書物狩人

読んだ本の感想。

赤城毅著。

『勇午』のような話。

以下は、Wikipediaの『〈書物狩人〉シリーズ』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/〈書物狩人〉シリーズ

【書物狩人】
第二国際古書籍商連盟(SILAB)に所属する探偵?達。依頼人が要望する本を探し出して報酬と引き換えに渡す。歴史を書き換えたり、国家や経済を揺るがす本を扱うらしい。

主人公ル・シャスール(半井優一)は、30歳ほどの銀髪の東洋人で、書物狩人の中でも腕利きらしい。彼に依頼するには、新聞にシェイクスピア最初の著作集『喜劇・悲劇・史劇』の校合式を掲載し、日時と場所を指定する。

書物狩人
2007年4月5日 第一刷発行。



〇教科書に準拠して
ケネディ暗殺の指示暗号が記された教科書「アメリカ国民の歴史」を入手する話。実行犯のディノ・セルネッティはマフィア五大グループの筆頭ヴェテッロ一家の首領になっており、「沈黙のおきて」を守れた満足を胸に膵臓癌で死亡する。

〇神々は争う
ロマノフ朝が保管していた「第五福音書」を手にする話。使徒ペテロがイエスを裏切り破門されたとも解釈出来る個所があり、ヴァチカンに渡す代わりに本の保管と、ヴァチカン書庫の本を閲覧する権利を手にする。

〇Nの悲喜劇
ナポレオン旧蔵の本「カンディード」を入手する。本自体は偽物だったが、本の持主であった第二次世界大戦中のドイツ大使シュターマーが、ナチスドイツによるリヒテンシュタイン合併を防いだ対価として貰った貴重な切手を本の中に隠していた。

日本通を気取ったシュターナーが、「本の中にカミ(紙、髪)が挟まっている」と吹聴したために、本にはナポレオンの遺髪が挟まれていると勘違いされた。

〇実用的な古書
新光国際大学の非常勤講師 羽村園子が、偶然入手した本が高値で売れた話。

エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』には、280年頃の中国がソグディアナ(中央アジア)まで勢力を拡大していたという記述があり、その典拠となる『アルメニア史』を裏付ける「四庫全書」の一部『秘史』らしい。

中国が中央アジアの領土権を主張する根拠ともなる。

結局、『秘史』は終戦時に昭和天皇無罪を中国国民党に保証させるために日本軍情報将校が捏造した偽物という事になる。

書物迷宮
2008年10月6日 第一刷発行。



〇書庫に入りきらぬ本
第二次世界大戦前のスペインで活躍した詩人フェデリコ・ガルシーア・ロスカの『グラナダ詩集』のオークションに参加する。詩集にはゲルニカ空爆に関する情報が暗号で埋め込まれていた。

〇長い長い眠り
北京原人の化石に関する話。

日本軍の協力者 王小園であった中国情報部の実力者 猛黄城が、寝返る際の手土産にしたらしい。猛黄城は、自宅の地下に北京原人の化石と手記を埋めて置き、自分に都合の良い美談が死後に流布される事を期待しているが、胡同は文化施設として可能な限り長く保存されるらしい。

〇愛された娘
スロヴェニアからの独立の動きがあるコチェーツィヤの王族であるフランツィスク公爵家の末裔イレーナの正統性を保証する先祖伝来の書物の話。
イレーナを保護し、書物が偽書であると偽ってイレーナの安全を確保する。

〇冷やしすぎた秘密
ポーランドで発見されたナチスドイツの細菌戦マニュアルの話。湖底から見つかった本は、保存のために冷凍されて、復元されるも、印刷に参加したユダヤ人ロマン・メンデルソンによってマニュアルは役立たないものに改竄されていた。

書物法廷
2010年4月6日 第一刷発行。



〇クイナのいない浜辺
腕利きのテロリスト エドワード・ローリンソンが仕掛けた米軍基地への爆破テロを断念させるために、彼の父親が書いた「太平洋の恩寵」を渡す。ミッドウェイ諸島イースタン島で過ごした幸福な少年時代の思い出らしい。

P59:
理想郷の一片なりとも返してもらったからには、わしも贖罪をなさねばならん

〇銀の川の蜃気楼
豆本の形式で、獄中で病死したアルゼンチンのマフィア リカルト・マルティネスが持っていたヒトラーの日記を入手する。リカルド・マルティネスは、本名をエドゥアルト・ハイネマンというナチス親衛隊少尉で、敗戦後のドイツからアルゼンチンに逃れ、ヒトラー日記の情報を武器にネオナチを利用して大物マフィアになった。

結局、ヒトラー日記は偽物という事になる。

〇奥津城に眠れ
1968年の飛行機事故でグリーンランド周辺に水爆を抱えたまま沈んだ爆撃の場所を示す『ポオの航跡を追って』をCIAに渡すよう交渉される。引き揚げを担当したウィリアム・キースが暗号を仕込んで刊行した。

