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愚行の世界史

読んだ本の感想。

バーバラ・W・タックマン著。2009年12月25日 初版発行。





宗教についての本だと思った。

トロイア戦争、ルネサンス期の教皇達(シクストゥス四世、インノケンティウス八世、アレクサンデル六世、ユリウス二世、レオ二世、クレメンス七世)の乱行が新教・旧教の宗派対立を起こした説、英国のアメリカ植民地喪失、ベトナム戦争を題材に、国益を損なう愚行が発生する時代を超えて発生する事について考える。

著者が本当に答えを出したいのは、終盤で大きく扱っているベトナム戦争で、賢く強いはずの選ばれし政治家が、何故、泥沼のベトナム戦争を継続したかという謎だと思う。

英国は、大西洋を大きく隔てたアメリカ植民地が、自分達と異なる風土を持つ事を否定し、自らの属国として政治的代表を送る事を否定した。これは太平洋を隔てたベトナムについて理解しなかった米国政府の態度を表す。

自らの絶対性を疑わず、批判者の話を聞かなかったローマ教皇達を得て、トロイア戦争まで遡り、神々によって動かされる人間の自由意志が不存在である可能性についてまで至る。

著者は自由意志による愚行回避を結論付けたいのだろうけど、複雑な政治を個人が把握し、操作する事に確信が持てていないようだ。

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対立する二者の扱いについて、異なる見解が出ている。

五世紀終わりからイベリア半島を支配した西ゴート族は、アリウス派(キリストの人間性を強調)していたが、六世紀末に王となったレカレドがカトリックを公認の宗教としたために、宗派対立が激化したように書き、カナダ植民地でのカトリック許容がアメリカ植民地に反発を引き起こした話をする。

一方で、中世フランスでユグノー教徒が弾圧された事がフランスの国力を落とした話があり、寛容か厳格のどちらが宗派対立を解決するかについて答えが出ていないように思えた。

上巻 P51:
愚行は大計画から生じるのではないということと、しばしば結果が出て人々が驚くということだ

上巻 P93:
過去に現在のイメージを着せて眺めるのがふつうだったからだ

上巻 P208:
権力を取得する過程は、権力を求める人間を堕落させ、残酷にするさまざまな手段を使う。その結果、彼は目がさめて、権力を手にしているのは、徳―あるいは道徳的目的―を失うという代価を払ったためだと知る

上巻 P250~P251:
姿勢とその結果としての行動は、異常なほど背景となる時代と環境の習俗や条件によって形作られることを認識しなければならない
(中略)
変革できなかったのは、彼らが制度の一部になっており、そこから生い立ち、それに依存していたからだ

上巻 P276:
自分は善より他には何も望んでいないのだから自分に賛成してくれない者はみんな悪党だ、という考え方がひそんでいた

下巻 P19:
植民地が課税されなければ、多くのイギリスの熟練工と製造者たちに魅力ある地域と映って彼らの移住を促進し、植民地は繁栄し、ついには支配権を奪い、老いたイギリスを「貧しく、人気のない、みじめな帝国」にしてしまうだろう

下巻 P88:
もし『ハムレット』と『オセロ』の主役が入れかわっていたとしたら、悲劇はなかっただろうと言われてきた。ハムレットは直ちにイアーゴーの本性を見抜いただろうし、オセロはためらわずクローディアス王を殺したはず

下巻 P133:
アメリカ人はいつも共産主義からの自由について語っていたが、ベトナムの大衆がほしがっていた自由は、フランス人・現地人両方の搾取者からの自由だった。人類全体が西欧の民主主義的自由の概念を共有しているという想定は、アメリカ人の錯覚だった

下巻 P186:
統計の天才のおかげで、人間の多様性に対して敬意を感じることがほとんどなく、予測できないものに対しては考慮の余地を与えなかった

下巻 P240~P241:
アメリカにある植民地を失ったら破滅すると考えたイギリスの見方に似て、もしベトナムを失ったら大変なことになるという大げさな予言が、掛け金を増す役割を果たした

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