カミーユ警部シリーズ

読んだ本の感想。

ピエール・ルメール著。

以下、ネタバレ含む。

時系列が、『悲しみのイレーヌ』 → 『その女アレックス』 → 『傷だらけのカミーユ』になっているのに、日本で出版されたのは、『その女アレックス』の方が早いため、多くの日本人読者が『悲しみのイレーヌ』の結末を読む前に知ってしまう悲しいシリーズだと思う。

『悲しみのイレーヌ』の紹介に、シリーズ一作目と書いておいた方が良いと思う。

シリーズ全体を通じて、女性が酷い目にあう他、読書に対する執着が感じられる。『失われた時を求めて』と同じように、ロシア文学や日本美術が登場し、また、フランスに多くの移民が存在する事が記述される。

それと時間軸が交差している気がする。第一作目では26歳だった部下のジャン=クロード・マヌエルが、五年後となっている第三作目では35歳くらいとなっている。第三作目が2008年の出来事か2011年の出来事か混乱している。

【登場人物】
カミーユ・ヴェルーヴェン:
主人公。警察の犯罪捜査部班長。40歳~50歳。母親がニコチン中毒であったため身長が145㎝しかない。絵が趣味で観察力が鋭い設定。

ジャン・ル・グエン:
カミーユの上司。

ルイ・マリアーニ:
カミーユの部下。資産家の御曹司で博識。

アルマン:
カミーユの部下。ケチ。無限の忍耐と評される。

ジャン・クロード・マレヴァル:
カミーユの部下。浪費家。柔道の国内ジュニアチャンピオンだった。

イレーヌ・ヴェルーヴェン:
カミーユの妻。

アンヌ・フォレスティエ:
カミーユの恋人。

フィリップ・ビュイッソン・シュヴェンヌ(1962年~):
ル・マタン紙の記者。自己顕示欲が強い。

悲しみのイレーヌ
2015年10月10日 第1刷。



2003年4月7日~2003年4月23日ののフランスが主な舞台。

「ブラック・ダリア」、「アメリカン・サイコ」、「夜を深く掘れ」、『オルシヴァルの犯罪』、『ロセアンナ』等の名作推理小説を模した連続殺人事件を捜査するカミーユ・ヴェルーヴェンが主人公。

カミーユは犯人に接触しようとして目をつけられて妻イレーヌを殺害される。犯人の目的は、自らの書いた小説『影の殺人者』の通りに殺人を行い、自己顕示欲を満足させる事だった。

P103:
支配衝動が破壊につながったのでしょう。犯人は女を所有したい。しかし所有しても満足が得られない
(中略)
年月とともに、女性を深く憎むようになる。それは女性だからではなく、自分に満足を、あるいは安らぎをもたらしてくれないからです

P151:
カミーユはデスクの上に本を積み上げた。『レクイエム』、『自殺の丘』、『ハリウッド・ノクターン』、『キラー・オン・ザ・ロード』、『秘密捜査』。それから「暗黒のLA四部作」を構成する『ブラック・ダリア』、『ビッグ・ノーウェア』、『LAコンフィデンシャル』、『ホワイト・ジャズ』。そして『アメリカン・タブロイド』

その女アレックス
2014年9月10日 第1刷。



二部構成からなる物語。誘拐された女アレックスの視点と、誘拐された女が失踪した事件を捜査するカミーユの視点が交錯する。

2007年が舞台。

誘拐されたアレックス(30歳)は幼少期から兄トマ・ヴァスール(37歳)に虐待されており、自らを犯した男達に硫酸を飲ませて殺害する事で復讐しており、自らが復讐したジャン=パスカル・トラリエの父ジャン=ピエール・トラリエ(56歳)に仕返しのために監禁されていた。

アレックスは兄トマ・ヴァスールに殺害され、トマ・ヴァスールは逮捕される。

P211:
母親にとって生きるとは支配することらしい。常になにかを見つけて咎めようとする。だから母親と話をするのは試験を受けるようなもので、準備をし、練習し、集中して事に当たらなければならない

P293~P294:
セリーヌ、プルースト、ジッド、ドストエフスキー、ランボー。カミーユはタイトルを目で追った。『夜の果ての旅』、『スワンの恋』、『贋金づくり』……
(中略)
『危険な関係』、『谷間の百合』、『赤と黒』、『グレート・ギャッピー』、『異邦人』……。
「高校生の本棚みたいですね」ルイがようやく言った。確かにどれも厳選された名著ばかりだ
(中略)
「読むべきものを読む。なすべきことをきちんとやろうとする。勤勉。それはつまり、情緒的に未熟だってことか?」
(中略)
『いいなづけ』、『住所不定の恋人』、『薔薇の名前』、そして英語版の『不思議の国アリス』、『ドリアン・グレイの肖像』、『ある婦人の肖像』、『エマ』がある

傷だらけのカミーユ
2016年19月10日 第1刷。



2008年 or 2011年が舞台。

時系列の矛盾が発生。愛人のアンヌ・フォレスティエと3月に出会ったとあるけど、前作では2007年頃にアンヌと出会った事になっている。

カミーユ警部の愛人アンヌ・フォレスティエが宝石強盗に遭遇し、重傷を負う。犯人の一味が入院先の病院に押し掛ける等するが、決定的な証拠が無いためにおざなりな警備しかされない。

アンヌ・フォレスティエに急かされたカミーユは、病院からアンヌ・フォレスティエを連れ出して、亡母のアトリエに匿うが、そこも襲撃される。犯人は、第一作目の『悲しみのイレーヌ』で犯人に情報を流したために解雇されたジャン・クロード・マレヴァルでカミーユへの復讐が目的で、アンヌ・フォレスティエはそのために雇われたスパイだった。

そして、カミーユは孤独に戻る。

P248:
ナルシズムは無傷で、それは底なし井戸のように口を開けてこいつが落ちてくるのを待っている
(中略)
“どこか腑に落ちないところがある”―これはこいつを動かす呪文だ。こいつはこの言葉に逆らえない。なぜなら、ビュイッソンは腑に落ちていて、そのことを隠しておけないからだ

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