お金の流れで見る戦国時代

読んだ本の感想。

大村大次郎著。2016年9月10日 第1刷発行。



戦国時代における経済について。

以下は、「ドリフターズで学ぶ本能寺の変. ノブさんの猿でもわかる中世経済講座」へのリンク。本書を参考にしたものと思う。

http://iitokolo.blog.fc2.com/blog-entry-3858.html

<室町幕府の問題>
室町幕府の財政基盤は、南北朝時代に武士達を北朝に引き寄せるために直轄領を分与したために非常に脆弱であり、後半には日明貿易も出来なくなった。1434年の遣明船の記録では、1隻の経費が1500貫文であり、朝貢費も合わせると1万貫以上(5万貫で50万石程度の大名の一年分の年貢収入)が必要だった。明の皇帝1代で100隻分の勘合符が支給されたが、8代将軍義政の時代には、勘合符1枚当たり300貫文で売っている。

3代将軍義満は、財政を安定させるために、1393年に酒屋土倉から税を徴収するようにしている。室町幕府の権威は低下していき、応仁の乱が起こったあたりから、全国で年貢未納が多発している。土地調整機能も低下し、土地争いを裁定する機関が無くなった事が戦国時代の到来を招く。

<織田信長の経済>
織田信長の祖父 信定は大永年間(1521年~1528年)に津島を支配するようになる。津島は東西の中間に位置し、木曽川の支流 大川と天王川の合流点の物流拠点。さらに尾張、美濃地区で日本陶器の6割のシェアを占めた(瀬戸、常滑焼)。さらに成岩、豊浜等の塩田がある。

占領地においては、領地の権利関係を簡略化し、所有者を明確にする事で税の多重搾取を無くしたとする。他に楽市楽座や関所撤廃、天竜川の橋等。

1568年には堺の管轄権を手に入れ、今井宗久を重用した。

<武田信玄の経済>
農地として豊穣でない甲斐で軍事力を維持するため、信虎の時代(1522年)には棟別銭(家屋や家族にかえる税金)を徴収している。信玄の時代の1542年には棟別帳(固定資産台帳)を作成し、徴税を強化。当時の棟別銭の相場である年間50文~100文を上回る年間200文を徴収した。

<上杉謙信の経済>
柏崎と直江津の二つの港を支配し、年間4万貫の関税収入があった。他に鶴子銀山や西三川砂金山、高根金山等があり、越後上布という麻織物も産した。
しかし、上杉謙信は二度の上洛の際には関東管領への就任を求めており、室町時代の価値観から脱却して天下統一が出来なかったとする。

<毛利元就の経済>
瀬戸内海と石見銀山(1582年に3万貫以上の収入)を手中にしていたが、1563年に室町幕府に石見銀山を献上している。公の権威を用いて岩見銀山を守る思想であり、足利義輝等に銀を催促されている。瀬戸内海でも村上水軍を完全には統率出来なかったとする。

<島津家貴久の経済>
琉球を通じて外部と貿易を行ったが、貴久の子 島津義久が島津家の旧領を制圧出来たのは、1576年でスタートが遅過ぎたとする(島津家は薩摩、大隅、日向の守護を務めていたが、戦国時代にはその一部を支配するだけだった)。

<長宗我部元親の経済>
土佐は九州から太平洋岸を伝って近畿に入る航海ルートの中継点で、浦戸港という良港があった。しかし、四国制覇が遅過ぎて織田信長の四国征伐(1582年)が発生したとする。

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織田信長の特徴は直轄領が少ない事にあり、家臣に与えた土地は管理させている認識だったとする。これは武家を土地から切り離す改革 = 封建制の否定とする。各土地がその所有者によって支配されていると、中央政府の管理が出来ず、各地が治外法権になり、土地所有権をめぐる争いが絶えない。政府が国全体の土地を一括管理し、方針を行き届かせるために代理を派遣する。

武家 = 土地所有者という図式を否定する思想が、本能寺の変を引き起こしたとする。

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後継者の豊戸秀吉は直轄領222万石程度を支配していたが、徳川家康の関東転封によって250万石程度という自身を上回る領土を与えている。これは石高以外の金山銀山等で他に300万石程度の収入があったためとする。

兵の供給場所としての領地の価値を分かっていなかった?

天下統一後の徳川家康は800万石を一族で支配し、三貨制や枡の統一、街道整備等の信長路線を継承しながらも、「政府による国土一括管理」は行わなかった。

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