『ポオの航跡を追って』は米国外で大量に出版されており、40年以上が経過して氷河が移動したために、暗号に仕込まれた場所とは異なる場所に水爆はあるようで、現在では場所が分からなくなっていると指摘する。

ウィリアム・キースの壮大な悪戯だったとする。

〇笑うチャーチル
チャーチルの持ち物だった『ローマの却掠』に、「私は、コヴェントリーを棄てた。暗号解読でわかっていたのに、市民がナチスに灼かれるままにまかせた」というチャーチルの書き残しがあるとして、本の強奪を指揮した右翼小説家ディック・ロスマンから本を取り返すよう英国保安機関から依頼される。

ディック・ロスマンの右翼的小説が、元資料の意図的に捻じ曲げて解釈したものである事を本人に示し、『ローマの却掠』を取り返す。

英国保安機関の本当の目的は、イラク戦争への英国参戦に否定的なロンドン大学教授クリスチャン・エヴァンズの評判を落とす事にあり、書物偽造家に捏造させた『ローマの却掠』を盗ませて、チャーチル研究の第一人者であるクリスチャン・エヴァンズが、チャーチル家に遠慮して虚偽を記していたとする事にあった。

狙いを見抜いて、古書市場で入手した別の『ローマの却掠』に、現代のインクでチャーチルの書き残しを真似て書いて渡す。

書物輪舞
2011年11月7日 第一刷発行。



〇死することゆるされぬならば
自衛隊第六文書庫から消えた編物教本を探す。

1938年に日本に亡命したソ連秘密警察極東方面長官リュシコフが持っていた本で、ロシア帝国皇女アナスタシアが死の直前に書いたメモが書き残されていた。

第二次世界大戦中に、メモはアナスタシアが生き残っていたように改竄された偽物にすり替えられており、ロシアとソヴィエト連邦の連続性を強調するロシア政府が、抑圧者ツァーリの一家にまで慈悲を垂れていたと証明する資料になるはずだった。

自衛隊を顧客とする情報ブローカー ミハイル・セルゲイヴィッチ・グリシンが、児童ポルノ愛好家である情報保全官 堀内和夫の弱味を握って盗み出していた。

空港で補足されたグリシンは、書物狩人の掟を破った事から自殺する。

〇書物の復讐
平凡な30代後半の会社員 加納達也が、古書店で『昭和十六年度帝国海軍作戦計画』を万引きした事から、米軍内の白人至上主義者で構成されたアルファ・オメガ・クラブに狙われる。

作戦計画には、ソ連軍が朝鮮半島南部に攻め寄せた場合、仁川からの奇襲が効果大と記されており、朝鮮戦争におけるマッカサー元帥の仁川上陸作戦の独創性が覆る可能性があった。

〇ダイヤモンドよりも永遠に
ルーマニアでチャウシェスク政権への反政府活動をしていたセルジウ・イサレスクの著作『急行』の正誤表付を、恋人だったナディア・ドリメールに依頼される。

『急行』は正誤表と合わせると、チャクシェスクの残した20億円のダイヤモンドの隠し場所が分かる。ルーマニア内務省国家保安部の残党に脅迫されて、本の場所がセルジウ・イサレスクの遺体の中にある事を突き止める。防腐剤が多く使用された食物を食べ過ぎたために、死後も遺体が腐っていなかった。

国家保安部残党達は、ダイヤモンドの隠し場所に仕掛けられた泥棒除けの爆薬を発火させてしまい、ダイヤモンドが灰になってしまった事から、現在の雇い主である北朝鮮から狙われるようになる。

〇やんごとなき犯罪
切り裂きジャック事件の犯人は、英国王室の関係者で、中世より伝わる魔法書『黒い光』の影響で犯罪を行ったと聞かされる。事件は書物偽造師による仕掛けで、中世の魔法書という触れ込みの偽書に連続殺人を起こさせる呪いという装飾を付け、さらに現代の連続殺人を切り裂きジャック事件とからませていた。

切り裂きジャック事件自体は、英国王室の遠縁の女性が、男装して行っていたと説明される。

書物幻戯
2011年6月6日 第一刷発行。



書物狩人の一員フィロソーフェンが、偽書を掴まされたと言い残して殺される。彼の残した本の中に、第二次世界大戦中に英国内で盗聴されたドイツ兵達の記録があり、フォン・シュポネック中将の発言を示す部分に下線が引かれている事を見つける。

フォン・シュポネック中将は、北アフリカで発見されたアレクサンドリア図書館の遺物『災厄の書』を入手して、ドイツ本国に送付しており、書物偽造師が内容を改竄し、アルカイダに渡していた。

『災厄の書』は、ナイル川の大氾濫を引き起こす知識が秘められており、スエズ運河が破壊される可能性がある。英国図書館に所蔵されている本物と比較させ、偽書であると確信させてイラン最高指導者から計画の中止命令を出させる。

