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読んだ本の感想。

櫛木理宇著。発行/2016年5月20日。



以下、ネタバレ含む。

劣悪なシェアハウス グリーンヴィラに住む二人の少女 伊沢綾希(16歳)、関井眞見(16歳)の話。一緒に二〇三号室に住んでいる。

冒頭で一人の少女が私刑により殺害された事が記述されており、二人の内、一人が不幸になる事が明示される。読者はどちらが不幸になるのか考えながら本を読み進めていく事になる。

終盤まで、私刑に処されるのはどちらなのか分からなかった。両者とも幸福だとは思えない。

以下は、同作者の『209号室には知らない子供がいる』の記事へのリンク。疑似家族というテーマが似ている。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-3125.html

〇伊沢綾希
自らを過剰に監視し、暴力をふるう父から逃れるため、貯金が百万円に達した事を支えに家出する。働き口を探す事に難儀するが、喫茶店『LA STRADA』を運営する長谷川綾希の息子 陸に見初められてアルバイトを紹介してもらい、グリーンヴィラを脱出し、数年後に調理師になる。

〇関井眞見
自らを愛玩動物のように扱う母に育てられる。母の恋人と肉体関係を持った事から家に居辛くなって家出する。グリーンヴィラの疑似家族関係に安らぎを見出し、母のように自分を愛玩する宇田川海里に気に入られるが、やがて飽きられて虐待される。
私刑にあって殺害されたのは、宇田川海里に一番の親友は伊沢綾希と言ったから?

******************

幸福は、比較対象となる他者の不幸によってしか成り立たないとしているようで後味が悪かった。価値基準が自分以外にある場合、外部にある価値基準に頼らなければ安全を確保出来ない。

伊沢綾希は幸福なようでいて、自らの苦境を他者に救われる事によってしか解決出来ていない。仮に物語を伊沢綾希のみにフォーカスした場合、実は伊沢綾希の幸福が移ろい易い好意に基づいた脆いものである疑いが出てくる。

他者を完全には信用出来ないのだから、長谷川親子に裏切られる可能性を捨てる事は出来ない。だからこそ、関井眞見の不幸を挿入し、誰もが認める不幸と対置する事によって、幸福を描くしかない。

P52:
男ってさ、こいつはやらせそうだって思うと、やれるまでは目いっぱいやさしくなるじゃん

P94~P95:
馬鹿な女を許して可愛がってやるふりすんのは、そいつとヤりたがってるさかりのついた間抜けな男だけだよ

P109:
ハインラインの『夏への扉』や、ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』もある
(中略)
ロバート・R・マキャモンの『スワン・ソング』を見つけた

P137:
"ほんとうにやさしい男"がどんなものかを知らなかったから、"やさしさ"と"弱さ"の違いがわかっていませんでした

P210:
いい子を殴るわけにはいかないけど、悪い子ならお仕置きっていう名目があるでしょう

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