FC2ブログ

働き方2.0vs4.0

読んだ本の感想。

橘玲著。2019年4月3日 第1版第1刷発行。



著者の偏った見解が気になった。

以下の分類を使用。

働き方1.0:年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行
働き方2.0:成果主義に基づいたグローバルスタンダード
働き方3.0:プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散する
       シリコンバレー型
働き方4.0:フリーエージェント
働き方5.0:機械が全ての仕事を行うユートピア/ディストピア

著者は人間が生涯教育によって技術発展に適応する事を非現実的とする。原理主義的なリベラルでは生得的な知能差を無視して人間は平等であるとするが、教育によって人間を根本的には変えられないのだとしたら意欲の問題となってしまい、「やれば出来る」はずなのに達成出来ない人間が差別される。

人間の能力を極大化するよりも長く働く事や世帯内で働く人を増やす法が現実的。

***************

著者の思考には特有の歪みがある。

世界がリベラル化しているとして、その根拠に「#MeToo」運動(SNSで性的虐待による被害を告発するムーブメント)を上げる。文化や伝統による区別は嫌悪されるようになり。個人の努力ではどうしようもない事(出自、性別、障害有無等)による差別は禁忌となる。

尊ばれるリベラルな価値観とは、「生まれてくる事は選べなくても、物心ついてからは、自分で人生を選択し、もって生まれた能力を最大限活かせるような社会にするべきだ」というもの。

ここまでは納得出来る。

しかし、著者は歴史戦という観点を意図的に無視している。

P80~P81に従軍慰安婦問題を背景に、日系人ハーフが日本人として戸籍に登録される実体が記述されている。戸籍によって日系人ハーフが日本人として登録される手法は、外務省や法務省の暗黙の了解の下に行われている。

2007年に米国下院が日本軍慰安婦の責任を認定するよう決議してから、日本が人権を無視していると批判されないように、書類の形式さえ整っていれば日系人ハーフに無条件に日本国籍を与えるようになったという。

従軍慰安婦問題の捏造により、特定カテゴリーの人々に特権が付与された事になる。

さらに著者は在日外国人の問題は、1947年に施行された外國人登録令で外國人と見做されたために日本国籍を剥奪され、差別されるようになったとしているが、第二次世界大戦中に徴用された人々の多くが帰国した事や、朝鮮戦争時に密入国した人々の問題を無視し、二重国籍を認めて外国籍を保持したまま日本国籍を取得出来るようにするべきとしている。

歴史問題を捏造する事で、自らの帰属集団が社会的に優遇されるよう工作が出来る。

P108:
韓国が国連の人権委員会に自分たちに有利な報告書を書かせ、米下院やEUに非難決議を出させることができるのなら、今ごろ世界を征服しているでしょう

⇒それが出来る事が問題。日韓だけでなく世界中で同様の問題が発生しているはず

**************

〇ネットフリックス社の事例
DVDレンタルを行うネットフリックス社は2001年の不況時に全社員の約1/3を解雇した。中間管理職が減少したために、会社の経営速度、社員満足度が向上した。

最高人事責任者マッコードは、従業員の能力開発に投資を行い、キャリアパスを提示する事を時代遅れとし、キャリアマネジメントは従業員自身の責任とする。マネージャーの責任において最適な人材を採用し、会社が必要としないと判断されれば進んで解雇される。

グーグルにおいても最高の人材を最高の環境で自由に働かせることが目標とされる。

フリーエージェント(ギグ)による組織に帰属しない働き方はこの延長にある。

⇒有能な人間は最初から有能なのか?どのように人々を教育すべきか?という問題は残ると思う

〇正社員と非正規社員
日本の雇用慣行は同一価値労働同一賃金が基礎となっており、同じ時間・同じ仕事をしても正社員と非正規では待遇が違う。2016年1月施政方針演説で安倍首相は「同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と発言している。

正社員を解雇する事は難しく、解雇させるために経営の裁量の範囲内で過酷な業務を任せる事例もある。非正規は簡単に解雇され、この矛盾を解消するには会社が不当解雇補償金さえ支払えば正当な理由が無くても解雇を実施出来る金銭解雇をルール化するべきとする。

スペシャリスト(技能者)とバックオフィス(事務職)が正社員と非正規で混然となっている日本では、正社員の中で誰がスペシャリストでバックオフィスなのか判然としない。

安倍政権の働き方改革ではスペシャリストを会社に帰属する自営業者と位置付け、報酬は成果によって定まるとしている。

責任が大きいスペシャリストとマニュアル通りに仕事をする無責任なバックオフィスの対比。

〇会社の意味
市場は生産費用を押し下げるが、会社は調整費用(生産を手配し、円滑に維持する費用)を押し下げる。全ての取引を契約で確定させる事は不可能。
サンフォード・グロスマン/オリバー・ハートの不完備契約理論では、「購入した資産について、起こり得る全ての事象が契約で網羅されていなからこそ、資産所有者は契約上の規定を除いて行動出来る残余コントロール権を持つ」と説明される。

家屋を購入した場合で例えると、禁煙や動物飼育禁止等の偶発事象全てを契約で定めていたら所有権は制限されて実体が無くなる。所有権は所有物を自由に支配出来る権利であり、契約が所有権を制限するため、所有者が持っている権利は、契約に無い「残余コントロール権」のみである。

世界は極めて複雑で不確定要素が多いため、現実の取引では全てを盛り込んだ完備契約は作成出来ない(契約によって成り立つ市場の不完全)。

市場参加者が必要に応じて集まるのでなく、存続し続ける前提の会社が不完備契約によって契約に明示されていない事柄の決定権を持つからこそ想定外の事態が起きた時に対処出来る。

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード