湖賊の風

読んだ本の感想。

高橋直樹著。2001年8月10日 第一刷発行。



応仁の乱勃発前後の1465年~1468年頃の琵琶湖付近が舞台。

もぐりの船荷運び屋 魚鱗を主軸に、琵琶湖水運支配を目指す比叡山延暦寺(山門)と、本願寺、琵琶湖沿岸の商工民達の戦いを描く。

【登場人物】
魚鱗:
琵琶湖沿岸の漁師出身。幼少期に、生臭いと差別された悲しみから、漁師を辞めて凄腕の荷運び屋となる。琵琶湖水運の支配権をめぐる戦いに、本願寺・商工民の側で参戦し、比叡山延暦寺の湖軍を破る。
琵琶湖全体の水運業者の頭目となる事を目指すが、堅者隆拓の差し金によって行きつけの茶屋の娘に刺され、死の間際に堅者隆拓を道連れにして死ぬ。
自身の生臭さを消すために伽羅を焚き染める。

堅者隆拓:
比叡山延暦寺の有力坊院 護正院の独裁者。琵琶湖水運を扼する堅田の町を直務代官によって支配し、関税収入を独占するために堅田の商人達と戦う。

法住:
堅田の全人衆(商工民)を束ねる本福寺の住職。蓮如に従う本願寺門徒の有力者。魚鱗を味方にして延暦寺の軍と戦う。

P11:
将軍足利義教が暗殺されてより幕権は安定をうしない、応仁の乱へと進む世上の不安は高まりつつあったが、貨幣経済の定着による各地の交易は活発さをいよいよ増していた。
西国の物資は瀬戸内海から、そして東国と北国の物資は琵琶湖によって京都に運ばれた

P71~P72:
琵琶湖の周縁に幕府の権力が強固に根を張っていれば、一港町にすぎない堅田など、四方八方をその権力に包囲され、手も足も出ないだろう。しかし、周縁が無政府状態―多くの小国家に分断されたような状態―になれば、琵琶湖の喉もとを押さえる堅田は手ごわい。
「琵琶湖は日本のヘソだよ。京都へ通じるヘソだ。京都のまわりはどこもかしこも山ばかり。重畳と行く手をふさいで取り巻いている。平たいのは琵琶湖のみ。交易の品々は難路をのがれ、ひろびろとした琵琶湖へやって来ざるを得ないのだ」

P76:
塩合物や干魚をつくるたくさんの塩を手に入れるには、魚鱗の殿にお願いするよりないのです。西国の塩はとてもむり。無数にある淀川の関の眼をごまかすことはできませんからね。でも若狭の塩なら堅田関さえ抜ければ、運びこめます。木幡塩座の眼を盗んで大量の塩を入れる手は、ほかにありません

P125:
他力にすがる者は自力のみで生きる者より弱い。だが弱いゆえに他力は大きく集う。集う他力に限界はない

P149:
宗教には信仰心を一ツ所に集中させる「ご神体」が不可欠である

P161:
宗論の場に臨む者は「何々の経典にはこれこれと書かれている。だから自分が正しい」というふうに、自説の根拠を経典に求めて証明しなければならない。つまり膨大な経典に通じていることが必要だ

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