見えない復讐

読んだ本の感想。

石持浅海著。平成22年8月30日 初版発行。



「法人」という曖昧な存在に復讐する話。

大学院生 田島祐也は、自分の所属する研究室の秘書 松居里子(29歳?)が横領の濡れ衣で自殺した事を恨んで、母校である東京産業大学への復讐を決意し、起業して復讐資金を集める。

曖昧な「法人」である東京産業大学への復讐というテーマであったが、途中で横領は大学の理事達の仕業だった事にして、彼等を殺した事で復讐が完了する。

多分、作者も曖昧な存在である「法人」への復讐方法が分からなくなったのだと思う。

【登場人物】
田島祐也:
機械のように動く大学院生。身長175㎝くらいで端正な容姿。経営学修士に進学し、エフ・シー株式会社を起業する。起業目的は、東京産業大学への復讐のための資金稼ぎであるらしい。

中西邦夫:
エフ・シー株式会社 副社長。中肉中背で細い釣り目。工学系大学院生。

坂本保久:
エフ・シー株式会社 副社長。小太りで長髪。工学系大学院生。

小池則久:
40歳~41歳?元公務員だが株式取引で大儲けをしてベンチャー・キャピタルを運営し、エフ・シー株式会社に投資する。同級生の稲田が自殺した北四号館の低い柵を放置している東京産業大学を恨んでおり、エフ・シー株式会社に投資した理由は復讐を代行してもらうため。弦巻達男が父親を殺すよう誘導した事で、その意図を田島祐也に見抜かれ、自殺を装って殺される。

富岡絵里子:
私立大学生で小池則久の会社でアルバイトをしており、後に田島祐也と結婚する。

弦巻達男:
さいたま工科大学の学生で、年生からエフ・シー株式会社の契約社員になる。母親を虐待する父親を憎悪しており、小池則久から「お母さんを大切にね」という暗示を受けた事が原因で父親を殺害し、自首する。小池則久の目的は、弦巻達男の復讐を利用して、田島祐也の復讐心を燃え上がらせる事であったらしい。

P5:
曖昧な存在に対して、人は明確な意志を持ちにくい
(中略)
企業から解雇された人間がいるとする。その人物は、会社を恨むだろう。しかし、彼は具体的に誰を恨めばいいのか。社長か。人事部か。
(中略)
彼自身にもわからないだろう。憎むべき相手が確かに存在するのに、どう憎めばいいのかわからない。それはとても辛いことだ

P116:
憎しみは、奴らのうち誰かを、あるいは全員を殺すことによって消え去るのか?
(中略)
消え去りはしない
(中略)
大学そのものを消してしまえばいい。そうすれば、これ以上復讐のしようがなくなる。心は満たされないかもしれないけれど、少なくとも終わりはやってくる

P242:
小池にとっては、起業家などゲームの駒に過ぎない
(中略)
経営者として実際に雇ってみると(中略)社員は家族同然
(中略)
経営者と投資家の差が、ここに現れた。投資家は、徹底して部外者であることが求められる。しかし、経営者はそうでないのだ。その違いが、今夜、二人の道を決定的に分けてしまった

P244:
復讐の相手を変えました。大学そのものではなく、理事たちへと。つまり法人という姿の見えない復讐ではなく、はっきりと相手の姿が見える復讐を選択した

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