消滅世界

読んだ本の感想。

村田沙耶香著。2015年12月30日 初版発行。



世界(母)に閉じ込められて、世界(母)を閉じ込める話。

人工授精が一般化した世界で生きる主人公 坂口雨音の39歳頃までの軌跡。

恋愛や家族、子育てに関する観念は現実世界とは大きく異なり、アニメキャラクターへの恋愛感情が普通のものとされ、夫婦間での性交は近親相姦とも解釈されていく。

主人公は、両親の自然な性交で生まれた珍しい種類の人間で、生まれた時から母親に旧来の恋愛観や結婚観を素晴らしいものと仕込まれて育つ。

しかし、社会の趨勢には逆らえず、夫婦間の成功を近親相姦と思う価値観から、最初の夫とは離婚し、二度目の夫 雨宮朔と結婚後は互いに恋人を作る現代的な価値観を受容する。

30代半ばになった坂口雨音は、恋人の自殺未遂で精神的に消耗した雨宮朔と実験都市 千葉(楽園)に移住する。楽園では、子供は人工授精による大量生産方式で育成され、個々の区別は出来ず、全ての大人達は全ての子供達の「おかあさん」となる。

当初は自分の子供に固執していた坂口雨音の価値観は環境変化に合わせて変化し、夫と家族として生活する事に違和感を覚えていく。

そして、坂口雨音は価値観を変えずに自然な恋愛を主張し続ける母を、自らの係留点として監禁する。

P21:
私たちの性欲は、無菌室の中で育っていた

P83:
家の外は、僕の恋と性欲で汚れている。家の中でだけは清潔な僕でいられるんだ

P138:
昔は、アニメーションの男の子と恋をするほうがよっぽど変態だった

P182:
ヒトの子供をまるでペットのように可愛がるだけ可愛がり、責任は持たずに自分ひとりが住む自由な家へと帰っていく

P237:
何が正しいのかを、世界はこうして私たちに知らしめる。
私たちは、全員、世界に呪われている。
世界がどんな形であろうと、その呪いから逃れることはできない

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