戦争の物理学

読んだ本の感想。

バリー・パーカー著。2016年3月25日 第一版第一刷発行。



1 はじめに
戦争における新兵器開発における物理学の重要性について。

2 古代の戦争と物理学の始まり
チャリオットや銅・青銅・鉄などの話。

物理に関する新たな発見は、古代においても兵器に活用され、投石機は重力を「梃子の原理」で活用する。

3 古代の兵器の物理学
速度 = 加速度 × 時間。

弓射においては、矢を加速させるためには力を加える必要がある。物体に作用する加速度は力の大きさに比例し、質量に反比例する。

力と密接に関わるのは「慣性」の概念で、物体には動きの変化に抵抗する特性があり、静止しているか等速直線運動している物体は、外部から力を加えない限り、その状態を継続する。

弓の仕組みは、射手の筋肉を位置エネルギーに変換し、さらに矢の運動に変換するもの。別の表現をすると、弓はエネルギーを蓄える機械で、射手が低速で弓を引き、エネルギーを高速で解放する。

〇運動量
質量と速度の積で表される。衝突時に重要になる概念で、重い物体が軽い物体と衝突した時に、軽い物体の方が影響を受ける。力の大きさと、作用した時間の積が力積で、運動量の変化を表す。

4 ローマ帝国の勃興と、英仏の初期の戦い
ローマ軍のバリスタや、英軍のクロスボウの説明。

ロングボウは、150㎝~190㎝の長さがあり、長い分、弦を引く距離が長くなり、威力が大きくなる。有効射程距離は180mほどと伝えられる。

5 火薬と大砲
中国で発明された火薬が、欧州で多用される過程。

6 時代を先取りした三人
―レオナルド・ダ・ヴィンチ、タルタリア、ガリレオ

レオナルド・ダ・ヴィンチの種々の発明や、ニコロ・タルタリア(弾道学の創始者)、ガリレオ等。

〇ニコロ・タルタリア(1500年~1557年)
アリストテレスの自然運動、強制運動の概念を否定。彼が否定するまで、砲弾等の投射物は強制運動をしており、砲弾が砲身を離れた後に加速すると考えられていた。

実際には、砲弾は砲身を離れた直後から減速し、①砲弾が砲身が向いた方向の延長線上に飛ぶ、②力を無くし始めて軌道がカーブを描く、③地面に向けて落下するという三段階を経る。

タルタリアは、大砲の照準を定める作業を補助する象限儀を開発した。

ガリレオは、弾道学をさらに進展させ、以下の知見を得る。

①物体は一定の加速度で落下する
②運動している物体は、外力を受けない限り、運動を継続する
③加速している物体の移動距離は、移動時間の二乗に比例

7 初期の銃から、三十年戦争、ニュートンの発見まで
大砲と銃器が進歩するに従って被害者数も増加し、三十年戦争で大きな災厄を齎した。

ニュートンの万有引力の法則(引力は、二つの質点の質量の積に比例し、互いの距離に反比例する)は、弾道学に大きく影響下らしい。

8 産業革命の影響
大量生産される後装式の銃やフリントロック等。

9 ナポレオンの兵器と電磁気の発見
ナポレオンは新兵器導入には消極的で、ライフリングを施した銃が射撃に時間がかかるとして滑腔銃を多用した。

彼の快進撃の要因の一つは、七年戦争の戦訓からジャン=バティスト・ヴァケット・ド・グリボーヴァルが導入した軽量火砲にあるとする。大砲の仕上がり精度を向上させて共通部品を使用し、砲弾の規格を統一し、移動が楽になったとする。

この時代に電磁気について研究が進む。

10 アメリカの南北戦争
雷管(火種を使用せず、少量の雷酸水銀を叩いて着火する)や連発銃、ミニエー弾(円錐形で底が窪んでおり、火薬の爆発で底が膨張して銃弾内部に密着する)等の発明。

滑腔銃の有効射程距離は90m程度だが、南北戦争で使用されたエンフィールド銃等はライフリングが施され、平均的兵士が230mを有効射程距離にしたらしい。

11 銃弾と砲弾の弾道学
弾道学は以下に分けられる。

①砲内弾道学
実包(弾丸、発射薬、雷管、薬莢)が点火してから銃口から弾丸が飛び出すまでを扱う。爆発の力で弾丸は加速するため、銃身が長いほど、弾丸の銃口初速は速くなると考える。

②過渡弾道学
弾丸が銃口を離れてから、弾丸後方の圧力が周囲の大気圧と同じなるまでの運動を扱う。弾丸後方で膨張するガスが底面に対して均等に広がり、側面に回り込んで弾道を変えないようにする。

③砲外弾道学
重力を影響を受けて飛ぶ時の弾丸の動きを扱う。水平運動(銃口初速が持つ運動)と垂直運動(重力による自由落下)から、弾道が放物線を描くとする。

④終末弾道学
標的に当たった後の弾丸の挙動を研究する。貫通力の数値化等。

12 航空力学と最初の飛行機
1903年に発明された飛行機の話。

13 機関銃の戦争―第一次世界大戦
機関銃を始めとする新兵器による戦争の悲惨。

14 無線とレーダーの開発
1860年代に、ジェームズ・クラーク・マクスウェルは以下の数式化し、電磁波の法則を明らかにした。

①電荷の周囲に電場があり、同じ向きの電場は反発し、異なる向きの電場は惹きつけ合う
②磁極にはN極とS極があり、常に対になって存在する
③電場が変化すると、磁場が生じる
④磁場が変化すると、電場が生じる

電波は電磁波の一種で無線やレーダーに活用された。

〇レーダーについての説明
マイクロ波を使用する場合、短時間だけマイクロ波を送信機から送信し、マイクロ波が目標物に到達すると、そのほとんどは反射して飛び散るが、一部は送信機に戻り、そのエコーを検出して増幅させる。レーダーの波は光束で移動するため、エコーは即時に受信出来る。

15 ソナーと潜水艦
潜水艦は浮き沈みする。潜航している時は船内平均密度が水より大きく、浮上している時は船内平均密度が水より小さい。密度を変えるために船内にバラストタンクを備えており、浮上する時は圧縮空気をバラストタンクに送り込み、潜航する時は空気を抜いて水を入れる。

16 第二次世界大戦
レーダーの新技術、ミサイル、ジェット機、暗号解読のためのコンピュータ技術等。

ジェットエンジンはドイツのメッサーシュミットMe262で実用化され、高温・高圧のガスを噴出させる事で推進力を得た。

17 原子爆弾
不安定なウランの原子核に中性子を衝突させ、二つに分裂させる。類似の電荷を持つ塊は反発して大爆発する。この辺りの説明は難しかった。

18 水素爆弾、大陸弾道ミサイル、レーザー、
   そして兵器の未来

核融合(複数の原子核が融合してエネルギーが放出される)は、大量の水素を前提に太陽で発生している。水素爆弾では重水素と三重水素を用いて核融合を起こす。

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