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バブルの興亡

読んだ本の感想。

徳川家広著。2009年10月15日 第1刷発行。



未来予測の本としては失敗したけど、バブル史の本としては面白いと思う。

バブルには物語が不可欠として、「平和国家による経済発展」という幻想が戦後日本の高度経済成長を支えたが、冷戦崩壊によって前提となる核抑止構造が崩れ、少子高齢化進展とともに経済幻想を抱き難くなった事がバブル再発を抑止している。

著者は、2010年代初頭のバブルと金価格高騰を予測したが、予測は外れた。

その原因はインターネット普及による社会構造の変化だと思う。マスメディアが大きな世論を形成する事が困難になり、実物資産に流入するはずだった余剰資金は仮想通貨へ向かっている。

現在のマスメディアがスキャンダリズムに堕しているのは、「平和国家」という虚構を自らが信じておらず、にも関わらず代わる思想を見出せないからではないか

第1章 バブルはどこから来て、どこへ行くのか
バブルとは、資産価値が著しく過大評価されている状態。

資産の適正価値は金利によって決まる。

例えば、年利5%である場合、家賃収入を毎年100万円を生む不動産物件の理論値(税金や減価償却は考えない)は2000万円である。金利が5%の場合、2000万円を預金すれば毎年100万円の利息となるために、毎年100万円を生む不動産物件と等価になる。

ここで不動産物件自体の将来価値が期待される場合、2000万円以上の値が付く。期待が過大になるとバブルになる。

バブルは利上げによって預金の優位を明らかにして、余剰資金が資産価値上昇に向かう余地を無くせば防止出来るが、経済危機等により金融緩和が行われる場合にバブルが発生する。

バブルは必ず崩壊し、その後デフレが発生する。

第2章 四つのメガバブルから未来が見える
以下の四つのバブル。

①1980年代後半の不動産バブル
1980年代後半から日本の地下が高騰した。1985年のプラザ合意によって1ドル=240円だった為替レートが1ドル=120円となり、日本銀行が2.5%という低金利を景気維持のために継続した事が原因。
1989年から金利が引き上げられ、1990年に6%まで引き上げられた事等によりバブルは崩壊した。

②ジャズ・エイジ・バブル
1929年の大恐慌の原因となる。第一次世界大戦後の欧州経済苦境のため、米国が低金利を継続した事に起因する。当時は都市部の電化が急速に進んだため、幻想には事欠かなかった。

③歴史の終りバブル
1990年代後半のITバブル。ソヴィエト連邦崩壊による「米国的価値観の勝利」が根底にあり、1994年のメキシコ危機等によって低金利が継続された事がバブルの温床となった。

④サブプライム・バブル
2001年の九・一一テロによって低金利が継続した事が原因。テロによって混乱に陥った米国を纏めるには敵が必要であり、アフガニスタン、イラクと転戦し、戦勝によって期待が醸成された。イラク統治による幻滅と1%だった金利が2004年からの金利引き上げで2006年には5.25%までになった事でバブルは崩壊した。

第3章 「失われた二〇年」の正体
バブル期にはGDPの四割しかなかった日本の長期債務は、その後の10年間でGDPを上回るレベルまで300兆円増大した。これが景気下支えの費用である。他に超低金利もあり、日本指導層は米国の1920年代のような大不況を防いだとも言える。

「泥臭い労働による経済成長を通じて敗戦の屈辱を濯ぐ」という物語は、「日本は平和憲法で戦争放棄を誓った優れた民族である」という物語とセットになっており、バブルの背景となっていた。

しかし、1990年の湾岸戦争は、軍事が決定的重要性を持つ事を示し、「平和憲法を採択して地道に働いていれば一等国になる」という神話を崩壊させた。

第4章 空前の狂乱経済へ、起爆剤は出揃った
戦後日本の高度経済成長は、労働力の教育水準が高く法制度も信頼出来る日本が、敗戦によって貧しくなっていた事によって劇的になった。

2009年現在において、米国経済が軟調な状態で金融緩和が継続し、中国経済が好調な事からバブルが再発するかもしれない。

第5章 巨大バブルが復活したら、日本はこうなる
バブルが復活しても生活実態は向上しない。

ただし、海外資産家による日本買いは発生する。さらに日本では政府債務がGDPの二倍にまでなっており、利払い上昇に繋がる金利上昇は政府が望まないため巨大バブルが発生する可能性がある。

そして、2017年~2018年頃にハイパーインフレが発生すると予想する。

第6章 巨大バブルが崩壊したら、どう身を守るのか
金が資産保全に最適と主張している(買い時は2013年末~2015年末)。

しかし、ハイパーインフレ後の日本は失業率30%程度で治安も悪化した廃墟経済となっており、金持ちになっていても幸福にはなれない国になっている。

労働市場が能力主義に移行した新しい体制が、国民の幸福には不可欠とする。

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