色感冒の患者達には、緑色感冒で死んだ人間の肉を食べる風習があり?、食べた方は食べられた方の記憶も引き継ぐらしい。

〇夏流城の林間学校
緑色感冒に感染して死ぬ寸前の患者の子供達を林間学校として、施設近くの城に住まわせ、シェルター越しに子供に合わせる。国内で緑色感冒にて死ぬ患者が発生すると川に花を流す(白が男で赤が女)。

七月に流れる花



【登場人物】
大木ミチル:
主人公。中学一年生。

佐藤蘇芳:
中学一年生。両親が緑色感冒で亡くなる。

斉木加奈:
中学二年生。背が高く短髪。怜悧な印象。バレーボールの選手だったが膝を故障している。

稲垣孝子:
中学二年生。茶髪で色白。将棋が趣味。

塚田憲子:
中学二年生。眼鏡をかけたおかっぱ。

辰巳亜季代:
中学三年生。私立ミッション系の学校に通う。林間学校の最中に脳腫瘍で死ぬ。

八月は冷たい城



【登場人物】
嘉納光彦:
主人公。中学一年生。佐藤蘇芳の知り合い。

大橋卓也:
主人公の幼馴染。

丹羽幸正:
小柄。自分の親の死を認められず、殺人に見せ掛けた自殺を行おうとする。

唯野耕介:
大柄で間延びした話し方をする。

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雨の日も神様と相撲を

読んだ本の感想。

城平京著。2016年1月18日 第1刷発行。



主人公がとても嫌な奴になっている。作者も気付いていて、相撲を辞めたいはずの主人公が、周囲に蘊蓄を披露し、ヨイショされる矛盾を説明しようとしている(P181~P182)。

終盤で遠泉真夏と相撲をして、怪力や蛙神と話す能力を手にする展開や、乾理恵子殺人事件(他殺に見せかけて生命保険を夫に渡す)は余計な挿話だと思う。

久々留木村:
米作りと相撲が盛んな村。蛙神の加護により不作知らず。蛙神は一定以下の大きさの蛙に憑依する寄生生命体で、一度憑依すると依り代の蛙が死ぬまで離れられない。蛙神は繁殖力が弱く、1000体ほどが久々留木村で暮らす。

【登場人物】
逢沢文季:
主人公。中学三年生。150㎝に満たない低身長だが、幼少期から相撲を習っており、分析に定評がある。両親が死んだ事で、久々留木村の叔父(浅沼悟:34歳)に引き取られ、蛙の神様に相撲を教える事になる。

遠泉真夏:
中学二年生。遠泉神社の長女で、蛙神の加護により怪力を持つ。逢沢文季に一目惚れしており、逢沢文季に蛙の神様達の相撲を監督させ知り合いになる。逢沢文季に相撲で負けたため、怪力を失う。

P73:
強い相撲の姿勢っていうのはもともと不自然で窮屈なものなんだ。だから意識しないと楽しようと崩れてしまう

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