セリヌンティウスの舟

読んだ本の感想。

石持浅海著。2005年10月25日 初版1刷発行。



以下、ネタバレ含む。

二年前のダイビング中の遭難事故で一緒だった事から、強い絆で結ばれた六人組の内、一人が自殺する。死の直後の写真から、青酸カリの入った薬瓶の蓋が閉められていた事が分かり、自殺事件について再度の検討が行われる。

『走れメロス』で生贄になったセリネンティウスに自分達を擬え、自殺者をメロスに擬える。

青酸カリは、服用後、数秒から一分程度で失神するため、薬瓶の蓋を閉める前に失神し、薬瓶の蓋が開けられていたままだった場合、青酸カリが散乱し、扇風機によって拡散され、同席していた他のメンバーも危険だった。

そのため、他メンバーに配慮していなかった疑念が持たれる。

自殺者(メロス)は本当に信頼に足る人物だったのか?

結局、自殺死体発見直後に、泣いている顔を見られないように寝ていた磯崎が自殺に協力し、薬瓶の蓋を閉めていた事になる。

自殺者は、メンバーの結婚等により、今のメンバーの結束が乱れる事を懸念し、自分が死んだ場合でも信頼が維持される事を確かめたかったらしい。全てを自白した後、磯崎は確認結果を死者に伝えるために自分も自殺する。

【登場人物】
児島克之:
主人公。27歳。府中市在住。塾講師。

吉川清美:
28歳。児島克之と結婚予定。調布市在住。市役所で生涯学習に関する業務に携わる。

三好保雄:
56歳。横浜市在住。貿易会社勤務。

大橋麻子:
27歳。世田谷区在住。飲料メーカー勤務。

磯崎義春:
自殺幇助者。30歳。品川区在住。自動車部品メーカー勤務。

米村美月:
自殺者。25歳。目黒区在住。理科系大学院博士課程に進んで研究者になるはずだった。

P81:
日常を共有しないからこそ、あのときのつながりをピュアな形で保っていられている。そのような関係である以上、僕たちの間には殺人の動機など発生し得ないのだ。人を殺すほどの何かを抱くには、その対象と抜き差しならない関係を持つことが必要だろう

P167:
僕たちが全員学生のときに、あの事故に遭っていたら。未熟な僕たちは、その関係にすがっていただろう。あの一体感、つながりに甘えて、相手に過度な期待を持ってしまっただろう。それは人間関係のきしみを生む。そして多くの空虚な言葉のやりとりがなされ、あのときに得た一体感は輝きを失う

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