100の地点でわかる地政学

読んだ本の感想。

編・著者:パスカル・ゴーシュン/ジャン=マルク・ユイスー。
2011年10月5日 印刷。



第一章 パワーを発散する地点
大都市には権力が集中する。権力は慣性の論理に従って、同じ場所に留まる事を好む。

1 ニューヨーク
米国最大の都市。人口800万人。米国が体現する普遍的価値観の象徴。

2 ブリュッセル
979年に建設され、人口110万人。EU諸機関の首都。ラテン系欧州(ワロニー地域)とゲルマン系欧州(フランデレン地域)の境界にある。

3 ロンドン
人口750万人。大西洋関係の欧州の橋頭保。

4 パリ
紀元前600年頃にパリシイ族により建設。人口200万人。メキシコのポルフォリオ・ディアス大統領によって改造のモデルとされ、シカゴ派の建築家からも基準とされた。

5 ベルリン
1244年に町の名が出現。人口500万人。

6 ウィーン
紀元前6世紀に建設。人口170万人。西欧とドナウ川沿い欧州の交点にあり、バルカンを通る移民が最初に目指す。

7 ローマ
紀元前753年建設と伝えられる。人口270万人。ライン川地域から隔たった地中海方向に引き寄せられる。

8 サラエヴォ
1461年にトルコ人が建設。人口70万人。セルビア圏とイスラム圏の交点にある。

9 上海
紀元前6世紀に建設。人口1800万人。中国沿海部の中心。

10 エルサレム
紀元前1700年頃に建設。人口70万人。

11 メッカ
人口120万人に対し、年間巡礼者600万人。

12 バグダード
紀元前8世紀に建設。人口700万人。南北東西の要路が交わる。

13 アムリトサル
パンジャーブ(インド西北部)の都市。16世紀に建設され、人口350万人。シーク教徒の総本山で、インド独立運動の起点となる。

第二章 パワーが織り成される地点
14 ヨーロッパ
陸地の3%、世界人口の8%、GDPの23.2%(内EUが19.5%)。

15 北米
陸地の14.5%、世界人口の7%、GDPの24.5%。聖書や啓蒙思想を欧州と共有するも、最初の入植者は欧州から逃れた者と位置付けられる。

16 ラテン・アメリカ
陸地の15%、世界人口の8.3%、GDPの8.5%(メキシコを含む)。

17 東アジア
陸地の11%、世界人口の32.5%、GDPの24.1%。中国文化、日本経済モデル、米国の介入という三つの柱がある。

18 南アジア
陸地の3%、世界人口の22.5%、GDPの6%。インド一国で地域GDPの3/4以上。異教徒に再改宗を求めるヒンドゥー教のインド人民党と国民を統合しようとする国民会議派があるとする。

19 ロシア圏
陸地の15%、世界人口の4%、GDPの4.4%。

20 MENA
モロッコからイラン、トルコからスーダンまで。陸地の10.5%、世界人口の8.5%、GDPの3.5%。

21 ブラック・アフリカ
陸地の14%、世界人口の10.4%、GDPの2.3%。

22 地中海
250万㎢、東西4000㎞、南北最大700㎞。3000年に渡る交易と侵略の場。

23 大西洋
8000万㎢、東西8000㎞。分離の地中海に対して統合の大西洋とする。

24 太平洋
1億6000万㎢、赤道付近の幅2万㎞。多段階式の国際分業の場となっている。

25 インド洋
7000万㎢。イスラム教徒の拡大の場でもある。

26 北氷洋
1200万㎢。温暖化によって開発が有望視される。

27 南極
2048年まで開発を禁止するマドリード議定書がある。

28 宇宙
新興国による開発の可能性。

29 サイバースペース
自由と監視の相克。

第三章 パワーの鍵となる地点
30 ホルムズ海峡
世界原油の30%が経由する。

31 バーブ・エル・マンデブ海峡
アラビア半島とアフリカの間に位置する。最も狭い個所は2.5㎞。

32 スエズ運河
1869年に開通し、年間2万5000隻程度がつうかする。

33 喜望峰
スエズ運河が不安定になると重要性を増す。

34 BTC
2005年に落成したパイプライン。

35 ボスポラス・ダーダネルス海峡
トルコの優位性の一つ。

36 デンマーク
エーレンス水道とスカンゲラク水道からなる海峡。ドイツのシュレスヴィヒ地方にあるキール運河と競合関係にある。

37 日本
対馬海峡、宗谷海峡。ウラジオストクのロシア艦隊への備えになる。

38 マラッカ海峡
世界タンカーの3/4が通る。

39 台湾海峡
中国との緊張関係。

40 ジブラルタル
1713年のユトレヒト条約以来、スペインと英国の係争の場となっている。

41 オトラント水道
イタリアとアルバニアの間。

42 パナマ運河
世界海上貿易の5%が経由する。閘門式で悪天候の場合は輸送が滞り、5万t以下のコンテナ船しか通れない。

43 ビーグル水道
チリとアルゼンチンが争ったが、1985年に教皇庁の裁定で、チリが太平洋側、アルゼンチンが大西洋側に権利を持った。

第四章 パワーの対決地点―係争・紛争・妥協
44 ライン川
全長1350㎞。ラテンとゲルマンの境界線であり、輸送路としてミッテルラント運河(ベルリン)、モーゼル川の運河(ロレーヌ)等があり、1992年にはドナウ川に至る運河が開通した。

45 オーデル=ナイセ線
ドイツとポーランドの国境。1990年に統一ドイツによって再承認された。

46 ポメラニア
バルト海南部沿岸地域。

47 カリーニングラード
人口100万人(8割がロシア系)。ポーランドとリトアニアの間にあるロシアの飛び地。

48 バルカン
複雑に入り組んだ民族構成。

49 コソヴォ
人口200万人(9割がアルバニア系)。

50 マケドニア
人口200万人。1/3はアルバニア系であり、大アルバニア形成のリスクがある。

51 エーゲ海
ギリシャとトルコの軋轢の象徴。

52 キプロス
人口80万人。8割がギリシア系、2割がトルコ系。トルコ軍が北部を占領している。

53 マルタ
シチリア島とチュニジアの間に位置し、不法移民の入り口になっている。

54 アイルランド
北アイルランド独立紛争がある。

55 ベルギー
人口1000万人でワロン系とフランデレン系の対立がある。

56 カタルーニャ
人口700万人。アラゴン王国の跡地で、地中海経済圏に属す。

57 バスク
人口300万人。ぶんかの固有主義が強い。

58 米墨国境
全長3200㎞で移民問題を抱える。

59 キューバ
人口1130万人。ソヴィエト連邦による庇護、経済制裁の影響、欧州左派の支援等により反米が可能だった。

60 チアパス
メキシコ連邦の州で人口400万人程度。州人口の四割が先住民族で1994年以来、叛乱の拠点になっている(EZLN:サパティスタ民族解放軍)。

61 オリエンテ地方
ボリビア東部。人口330万人。2008年に自治権拡大が住民投票で可決され、資源国有化等の問題がある。

62 マルビナス(フォークランド)
英国とアルゼンチンの係争地。

63 南シナ海
350㎢。1974年に中国がパラセル(西沙諸島)から南越軍を追い出し、1975年からはスプラトリー(南沙諸島)の係争問題が発生している。

64 尖閣諸島
1972年に沖縄とともに日本領になる。

65 ミンダナオ島
人口1800万人程度(2000年)。モロというイスラム教徒(フィリピン人口の5%程度)が住む。1950年以降、カトリックが大量に流入し、争いが起こる。

66 インドネシア
1万7000の島と2億2100万人の人口(2003年)で、1998年のスハルト政権崩壊以後、政権弱体によって派閥争いが起こっている。アチェ(イスラム)、バリ島(ヒンドゥー教とイスラム教の対立)、マルク諸島(キリスト教とイスラム教の対立)、カリマンタン島(ダヤク人の叛乱)等。

67 竹島
日本と韓国の係争地。

68 千島
日本とロシアの係争地。根室海峡は冬季に凍らない重要地点。

69 三八度線
1953年の板門店休戦協定によって定められた非武装地帯。

70 豊渓里
北朝鮮の主要な核実験場。

71 チベット
人口700万人。チベットの独立は、マクマホン・ラインを定めた1914年のシムラ条約に由来する。

72 黄金の三角地帯
ビルマのサルウィン川河口、ラオスのルアンプラバン、中国の思芽に囲まれた3万5000㎢の地帯。1970年頃には世界のアヘンの85%程度を供給していた(現在は5%程度)。

73 マクマホン・ライン
19世紀に英国がインド北部国境を定めるために設定した分割線。ヒマラヤ山脈の尾根に沿い、ブラフマプトラ川の湾曲部を経て、ビルマ国境に至る。

74 カシミール
人口1000万人程度。イスラム教徒が多数派で、インドとパキスタンの係争地。

75 近い外国
ロシア外交によって、バルト三国を除く旧ソ連諸国に与えられた呼称。

76 セヴァストポリ
クリミア半島の海軍要塞。

77 沿ドニエストル
1992年に分離独立を宣言したモルドヴァ内の共和国。ロシア系マイノリティが集まる。

78 カフカス
黒海とカスピ海の間に1200㎞に渡って連なる山脈。

79 チェチェン
人口60万人。18世紀に征服されて以来、モスクワと紛争を繰り返している。

80 グルジア
人口440万人。総人口に占めるグルジア人の割合が2/3であり、モスクワに支援された分離運動に揺さぶられている。アジャリア、南オセチア、アブハジア等。

81 アルメニア
人口300万人。インド・ヨーロッパ語族の中で孤立した言語、三世紀にキリスト教化した古代王国、451年のカルケドン公会議を受けてのローマ教会からの分離等により固有主義が強い。ナゴルノ・カラバフ帰属問題をアゼルバイジャンと抱えており、1992年~1994年の戦争で、連絡路のラチン回廊とともに軍事占領している。在外者は欧米諸国に160万人おり、欧米はアルメニアの主要援助国となっている。

82 タタールスタン
ヴォルガ川流域の自治共和国。人口350万人。総人口の43%はロシア系。16世紀に征服された後、タタール人はロシアのアジア進出の先兵となっており、強制移住の対象ともなっていないため反ロシア感情は弱いとする。

83 アムール川とウスリー川
アムール川(シベリアからオホーツク海に至る大河)。支流のウスリー川はウラジオストク付近を源流としてハバロフスクに至る。2001年の善隣友好条約で中ロの係争点ではなくなった。

84 グリーンライン
1949年に設定されたイスラエルとガザ、ヨルダン川西岸を分割するライン。

85 ゴラン高原
1967年からイスラエルが占領する1800万㎢の高原。イスラエルの水源の15%を供給し、ダマスカスやガリラヤを見下ろす長射程砲の砲台となる。

86 シナイ半島
スエズ運河とティラン海峡を監視出来る位置にある。

87 クルディスタン
アナトリア東部、ザグロス山脈、トロス山脈の間の地帯。1920年のセーヴル条約ではクルド国家の建設が定められたが、1923年のローザンヌ条約でトルコの主権が認められた。並行してモースル地域はシリアからイラクに移され、4000万人のクルド人がに少数民族なった。

88 レバノン
人口400万人。

89 クウェート
人口310万人。1756年にサバーハ家の支配が始まり、1922年に主権を得た。

90 アフガニスタン
人口310万人。パシュトゥン族、タジク族が人口の1/3ずつで他に少数民族が住む。

91 カビール
アルジェリア北部。山岳の避難地帯となっており、人口は600万人~700万人で、総人口の1/4程度。7世紀にアラブ人が侵攻した際にはベルベル人の避難地帯になった。1980年には「ベルベルの春」を頂点とする騒乱が発生。

92 ダルフール
スーダン西郡。人口600万人。アラブ系とアフリカ系の紛争がある。

93 ヨルダン川
全長251㎞。ヘルモン山を源流とし、ティベリアス湖を経て死海に注ぐ。地域住民1300万人の主要水源。

94 ティグリス川とユーフラテス川
ティグリス川(全長1900㎞)、ユーフラテス川(全長2780㎞)。1970年代以降、南東アナトリア・プロジェクトを進めるトルコやシリアでの整備工事が流量を左右している。水資源をめぐる争いがある。

95 ナイル川
ウガンダとエチオピアの二つの源流があり、七カ国を経て地中海に注ぐ。

96 ルワンダ
人口900万人、面積2万6349㎢で、人口密度は1㎢あたり220人とアフリカ最高。1994年に民族虐殺が開始し、50万人以上が殺害された。2050年には人口2000万人に達する勢い。

97 コンゴ
人口は地域最多の6300万人。国語が5つで多様な民族を抱えており、騒乱が発生する。

98 エチオピア
人口7000万人。高地部は古代に伝播したコプト派キリスト教の名残があり、共産主義(メンギスツ政権:1974年~1991年)を経験。1896年には皇帝メネリクがアドワでイタリアに勝利している。周囲のイスラム地域であるエリトリアとオガデンを支配していたが、騒乱の原因となっている。人口の半分はイスラム教徒だがキリスト教国と見られている。

99 ギニア湾
サハラ以南のアフリカ総人口の1/3(二億人弱)と世界の原油産出量の5%を擁している。ナイジェリアだけで人口1億3000万人で日量200万バレルの原油を産出。

100 カザマンス
セネガル南部。人口80万人。ガンビアが間に挟まっており、宗教が異なる(アニミズムとキリスト教)ため地域から孤立している。1982年に叛乱が発生している。

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