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薔薇を拒む

読んだ本の感想。

近藤史恵著。2010年5月26日 第1刷発行。



以下、ネタバレ含む。

主人公 鈴原博人(17歳)が和歌山県の別荘で過ごす、10月頃~1月頃の三か月間の話。

野蛮な真実よりも優雅な虚偽の方が美しい。常に誰かに羨望されていないと愛情を感じられないヒロインの話とも思える。

鈴原博人は孤児で、別荘の手伝いを三年間行えば、大学の学費を負担するという条件で働く事になっている。同じ条件で働く同年の樋野薫もいる。

別荘にて殺人事件が発生し、次々と人々が死んでいく。

*******************

推理小説としての完成度が低い事が低評価の理由の一つになっている。それは、作者がハッピーエンドを望んだからだと思う。推理小説であるのなら、外部犯でなく、内部犯がトリックを使用して殺害しなくてはならない。

終盤で光林康雅氏が、唐突に主人公を後継者に認定する展開に無理があり、幸福に向けた作者の強い意志を感じた。

【登場人物】
光林康雅:
東京で事業を展開する資産家。家族を静養させるために和歌山県に別荘を持つ。身寄りの無い若者を支援する名目で主人公達を別荘の手伝いとして雇用する。

光林琴子:
40代。光林康雅の妻。二年前に実子の夕日が、身分違いの恋を光林小夜に告げ口された事に憤り、別荘で見眼麗しい若者を雇用して光林小夜と恋仲にして引き裂く事で復讐しようとする。

光林小夜:
17歳。光林康雅との先妻の子でデンマーク人とのハーフ。終盤で火事に巻き込まれ失明し、焼け爛れる。

中瀬:
別荘の執事。刺殺される。

角倉幸:
光林小夜の家庭教師。二年前から別荘で働く。

鈴原博人:
主人公。火事で死んだ樋野薫を装って光林小夜と恋仲になる。

樋野薫:
十三年前に死刑になった樋野悦郎の息子。光林小夜と恋仲になり、火事になった別荘から光林小夜を助け出そうとして焼け死ぬ。

島田康介:
二年前に自殺した光林夕日の恋人。復讐のために整形して顔を変え、庭師として別荘に潜入し、中瀬やグレートデンの桃子を殺害し、別荘に放火する。

*************

三角関係の中でしか生きられない人々の話。光林琴子は中瀬と角倉幸との三角関係にあり、光林小夜はグレートデーンの桃子を飼っているが、ポニーのスミレも可愛がり、寂しがる桃子を見る事で自らへの愛を確認する。

光林小夜と鈴原博人、樋野薫の三角関係も同様で、樋野薫に嫉妬する鈴原博人を見る事で、光林小夜は愛情を確認しているのだと思う。

P64:
人生最後の日にたったひとつ願いが叶えられるのなら、ぼくはその日に戻りたいと願うだろう。そして永久にその日を生き続けたい

P178~P179:
「澄んだ泉で」という意味だ
(中略)
わたしは恋人を失った。わたしが彼にふさわしくなかったから

P195:
だれのものでもない彼女を恋い続けることができるのならば、その恋が叶うことなど望まない

P234:
偽りで満たされていたからこそ、ぼくたちを優しく包み込んでくれたのだ。ぼくは知っている。現実はこんなに優しくはない

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