メタボロ/ズタボロ

読んだ本の感想。

ゲッツ板谷著。

「失われた時を求めて」と似ている話だと思う。

作者が半生を振り返り、著述中に病に倒れ、派閥や民族、時代の空気が語られる。

以下は、『失われた時を求めて』の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-3304.html

在日朝鮮人の問題が語られるのが、「失われた時を求めて」のユダヤ人の話を思わせる。「失われた時を求めて」が名著とされるのは、ユダヤ人差別の問題を書いたからかもしれない。

主人公の家族関係は複雑で、祖母の菊江は白浜慎次郎という男性と結婚し、ミルクホールを経営していたものの、昭和17年に白浜慎次郎はサイパンに出征して行方不明になり、一人で屋台を運営していた菊江はヤクザ者の無銭飲食に悩み、地元の露天商の顔役だった鱸金時と子供を守るために結婚する。

しかし、終戦から五年が経過して白浜慎次郎が帰国し、重婚で訴えられるも、鱸金時と生活する事を選ぶ。

白浜慎次郎との間には、竜彦、著者の母親、満の三人が産まれ、鱸金時の間には猛身、珠江が産まれている。

主人公の母親は鱸金時との生活で大変な苦労をしており、ヤクザを嫌っている。満と猛身は二人ともヤクザになっており、メタボロ、ズタボロの中で著者は二人の舎弟ととして活動している。

メタボロ
平成24年10月10日 初版発行。



1980年頃の話。

中学校時代に不良グループ錦組を作っていた主人公コーちゃんは、同級生達と一緒に暴走族 立川獄門に入る。

主人公は中央大学付属高校という偏差値68の進学校に入学するも馴染めず、植木と山田(鬼)という不良学生と友人になっていく。

高校一年生の夏休みが終わる頃には、暴走族の暴力の凄まじさと、自分達の一年下の代に先輩 山地の弟がいるために来年も暴力から解放されない事を知った主人公達は暴走族から抜けていく。

主人公は、友人のヤッコが暴力によって心を壊されて千葉の全寮制高校に転校した事を切っ掛けに、叔父の猛身の舎弟としてヤクザになって暴走族に復讐する事にする。

しかし、もう一人の叔父の満の借金取り立てを手伝った事を恨まれて、彼女の清美を猛身に寝取られてしまう。在日朝鮮人の清美の両親はテキ屋の仕事を猛身に回してもらっていたらしい。

暴走族への復讐も肝心のヤッコが意欲を喪失しており、モヤモヤが溜まった著者は立川獄門の集会所に植木、山田と乱入して喧嘩をする。

P51:
『立川獄門』という印籠の威力は想像以上だった。その名を出した途端、相手の顔色が瞬く間に変わり、それを感知した自分の腹の底に得体の知れない特権意識のようなものがみるみる湧き上がってくるのである

ズタボロ
平成27年3月20日 初版発行。



1981年~1982年頃の話。

叔父である満の舎弟を続ける主人公は、歌舞伎町の少年ヤクザ 黒龍会との闘争や、満の義兄弟 竹脇との交際等で密度の濃い日々を過ごす。

猛身は金に困るようになって主人公の母親を監禁して金を出させようとして逮捕される。他に中学校の同級生 山田規久子のパーキンソン病やアイドルの香神ルカとの挿話等。

アイドルの描写は「失われた時を求めて」のゲルマント夫人の描写をどことなく思わせた。

そして、高校卒業を真近に控えた主人公は、少年ヤクザ 黒龍会との喧嘩に挑み、友人の鬼やヤッコ、キャーム等の力を借りて勝利する。

P170:
比喩表現が全然ダメだ……
(中略)
以前のオレなら文章は下手クソでも、それでも1ページに2、3個は比喩表現が入っていたのだ。が、現在は所々でもっと比喩を入れなきゃと変に焦り、その結果、ダメなハンバーグ屋のようなオリジナリティのない比喩が文章の中に時々ボコンと投下されてるだけになっている。
まいった……。この比喩表現こそが、オレが書く文章の命なのに。
あと、もう1つ言わせてもらえば、匂いとか、色とか、味とか、雰囲気とか、季節感とか、とにかくそういったモノを伝える言葉が全然書けていない。よって、文章に深味が全く出ていないのだ

P261:
俺は負けるのが習慣になるのは、もう嫌なんだよ

P315:
大宮には独自の空気っつーか、独特の性があるって。つまりな、“好きなんだけど嫌い。嫌いなんだけど気になる”っていう矛盾したような空気球が大宮の、あのバアさんを中心にした世界には何万個と浮かんでるんだよ

P358:
ストーリーを追うのに精一杯で、比喩、そして、季節や空気感を上手く表現する言葉がやっぱり全然不足している
(中略)
小説というより文章を漫画風にしたものだ
(中略)
“文章の漫画風”上等!要は、わかり易くて面白けりゃいいんだっ

P381:
大宮の面々に流れてる血はムチャクチャ濃かった。そして、そのトチ狂ったような血はウチのオフクロの中にも流れていて、ひいてはこのオレの中にも流れているのだ。
“そう、お前も決して逃げらんねえんだよ”

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