神狩り/弥勒戦争

読んだ本の感想。

山田正紀著。

神狩り
昭和52年11月10日 初版発行。



1970年代が舞台らしい。

情報工学者 島津圭介が弥生時代の遺跡から見つかった古代文字を解読しようとする。

古代文字には論理記号が二つしか無く、関係代名詞が十三重に入り組んでいる。世界のあらゆる言語は五つの論理記号(連言∧、含音⊃、選言∨、否定~、必然性□)を持ち、これは人間の脳が五つの論理記号を持つ事を意味する。また、人間の短期記憶容量は七~九ユニット以下であるため関係代名詞が七重以上入り組んだ文を人間は理解出来ない。

古代文字の使用者は、二つの論理記号のみで論理を操る事が可能であり、十三重の関係代名詞を理解する人間以上の存在という事になる。

紀元前一世紀の中国の時代、鄭陰が編纂した『神仙石壁記』には古代文字を解読した者は、世界を手中に収めるという記述があり、島津圭介は諜報機関やオデッサ(ナチス残党)の争いに巻き込まれ、神と人間の接触を阻止しようとする超能力者アーサー・ジャクソンに仲間を殺されていく。

アーサー・ジャクソンは、古代文字を神が人間を弄ぶための撒き餌と解釈している。

島津圭介は、火星の砂漠に描き出される文様が古代文字が類似している事を知り、神が火星探査に警告の言葉を発していると解釈する。それは火星に人類が着陸する事で人類の論理レベルが上昇する事を意味し、人類が神と戦う時代が訪れたと主張してアーサー・ジャクソンを殺害する。

P147:
≪古代文字≫とはなんなんだ?誰ひとりとして解読することができない。だが、それが文字であることは、誰もが感じとる
(中略)
まるで、≪神≫のように

弥勒戦争
1998年9月18日第一刷発行。



1950年の話。

光クラブや帝銀事件、坂口安吾、朝鮮戦争等、当時の情景が描かれている。

独覚一族:
六神通(天眼、天耳、他心智、神作智、宿命通、漏尽通)という超能力を持つ一族。仏教における「さとり」とは遺伝的要因で決定するとして、世に不幸を招く超能力を根絶すべく、世界各地の独覚(超能力者)を見つけて、亡びの仲間に組み入れ、超能力者の遺伝子を残さない事を目的とする。

独覚ほど強力な力を持たないが、仏の声を聞く声聞という種の人間もいる。

一族では弥勒菩薩を強力な力を持つ独覚と解釈する。仏陀に反逆した調達の著した『無嘆法経典』には仏陀も弥勒も独覚と著されており、弥勒こそが悪しき独覚で滅ぼさなければならないとしている。

************

独覚一族の一人 結城弦(25歳)は弥勒が復活するという育ての親 薬草寺宗哲の予言により、薬草寺宗哲の弟 服部猛雄(日本進駐軍を超能力で操って朝鮮戦争を拡大させようとする)と対決する。

服部猛雄は、弥勒とは並の独覚を遥かに凌駕する超能力者として、その目的は増え過ぎた人間を減らす事であるとする。服部猛雄を支配する今生の弥勒は広島で被爆経験があり、被爆すれば弥勒になれる独覚が朝鮮半島にいる事から仲間を増やそうとしたらしい。

結城弦は、自らを大量殺戮を止める自然の意志として、広島の弥勒を殺害し、朝鮮戦争拡大を阻止する。大量殺戮者がいない事で日本は永い平和を享受するが、予定された大量殺戮が無い事で平和裏に滅びるかもしれない。

P90:
ブッダは<さとり>を得られると遺伝的に決定されていた。彼の誤算は、あるいは悲劇と言いかえてもいいが、その<さとり>が生理的なものであることに気がつかなかったということだ

P208~P209:
我々独覚は弥勒の捨て石なんだよ。我々全員が弥勒になる資質を備えている。誰が弥勒になるかは、単に確率と偶然の働きでしかないんだよ
(中略)
天敵のいなくなった人間には、大量殺戮者がどうしても必要だったんだ
(中略)
いつの世にも弥勒がコンスタントに出現するには、多くの独覚が存在することが前提となっている

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