書物審問
2012年11月6日 第一刷発行。



スコットランド高地の古城に閉じ込められた半井優一を含む四人の話。以下の四つの稀覯本を持ち寄る。

①練習用総譜
指揮者(有名指揮者エルンスト・シュタウファー)が持ち込む。20世紀最高の指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの練習用総譜で、暗号にて第二次世界大戦中ドイツのナチス協力者名が埋め込まれている。95歳にして音楽会に強い影響力を持つホルスト・ザンデマンの名が記されており、脅迫材料に使用出来る。

②報告
将軍(元エチオピア空軍アマン・デファル)が持ち込む。ソ連の「赤いナポレオン」と呼ばれたミハイル・ニコラエヴィチ・トゥハチェフスキーの著したソヴェエト連邦の諜報活動記録。1937以前の記録であるが、諜報活動の役職は世襲される事が少なくないため価値がある。

③ベリヤの写真集
実業家(ヤン・スワヴェク)が持ち込む。ソ連の秘密警察長官ラヴレンティー・パーヴロヴィチ・ベリヤが強姦した共産党高官の息女等の写真。ロシアでの政府高官の母や妻となっている場合、脅迫材料として有効。

④計画書
狩人(半井優一)が持ち込む。1968年にチェコスロヴァキアに侵攻したソ連軍が同国から奪った財産リスト。

上記は全てKGB枢密図書館に保管されていた本で、ハンガリー数学者イシュトヴァーン・ストーヤイの開発したコンピュータ・ウィルスがマイクロフィルムに四分割されて隠されていた。

城主は元書物狩人で、インターネットを破壊する事で、書物を復権させようとしていたが、阻止された。

P180:
ゴドフリ・シャルケン。『緑茶』や『カーミラ』といった恐怖小説の佳作を描いた十九世紀アイルランドの小説家、ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュの短編の主人公の名前でしたね。オランダに実在する画家を、作中に登場させたものと記憶しております
(中略)
わたくしも、ちゃんと『シャルケン画伯』を読んでおりました

書物奏鳴
2013年6月5日 第一刷発行。



〇魅せられた人々
龍崎コンツェルンの総帥 龍崎壮太郎からの依頼。幻の毒蝶を見つけるための資料として、『ニューギニアの動物界』を探すよう依頼される。

持主の小学六年生 緑川守は、蝶の盗難目的で父を龍崎壮太郎に殺害されており、復讐のために昆虫標本を食べるシバンムシの卵を『ニューギニアの動物界』に仕込んでいたが半井優一に阻止される。

半井優一は、代りに、龍崎壮太郎の持つオキシニウスアゲハの標本が、緑川幸作の持っていた標本と同一である事を示す資料を警察に送付する。

〇旧式の陥穽
フランス軍において、ド・マルシャン元中尉にメグレ警視シリーズの『ある男の首』を届ける仕事。元中尉は、アルジェリア独立に反対するフランス軍組織において、二重スパイとしてド・ゴール暗殺阻止に活躍しており、当時の協力者が拷問死した事で身辺を警戒していた。

襲撃する敵を、マスケット銃や合成弓等の旧式武器で撃退し、最終的な口封じに半井優一を殺そうとするも、銃口に詰め物をされていために暴発して死亡する。

〇天はみそなわす
アリシア・マーレィ(29歳)からの依頼。1990年~2006年までスイスの寄宿学校に滞在し、帰国すると祖父の家が別物になっていたと言う。叔父夫婦が、自宅にある祖父の遺産を探すために、密かに酷似する別邸を建設していた。

祖父の密かな遺産とは、『英海軍公刊戦史』の地図に書き込まれた地点の情報で、第一次世界大戦中に南米に沈没したドイツ艦艇の場が記されている。1945年から核実験が行われる以前に製造された鉄には、ガイガーカウンター等に使用可能で価値が高いらしい。

〇狩られた狩人
『七年戦争史』に関わるオークション。ナチ地下運動に関わる者の氏名が記載されていると紹介され、競り落とした半井優一が非合法取引を行ったとして逮捕されかかるが、実はジャーナリストのヨシアキ・カキザワが半井優一に変装しており、民間人を罠にかけて逮捕するBND(連邦情報局)の非合法性を訴えるという。

書物紗幕
2014年1月6日 第一刷発行。



長崎県五島列島でおきる事件。隠れキリシタンの伝統があり、密かに伝わるノストラダムス予言書の鑑定を依頼される。

鑑定には、ライデン大学のエメリトゥス名誉教授(ミスター・クラウン)も招聘されていた。

ミスター・クラウンは、五島で殺人事件を起こし、連鎖的に殺人事件を発生させる事で、ノストラダムス予言書の呪いを立証し、海外での災厄の種にするつもりだったが、逃走する船に半井優一が追いつき、以後、二人の行方は知れない。

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