自閉症裁判

読んだ本の感想。

佐藤幹夫著。2005年3月17日初版発行。



2001年4月に発生した浮浪者による殺人事件裁判の話。

加害者が自閉症と判断された事に著者は注目する。全体を貫くのは、自らと異なる心象を持つ者を、一般の枠に当て嵌めなければ裁判が行えない事による無理だと思う。

加害者Y・Mの父親は知的障害と診断され、署名・捺印等の概念自体の意味を理解出来ないと評されるが、そのような場合でも一般として社会に当て嵌めなくてはならない。

P8~P9
男の証言には数多く、覚えてない、分からない、という言葉が出てくる。普通だったら忘れようのないことに関してもそうである

Y・Mは、会話における語彙数が少なく、抽象が理解出来ずに、「なぜ」と理由を問われると答える事が出来ず、威圧的に言われたり、複雑な事を言われると意図を理解しないまま認めてしまう。

以下は、具体的な指摘。

①対人交流
子供の時から、集団行動が苦手、行動が受動的と評される。

②意思疎通
言葉による意思疎通が困難で、特定の言葉への固執がある。行動においても一度出来たパターンを変化させたがらず、他人がどう感じるかという考慮に乏しい。

③言葉
辞書や詩の言葉を真似る等、普段使っていない言葉を多く用いる。

④知能特性
言語性と動作性の数値の差が大きく、抽象性を必要とする検査では劣るが、視覚によって物事を処理する課題には強い。

⑤感情と論理
知人の死等、論理としては悲しい出来事と分かっても、感情として表現する事が苦手。

【自閉症の特徴として】
〇知覚受容の偏り
刺激対象から自分を切り離して客観的に捉える事が苦手。知覚の過半を意味として言語化してとらえる事が苦手であり、全ての情報が等価値で入力されるため不安定。

〇共感性欠如
相手がどう思っているかが分からない

〇「私」の未形成
外出する時に、「行ってらっしゃい」と言って家を出て、帰宅する時に「お帰りなさい」と言う等。誰かが自分に向けて行った言葉がそのまま自分の言葉となって貼り付いて発話される。視点変換が困難である事の表れ。

〇ギャップ
社会的行動がアンバランスであり、ある事が出来ても、他の事は全く出来なかったりする。

著者は自閉症特有の抽象的理解の拙さを指摘し、多くの発達障害者が事実関係を理解されないまま、供述調書を記録され刑務所に送られる現実を問題視している。

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