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火薬が心臓を救う

読んだ本の感想。

著者:吉田信弘、大西正夫。1990年2月1日 初版発行。



ニトログリセリンが心疾患の薬となる事について。血管の平滑筋に作用して静脈を拡張し、心臓の負担を軽減する。同時に頸動脈を拡張し、心臓への酸素供給量を増やす。

〇ニトログリセリン
硝酸基が三個あり、三硝酸グリセリンというグリセリンのニトロエステル(アルコールと無機酸、有機酸との反応で水が無くなった化合物)。

1847年にイタリア チューリン大学 A・ソブレーロが、濃硝酸と濃硫酸の混合液を冷やし、脱水したグリセリンを加えて作成した。当初から薬剤としての活用が考えられ、砂糖粒に一滴の1/300~1/5000を染み込ませ、舌の下に入れる舌下投与法が行われる。

爆発物としては、1863年にアルフレッド・ノーベルが雷管を発明。起爆用に少量の火薬によって起爆する方式で、1865年には多孔質の珪藻土にニトログリセリンを染み込ませて非爆発性を付与するダイナマイトを考案する。

【製法】
グリセリンに濃硝酸と濃硫酸の混合物を加えて作る。硫酸を使用せずに硝酸単独で合成する場合、硝酸がグリセリンの10倍以上必要になる。

具体的には、鉛製の窯に硝酸、硫酸の混酸を仕込み、グリセリン、グリコールの混合液を圧縮空気で噴霧する。仕込みが終わると、攪拌しながら分離促進剤を加えると、ニトログリセリンが分離する。

グリセリンは無色透明の液体で、油脂から石鹸を作る際の廃液に含まれている。第二次世界大戦前の日本では、鰯から脂肪酸と一緒にグリセリンを大量に製造してニトログリセリンの材料にしていた。

ニトログリコールは、二硝酸エステル。ニトログリセリンの発明後の1870年に合成され、不凍剤としてニトログリセリンに添加される。

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黒色火薬は、硝石を産出する中国で発明され、自然には硝石を産出しない欧州ではインドを植民地にしたり、硝石生成用の壁を建造する等した。

日本でも戦国時代は堺を窓口に中国山東省やインドから硝石を輸入していたが、鎖国政策によって輸入困難になると、硝石培養場(魚の腸や糞等の腐ったものと土と石灰を混ぜて作る田)によって二年~三年かけて作るようになる。

江戸時代の富山県には硝石製造場が置かれ、蓬や煙草の葉、大根の茎を乾燥させて尿で湿らせ、蚕の糞を塗して床下に積み重ねた。翌年の夏から秋に掘り出して、灰汁煮、中煮、上煮をして硝石を取り出す。

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十九世紀以降に発展した近代化学は爆発物として有用なニトロ化合物、ニトロエステルを次々と合成していく。

1832年にフランスのブラコンノは、木綿、澱粉、のこくずを濃硝酸に投入し、温めて溶解させ、水を加えると燃え易い粉末になる事を発見し、硝化綿の原型となる。

1845年にスイスのシェーンバインは硝酸と硫酸の混合物で木綿繊維を硝化し、ニトロセルロースを作り出した。綿火薬の元祖で、分解を促進する硫酸の追い出す事で黒色火薬を代替する無煙火薬の基礎になる。

1884年にはフランスのビアイユが、ニトロセルロースをエーテル・アルコールの混合溶液で膠化さあせ、板状に伸ばして乾燥させると発射薬として有用である事を発見(B火薬)。

1888年には、アルフレッド・ノーベルが、ニトロセルロースの中でも窒素量が12%程度の弱綿火薬にニトログリセリンを加えると溶剤を加えなくても膠化する事を発見。

現在、武器として多用されるTNT火薬(トリニトロトルエン)は、1863年にトルエンを硝酸、硫酸でニトロ化する事で合成された。

硝安爆薬:
1910年に、空中窒素固定法が発明されたのを切っ掛けに、アンモニアと硝酸の反応で精製する硝安が量産されるようになる。硝安は外部からの衝撃エネルギーで爆発する性質があり、1948年頃からANFO爆薬として使用されるようになる。

硝安に水を混ぜて水溶液にして、爆薬の感度を良くするために無煙火薬等を鋭感剤として加え、鋭感剤がすいちゅうで 分離しないように小麦粉澱粉のような糊剤を溶かし込むと水中でも爆発するスラリー爆薬になる。

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