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氷風のクルッカ

読んだ本の感想。

柳内たくみ著。2012年6月6日初版発行。



1939年の冬戦争(ソヴェエト連邦とフィンランドの戦争)を題材に、ニューヴァスト連邦・ヴェヤナ軍(ソヴェエト連邦・ロシア軍)とスオミ共和国(フィンランド)の戦いを描く。

スオミ軍に志願した男装のクルッカ・サムライネン(17歳)がユーティライネン中隊長の小隊に配属され、自らを上回る狙撃兵であるシモ・ヘイヘと恋仲になり、敵方のヴェヤナ軍に所属する実母のナタリア(31歳?)と妹のミーシャ(15歳?)と戦って殺す。

ナタリアを若くするために14歳で出産したという、やや無茶な設定になっていると思う。

読み終わって感じたのは作者の敗北。作者が書きたかったのは、英雄による戦記絵巻だったのだろうけど、戦争について調べるほどに英雄が作為的に演出されたものである事に気付いたのではないか?

味方の士気を高揚させるために無敵の戦士を報道し、自らの惰弱を糊塗するために敵兵士の不死身を殊更に強調する様が描かれる。

物語の真の主役は、敵方のヴェヤナ軍に所属する政治委員イーゴリや小隊長ヴェルシーニンで、軍事的に無知な自分達の作戦ミスで損害が拡大した言い訳として、敵軍兵士の強さを盛って報告している。

作者は、現実の冬戦争においても、赤軍幹部達が自らの失敗を隠すためにシモ・ヘイヘを実態以上に誇張したという結論に陥ったのだと思う。

P77:
政治委員達は軍事的には正しいと考えられる選択であっても、簡単には認めない。例え合理的な判断に基づく後退であっても、怯懦による逃走、裏切りと見なして兵や指揮官を処刑してしまう

P126:
イーゴリ上級政治委員。君が指導すべき部隊を失ったのは、指揮官の怠慢や兵士の臆病などではなく、極めて優秀な敵狙撃兵と遭遇したからだと言うのだね?

P319:
大粛清で優秀な将校を悉く処刑し、残ったのは共産党に対する忠誠心だけが売りの箸にも棒にもかからないような者ばかり。そんな人間に作戦を立てさせ、兵士の指揮をさせれば損害が拡大するのも当然なのだ
(中略)
一人か二人の狙撃兵など、戦況を左右する要素にはなりえないのだ。大量の砲弾と戦車の履帯によって押しつぶすことも出来る











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