碓氷優佳シリーズ

読んだ本の感想。

石持浅海著。

以下、ネタバレ含む。

後味の悪い話が続く。ナルシストな優男が不幸になるパターンがあり、作者が恨みのある知り合いを小説内で不幸にしているように思えてしまう。

碓氷優佳(1980年?~)が探偵役を務める。

扉は閉ざされたまま
平成17年5月30日 初版第1刷発行。



【登場人物】
慶應大学在学中に、軽音楽部内の有志が結成した『アル中分科会』という集団を中心とする。

伏見亮輔(切れ者):
30歳。医療関係のベンチャー企業に勤める。

安東章吾(坊ちゃん):
30歳。翻訳家。アル中分科会の同窓会のために、兄 秀和が経営するペンションを提供する。

新山和宏(スナフキン):
29歳。北海道在住の公務員。重度の近眼で銀縁眼鏡をかける。

石丸孝平(丁稚):
28歳。研究室助手。

上田五月:
31歳。つくば市で研究員をしている。

碓氷(大倉)礼子:
29歳。二年前に会社の同僚と結婚して大倉姓になる。

碓氷優佳:
25歳。東工大学出身。博士課程で火山学を専攻。伏見亮輔に懸想している。

【あらすじ】
伏見亮輔が、後輩である新山和宏を殺害する。理由は、「臓器提供意思表示カード」に登録した新山和宏が、東南アジアで買春して性病に感染したために、心身清廉でない人間が臓器提供者とならないようにするため。

睡眠薬を飲ませ、風呂場に沈め、事故を装う。ドアストッパーに米粒を付着させて鍵がかかっているように見せ、死後10時間以上が経過し、臓器提供に適さない身体になるまで、放置するようにする。

死亡したペンションが古い希少な物であるために、ドアを破壊して入るのは困難であり、世間体があるために窓から押し入るのは躊躇われる。

結局、10時間以上が経過したところで、伏見亮輔が窓から入り、米粒やドアストッパー等を処理する。

しかし、部屋に入る事を止めようとした事や、合鍵を使用せずにドアストッパーを使用した事(家主代理の安藤は必要無い)から碓氷優佳に怪しまれ、新山和宏の眼鏡を浴室でなく枕元に置いた事を指摘され、敗北を認めて碓氷優佳と婚約する事になる。

P161:
冷静で冷たい優佳は、新山の生き死ににあまり興味がないのだと思っている。新山の生死よりも、なぜ新山が鍵をかけたのか、それを知る方が重要だと考えていたとしても、不思議はない

君の望む死に方
平成30年3月30日 初版第1刷発行。



前作から二年後。どちらが死んだのかは明示されない。

【登場人物】
日向貞則:
ソル電気社長。膵臓癌で余命半年程度であり、梶間晴征に殺されようとしている。

小峰哲:
ソル電気秘書課長。40代前半。研修の仕切り役を務める。

<研修参加者>
研修の真の目的は、会社主催の合同コンパで、社内結婚した有能社員が辞め難くなる事を狙っている。

梶間晴征:
30歳。ソル電気創始者 境陽一の息子。研究開発部門に所属し、欧州研究センターに赴任する予定。

園田進也:
27歳。企画部所属。堀江比呂美の友人 西田奈美を嫌がらせによって退社に追い込んだらしい(退社後は東亜フライホイールに)。

堀江比呂美:
営業部で顧客管理を担当。研修途中で園田進也と喧嘩する。

野村理沙:
広報部。

<研修ゲスト>
脈ありと思われる男女を煽る事が裏の目的。

安東章吾:
日向貞則の甥。父である安藤豊は、日向貞則の妻の兄。

国枝真理子:
雑誌編集者。安東章吾の婚約者。

碓氷優佳:
前回の研修に、伏見亮輔と参加したらしい。

【あらすじ】
余命僅かな日向貞則は、殺した友人 境陽一の息子 梶間晴征に殺害される事を決意する。

境陽一の妻 梶間由美子と一度だけ不倫し、その後、事故で殺してしまうが、その際に境陽一にスーツを掴まれ、付着した油を見咎められていた。

自分に近付き易いように、少人数で社長に対する研修に招き、掛け時計の下の椅子、アイスピック、外部から侵入可能であるよう外されたクレセント錠、空の花瓶等の殺害道具が用意された研修施設で二日を過ごさせる。

碓氷優佳に殺人教唆を見抜かれるも、無抵抗であるのは不自然とされ、武器となる酒瓶を渡される。深夜になり、梶間晴征が部屋にやって来て、どちらかが死んだらしい。

P235:
恨みの重さ、憎しみの重さ、罪の重さ。皆個人個人で秤をもっています。そしてその目盛りは、人によって違うのです。違う目盛りで他人の心を測ることはできない

彼女が追ってくる
平成23年11月10日 初版第1刷発行。



花村良太氏が気の毒だった。

貿易会社社長達が交流する箱根会で殺人事件が発生する。

【登場人物】
中条夏子:
マレー・マジック社長。30歳。黒羽姫乃を殺害する。

黒羽姫乃:
鉢植えユーカリ社長。30歳。

山懸一二三:
横浜レアメタル社長。

山懸邦恵:
横浜レアメタル副社長。

堀江比呂美:
横浜レアメタル社員。

花村哲子:
花村貿易社長。

花村良太:
花村貿易専務。27歳?

