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魚舟・獣舟

読んだ本の感想。

上田早夕里著。2009年1月20日 初版1刷発行。



魚舟・獣舟
世界の多くが水没した未来世界が舞台。この世界では、人間が妊娠すると必ず双子を産み、片方は人型だが、もう片方は魚形で産まれる。魚型の子が育つと、兄弟と「操舵者と舟」の関係を結ぶ。

操舵者を持たない魚舟は、獣舟と呼ばれ、上陸しようとする。主人公は獣舟の上陸を阻止する任務を実行していたが、獣舟は攻撃されると体内から分身を放出するよう進化してしまった。

くさびらの道
寄生茸に体を食い尽くされるオーリ症が蔓延する日本が舞台。寄生茸は、感染者が死亡して一日以上が経過すると、大気中に揮発性の化学物質を放出し、人間に幽霊を見せる。

製薬会社に勤務している高野は、死亡した妹の絵里花と結婚するつもりだった三村雄司とオーリ症蔓延地帯に行き、父母妹の死体と幽霊を見る。

饗応
人工知性体 貴幸が、軍事衝突のニュースを知って、自分が戦争用に機能変更される事を予想する。

真朱の街
妖怪の住む街 真朱街で、親友の娘 翔子を誘拐された相良邦雄が、探し屋の百目を連れて、輪女から翔子を取り戻そうとする。翔子には予知能力があり、実験に使用されていた。輪女は、翔子の未来予知によって人間社会が危機に瀕していると知った事や、自分なら翔子に両親の幻影を見せられる事を告げて去る。

妖怪は最初から存在していたが、人間に異様な姿を怖れられるため、姿を隠していた。しかし、科学技術の発展によって人間の外見が急速に変わりつつあるために人間社会に溶け込もうとしている。

ブルーグラス
環境保護のために閉鎖されるM岬に沈めたブルーグラスを回収しようとする伸雄の話。ブルーグラスは音に反応して成長するインテリア・オブジェで、見つけたブルーグラスはヒドロ虫に寄生されていた。

小鳥の墓
管理された都市ダブルE区で育った男の話。

中学校の時、同級生 勝原に誘われて区外で遊ぶようになる。勝原は人工子宮を利用して産まれた子で、廃棄される事を救われた出自から他人に優しくする義務があると養父に言われた事に反発し、暴力で他人を支配しようとする。

勝原の友人が女を殺害した事件に巻き込まれて、区外に逃亡しようとするが、区外の世界までも子供達に刺激を与えるための実験場だったと知る。

映画監督の父親が、管理されていない区外で映画を撮影しようとして、母親とトラブルになって殺害してしまい、男は区外で生活しようとするようになり、18歳頃から自殺しようとしても死ねない女(母親のような女)を殺すようになる。

P187:
人間っていうのは、大なり小なり、みんな暴力的なのよ。でも、勝原くんと一緒にいると、そういうことに対する不安が、少しだけ消えるの

P246:
こういう生まれ方をしたのだから、おまえは他人に対しても、同じような愛し方をすべきだと
(中略)
どうして出自によって、生き方や、物の見方まで決められてしまうんだ
(中略)
立場の強いものが弱いものを圧倒し、さも同じ土俵に立っているかのように見せかけて支配する―。家族関係というのは、その最たるものじゃないかとね。おれは自分の考えが当たっているのかどうか、社会の中で試してみたくなった。育ての親に支配されているおれでも、立場が変われば、誰かを支配できるんじゃないかと

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