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人民の戦争・人民の軍隊

読んだ本の感想。

ヴォー・グエン・サップ著。2002年6月15日 初版発行。



太平洋戦争初期からディエン・ビエン・フーの戦い(1954年頃)までのヴェトナム独立戦争について書かれた本。

共同体と思想という観点から、『失われた時を求めて』を読み解く資料になる。

社会や共同体を維持するための「思想」の役割について。

以下は、『失われた時を求めて』の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-3304.html

ヴェトナム軍の最大の武器は、「正義」だった。

P78:
われらの強みは、抵抗運動の持つ正義の性格であった。これによって、民族全体を団結させることができた

以下は、『軍事技術としての宗教』の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-1159.html

『失われた時を求めて』に描かれる社会正義の変転と似ている。

ヴェトナム軍は、対外的には「民族独立」という大義があり、自らを正義と主張出来た。

内的にはマルクス・レーニン思想によって、以下を実現。

①規律
自由意志による命令への絶対服従。処罰に過度に依存した規律は破綻する。

②統一
弱小であるヴェトナム軍が米仏と戦うにはゲリラ戦を志向する事が必須であるが、ゲリラ戦は分散が至上命題であり、報告義務や命令示達遂行は思想によって担保された。

③階級
人員増加や戦闘力強化のためには軍組織を変化させ続けるべきであり、指針となる思想が必要になる。搾取される人民の味方である事を強調し、支配者と戦う方針の明確化。

********************

マルクス・レーニン思想は勤労者による国家を理想とするため、貧民が中心となる国家で求心力を持つ。

ソヴェエト連邦のような工業力や中華人民共和国のような莫大な人口を持たずとも、その「正義」が広く支持されていれば強敵に立ち向かう事が出来る。

ヴェトナム共産党は、「土地を耕す者へ」のスローガンから、小作料を軽減し、農地改革を遂行する事と引き換えに、大衆の徴兵を主張した。

軍事行動の開始直後に米仏の強大な軍事力と対峙する事は非現実的であり、ゲリラ戦によって味方勢力を強化しつつ、敵勢力を消耗させる長期抵抗戦略。

それは、①防衛、②勢力均衡、③反抗の三段階で完結する。

米仏は短期決戦を求め、正規軍を相手に決定的勝利を収めようとするが、都市から地方へ戦略的撤退を行うヴェトナム軍を攻めきれない。占領地を平定するためには兵力を分散させなくてはならず、ゲリラに手を焼いた。

一方でヴェトナム軍は、米仏掃討のために機動戦に移行する必要があった。多くの兵員を終結させ、広い戦場で作戦行動を行う。ただしゲリラ戦は排除せず、二種類の戦闘形態は共存する。

機動戦に対応するために、群の集中化、統一化を推し進め、身分規定、俸給制度、勲章制度を整備する。

以下は、『完全版 知恵の七柱』の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-2958.html

上記にも、ゲリラ戦と機動戦では別種の軍組織が必要である事が記されている。

⇒社会環境によって共同体の理念が変化する事の証明。それは個人の嗜好変化をも説明する

小さく分散したゲリラ組織が、異なる兵種を持ち、装備が絶えず改善され、一元化された制度と規則を持つ大規模な正規軍に変貌していく。

〇ディエン・ビエン・フーの戦い
1953年~1954年に仏軍と北越軍がヴェトナム北西部のディエン・ビエン・フーで行った戦い。

発端は、仏軍のナヴァール将軍が、ハノイから遠いラオス国境のディエン・ビエン・フー(主要道路合流地点)に兵力を集中させて、ラオスと北越の交通路を遮断する事で北越軍の補給を困難にしようとした事(ナヴァール計画)。

ディエン・ビエン・フーには仏軍の強固な要塞が築かれ、軍事拠点から離れた北越軍を誘い込んで決戦を挑む目的があった。

1953年にディエン・ビエン・フーに仏軍三個空挺大隊が奇襲降下し、北越軍が三個師団を急派した事で戦いが始まった。

北越軍は仏軍の掩護の薄い個所で攻撃を開始し、且つ、仏軍を複数の重要拠点に分散させる戦略を立てて、兵力を集結し、以下の段階で作戦は進められた。

①北部扇形戦区破壊
ディエン・ビエン・フーの道路を俯瞰する北部扇形戦区を奪取。中央扇形戦区の仏軍側面を砲撃出来る陣地とする。仏軍の飛行場の能率性を低下させ、補給を困難なものとする。

②中央扇形戦区の東側高台奪取
仏軍を殲滅すべく、兵力を集結させて敵防御態勢の要となる高台を占拠。

③総攻撃
仏軍が集結する中央扇形戦区への総攻撃。

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