寺田善行:
寺田商会社長。30代半ば。

ファリード・チャン:
二年半前に亡くなる。シンガポール人実業家で、横浜レアメタル社員だった中条夏子と黒羽姫乃に起業資金となる遺産を残す。

碓氷優佳:
火山学者。

【あらすじ】
中条夏子は、自分と同じくファリード・チャン(故人)の愛人だった黒羽姫乃を殺害する。黒羽姫乃の方が愛されていたため?死の直前にかけた電話は黒羽姫乃宛てだったらしい。

しかし、コテージで見つかった黒羽姫乃の遺体は、花村良太のカフスボタンを握っていた。このままでは花村良太が容疑者となってしまうため、花村哲子の要請により通報を二時間ほど遅らせる。

碓氷優佳は、中条夏子にのみ推理を語る。

碓氷優佳は、犯行時刻近辺は、眠れなかったために出歩いていたという中条夏子の証言を、飲み会終了後、約三十分後に出歩いた事と矛盾するとして、中条夏子が犯人と推察。

黒羽姫乃の方でも中条夏子を殺害しようとしており(ファリード・チャンの死を喜んだため?)、カフスボタンは花村良太を共犯者に仕立て上げるために盗んだものとする。中条夏子殺害後に花村良太のカフスボタンを遺体に握らせ、容疑者となる可能性を示唆して花村良太を共犯者に仕立て上げ、自動車事故を装って遺体を処理するつもりだった?

自らが殺害される可能性も考慮し、花村良太から二つ盗んだカフスボタンの片方は、中条夏子のポケットに忍ばせていた。

碓氷優佳は、他の人間には推理を語らず、中条夏子は帰宅しようとするが、黒羽姫乃によって自動車に細工がされており、ブレーキが利かず、事故にあう(生死不明)。

P126:
こちらは経済の最前線で地べたを這うような仕事をしているのだ。象牙の塔の住人に、上から目線で見られたくない

P167:
完全に価値観がずれている。姫乃が殺害されたことや、良太が逮捕の危機に陥ったことよりも、友人が恋人と出会うことの方が重要だと言っている

P183~P184:
殺意の前駆体を。もうひとつの工程を経さえすれば、強烈な殺意に変貌する感情を抱えていた

わたしたちが少女と呼ばれていた頃
平成25年5月20日 初版第1刷発行。



短編集。碓氷優佳の高校生(私立碩徳横浜女子高等学校)時代の話。

赤信号:
同じクラスの上杉小春と友人になる。上杉小春の姉が、京都大学入試に失敗した事をネタに、学校前の交差点赤信号で止まると試験に失敗するという噂を煽って事故を引き起こし、妙な言い伝えに学校が振り回されないようにしようとした可能性。

夏休み:
同じクラスの東海林奈美絵が予備校講師と交際して成績が上がり、クリスマス頃に別れる。

彼女の朝:
学級委員長の岬ひなのが、小説を読んで泣いている事を誤魔化すために酒飲の二日酔いを装っている話。

握られた手:
同じクラスの平塚真菜、堀口久美が手をつないで歩いているために同性愛を疑われる話。平塚真菜の弱視を補助するためと指摘。

夢に向かって:
漫画家を目指す柿本千早が、プロ漫画家への道が開け、受験勉強をする振りをして浪人しようとする話。急ぐ必要は無いと諭す。

災い転じて:
同じクラスの佐々温子がセンター試験前に右手を骨折するも元気な話。ギブスを利用したカンニングの可能性を指摘するも、彼氏からの寄せ書きがギブスに書かれていた。

優佳と、わたしたちの未来:
卒業時の話。

柿本千早は公徳大学医学部、平塚真菜、堀口久美は関東理科大学、上杉小春は横浜市立大学医学部、碓氷優佳は東工大学、佐々温子は早稲田大学に合格。岬ひなのは京都大学入試に失敗。

上杉小春は三年間を振り返り、碓氷優佳が主体的に他人を救わない事に気付き、碓氷優佳と距離をとる事にする。

P193~P194:
優佳は、自主的には友人たちを救ってはいない。彼女は問題を自ら発見し、本質を捉え、解答を導き出すことができる。しかし優佳にとっては、それで終わりなのだ。問題がもたらす結果については、関心の外だ。結果が級友を滅ぼすものであったとしても
(中略)
自分が他人に何の関心も持っていないことにすら気づかない。イノセントに残酷な人間

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