タマゴマジック

読んだ本の感想。

恩田陸著。2016年3月18日 第1刷。



著者が郷里の東北に帰還した際に感じた変化を主題にしている?

『魔術師 一九九九』では1980年代後半~1990年代前半に感じた街の巨大化、『魔術師 二〇一六』では2011年の東日本大震災で感じた街の被害。

『ブリキの卵/この世は少し不思議』も含めると、恩田陸初期作品のように、「個人を超えた集団としての意志」、「集団の意志を代表する個人」、「噂の現実化」、「成長する恐怖」等が主題になっているように思う。

魔術師 一九九九
関根多佳雄が東北のS市の都市伝説等について考察する。

小学校の教室から椅子が消えた事件は、S市とI市の合併によって小学校が無くなる事を恐れた児童が、自分達だけの学校を作るためにハードを持ち出そうとしたと予想。

「赤い犬」の都市伝説は、観音様の独特の手が、日暮れに影絵のように赤い光を浮かび上がらせるとする。呪いを防ぐ「トーゴーさん」という言葉は統合を意味する。

P21:
この街自身が『大きくなりたい』と思ったんじゃないか。『もっと、大きくなりたい』と。たまたまあの市長は『彼』の傀儡になっただけなんじゃないか。彼がいなければ誰かがまた『彼』の手先となって同じことをしていたんじゃないか。なぜならば、『彼』はどうしても『大きくなる』つもりだったから

P38:
戦後、日本人は日常生活から死を隠した。障害者も隠した。年寄りも隠した。子供に対しては仕事まで隠すようになった。
(中略)
知らないと、怖くなる。死も、老いも、大人になることも、全てが特別で恐ろしいことのようになってしまう

ブリキの卵/この世は少し不思議
以下の二つの話が交互に挿入される。

①ブリキの卵
テレビ局のやらせで、宇宙人が「ブリキの卵」を投下するという噂話が広められるが、やがて噂が現実化していく。

②この世は少し不思議
エッセイ集。ギックリ腰になるとロールケーキが食べたくなるとか、鍵を失くしたと思ったら傘の中から出てきた等。

P92:
人はまっすぐ歩くことができないのだそうだ。幅跳びで踏み切る足が人によって決まっているように、必ずどちらかの足が利き足なので、何もないところを歩こうとすると、本人はまっすぐ歩いているつもりでも、結局ぐるりと円を描いてしまう

P124:
都会に来た女の子が綺麗になるのは、街中に鏡が溢れているからだ。それは、取りも直さず、おのれの視線のみならず不特定多数の視線に晒されることになるからだろう

魔術師 二〇一六
関根春が、関根多佳雄の友人 貝谷の妻の葬儀に出席するため東北のS市を訪れる。

東日本大震災後に目撃された、北に走る白馬について戦勝祈願と考える。

1614年に欧州に派遣された慶長遣欧使節団は、1611年の慶長三陸地震で津浪に遭遇した人々に、海は恐ろしいだけでなく世界へ続く道だと伝える意図があったという解釈。

P157:
バブルの頃に、街が『どうしても大きくなりたい』と思ったんだって
(中略)
ある程度の大きさになると、それまでとは異なる行動を起こす。別の論理が生まれる

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