プシュケの涙

読んだ本の感想。

柴村仁著。

以下、ネタバレ含む。

失敗作だと思う。

三角関係を軸にした話を書きたかったんだろう。女が好きな男のために、自分に好意を持つ男を利用する物語が続く。

登場人物の数を少なくして、人物造形を掘り下げた方が良いように思う。

〇泥の仮面
美術学校の彫刻科の学生 伏野が、親友 安倍と交際する珠子に恋をする。伏野は珠子の親友 章子とも親しくなる。伏野は、珠子に頼まれて石像を彫るが、それが安倍名義で展覧会に出品される。

安倍は珠子に対する伏野の気持ちを利用しており、悲嘆した伏野は制作を止めてしまう。憤った章子は、安倍作品として販売されるはずの石像の顔に泥で作った美しい顔を貼り付ける。

石像が買主の元に運ばれる時には、泥が剥がれ落ちて醜い顔が露わになり、激怒した買主によって安倍は出入り禁止になる。怒った安倍は珠子を殴り殺し、自らも自殺する。

そして、章子は伏野に想いを打ち明けるが拒絶されて絶望し、トラックに轢かれて死ぬ。

最後に伏野だけが残る。

プシュケの涙
2009年1月10日 初版発行。



【物語1】
高校校舎四階から高校三年生の吉野彼方が転落死する。

同じ美術部員だった由良彼方が、三階で補習中に飛び降りを目撃したという榎戸川、旭等に聞き込みを行う。由良彼方には、吉野彼方は自殺しないという確信があった。

実際にはテスト用紙盗難を隠そうとした旭が追いつめて、窓から転落死しており、転落の目撃者を装う事で容疑から外れようとしていた。

旭は、彼女の日高織恵と四階生物準備室にあった模試の問題用紙を盗んでおり、日高織恵と書かれた楽譜を置き忘れた事に気付き、補習前に榎戸川を誘って楽譜を探しているところを吉野彼方に見られた。

旭-日高-榎戸は、三角関係的関係にあったらしい。

P113:
旭と織恵にとって僕は、哀れみの対象だったかもしれないし、苦笑ばかりを向けられる道化者だったかもしれないし、いざというとき動かせる都合のいい存在だったかもしれない

【物語2】
吉野彼方が高校二年生で転校し、由良彼方と親しくなるまでの話。

吉野彼方は、母親と離婚した父親が家に入り浸っており、父親を避けるためにネットカフェで寝起きしているため、援助交際をしている噂が流れている。

由良彼方には、高等専門学校に通う双子の兄 吉野宛がいる。

ハイドラの告白
2010年3月25日 初版発行。



【物語1】
美術大生の春川遥(22歳)が、芸術家の布施正道を尋ねて海辺のX町を訪れる。

春川遥は、布施正道の息子であり、父とは異なる人間が布施正道を名乗る事を確認しようとしていた。布施正道は、吉野彼方の父親でもあり、同じ美術大学に通う三年生 吉野彼方(宛)も布施正道を訪ねて偽者である事を確認する。

連作物の絵画『Jシリーズ』に属する「スペードのクイーン」は、本物の布施正道が吉野彼方に死後に創作したもので、現在は吉野彼方(宛)が所持している。

布施正道の死後、ツルミ画廊のオーナー等が作品を売り出すために偽者を仕込んだのだとか。

春川遥は、母の再婚で名字が柏尾になる。

【物語2】
グラビアアイドルをしているA(小矢部、19歳?)の話。

吉野宛にアプローチするためにアイドルになったとする。『gAme』という写真集が買われた事を喜ぶ。

P210~P211:
写真は<瞬間>を切り取る。十九世紀に写真機が登場するまで<瞬間>という概念は存在しなかった
(中略)
女の美しささえ、<瞬間>として切り取って、手にとれる物質の内に封じこめ、<永遠>に変換してしまう

セイジャの式日
2010年4月26日 初版発行。



【物語1】
同じ美術大学に通う柏尾遥、犀和彦、吉野彼方、最上が、彫刻家 狩野壱平の家にアシスタントに出掛け、狩野壱平殺人事件に巻き込まれる。

柏尾遥達が狩野壱平と思い込んでいたのは偽物だった。

狩野壱平は、小説家 菱田弘穀のゴーストライターをしていた。連載中の『不眠症』の続きを探すために、不倫関係にあった狩野夫人と協力して狩野壱平を装っていたらしい。

柏尾遥は、狩野壱平と不倫関係にあった髙梨千華子によって、菱田弘穀と小屋に閉じ込められて焼き殺されそうになるが、携帯電話で助けを呼んで生き延びる。

【物語2】
教育実習生として母校に帰った由良彼方の話。

美術部には、自殺した女子高校生の幽霊の逸話がある。

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