数学はなぜ生まれたのか?

読んだ本の感想。

柳谷晃著。2014年4月20日 第1刷発行。



第1講 0はなぜ偉大か?
最古の位取り記数法は紀元前2000年頃の古代バビロニアで作られ、紀元前後の中国、3世紀~9世紀のマヤ、6世紀~8世紀のインドでも作り出されている。

インドアラビア数学は位取り記数法(10進法)であるために記録と計算が便利。503と53を区別するために、5と3の間に0がある必要があり、それが無いと「503」は「5 3」と記す事になり、「53」と間違え易くなる。

0は位取り記数法を完璧に成立させる。

第2講 2次方程式の解の公式を覚えていますか?
古代バビロニアの粘土板の問題集は係数や定数を代入する箇所が無いために、問題集の文章を自らが解きたい問題に変換しなくてはいけない。

フランソワ・ヴェエト(1540年~1603年)は代数学の父と呼ばれ、公式の文字部分に数値を代入する方法を考案。未知数の前の係数や定数を文字で表現する事で2次方程式の全ての形を表す一般方程式を作った。

どのような2次方程式の解も、係数や定数から求める事が出来るようになる。

フランソワ・ヴェエトが仕えたアンリ4世は、ナントの勅令でユグノー戦争を終結させ、国家再建のために公共事業を行ったために数学の発展が望まれていた。

第3講 三角比はなぜ生まれたのか?
直角三角形の斜辺とその他の辺の比が、直角三角形の大きさに関わらず一定である事は土木建築において重要だった。

ギザのピラミッドには黄金比(1:(1+√5)/2)が使用されているが、√5を求めるには、底辺:対辺 = 1:2となる直角三角形の斜辺を求める。

第4講 古代ギリシャで「証明」が生まれたのはなぜか?
論理的な証明は対等な関係を結んだギリシャの都市国家間で必要とされたとする。

皇帝が存在する地域では、説得すべき相手が納得する話し方が必要であり、故事来歴のレトリックが重んじられた。

〇数学的帰納法
命題P(n)に対して以下を証明。

(1)n = 1の時
(2)n = kについてP(n)が成立していると仮定し、
  n = k + 1の時にP(n)が成立する事を証明する

つまり、(1)で n = 1の場合にP(n)が成立する事を証明し、(2)でk = 1とすればn = 2の時にP(n)が成立する事を証明し、n = 3,4,5と将棋倒し的に証明していく。

この方法論は、無限の扱いに注意する必要があり、帰納法が正確に証明出来るのは数学的帰納法のみとする。

〇背理法
数学の証明は真か偽の二つの結論しかない。そのため、AならばBが成立する事を示すと、Bを否定すればAも否定出来る。

背理法は紀元前五世紀のタレス、ゼノン、ピタゴラス等の哲学者の論争を起源とし?、無理数(分数で表現出来ない数)を認めないピタゴラス学派を批判するためにゼノンが考えた「飛んでいる矢が止まっている」パラドックス等に由来する?

時間と空間が点と瞬間から出来ているピタゴラス派の思想では、飛んでいる矢はこれ以上は分割出来ない瞬間に、自分と等しい空間を占有しており、隣の空間に移動する時は、瞬間的に矢の長さ分だけ移動しなくてはならない。

この方法論は現象の変化過程を説明するのには向いていないとし、現実には真偽二つの結論しか無い事象は少ないかもしれない。

第5講 アルキメデスに学ぶ微分積分:微積分入門Ⅰ
アルキメデスは、球の表面積や弓形の面積、回転体の体積を計算する時に積分法を見い出したとする。

円の面積を計算する時は、円の中心を頂点とし、円周の外側と内側に接する二等辺三角形を作っていき、円の面積が内側の二等辺三角形の面積の和と、外側の二等辺三角形の面積の和の中間とする。

二等辺三角形の頂点の角度を小さくしていけば円の面積を近似出来る。

アルキメデスは微分についても研究しており、微分を接線を求める方法とした?円の接線は、円の中心と接線を結ぶ線に垂直になる。

第6講 リンゴが落ちても、万有引力は生まれない
    :微積分入門Ⅱ

惑星軌道について研究したケプラー(1571年~1630年)は、惑星の楕円軌道における面積速度を求める際に、楕円を三角形で分割し、三角形の面積を足し合わせる事で楕円の面積を求めた(積分の応用)。

ケプラーの時代には積分が微分の逆の計算になる事が知られておらず、xの二乗を微分すると2x、2xを積分するとxの二乗のような応用が出来なかった。それが分かっていれば、微分の式に変換出来た?

エヴァンジェリスタ・トリチェリ(1608年~1647年)が物体の落下速度の計算から、微分積分の対応に気付いたとする。速度と位置を考えると、速度と時間軸で囲む部分の面積が物体の位置になる(=速度を積分すると位置になる)。そして物体の位置は放物線運動をしているため、その接線は速度にあたる(=位置を微分すると速度になる)。

さらにアイザック・バロウ(1630年~1677年)が微分と積分が逆の計算である事を証明した。

第7講 平行線が交わる幾何学:非ユークリッド幾何学の世界
ユークリッド幾何学の第五公準である「平行線が交わらない」は証明出来ていない。

第五公準が崩れると、平行線が一本だけという事が崩れるため、三角形の内角の和が180°である事も疑わしくなる。

第五公準:
一つの直線が、二つの直線と交わって、同じ側に足して180度より小なる内角を作る時、その二直線を限りなく延長すると、その内角のある側で交わる。

非ユークリッド幾何学」
ロバチョフスキー(1793年~1856年)とボヤイ(1802年~1860年)による、第五公準を捨てて、平行線が沢山ある定義を入れた幾何。平行線が何本も引け、三角形の内角の和が180°より小さくなる。

ケーレー(1821年~1895年)は、ユークリッド幾何学が無矛盾ならば、非ユークリッド幾何学も無矛盾とした。

リーマン幾何学:
第五公準の代りに以下の公理を使用。

(1)2点を結ぶ直線は、一本とは限らない
(2)平行線は存在しない

球面上の円を考えるとイメージし易いらしい。アインシュタインはリーマン幾何学を使用して相対性理論を作った。

第8講 コンピュータはなぜ2進法で考えるのか?
数学的な論理は、「かつ」、「または」、「否定」だけで式の形に出来るし、それを変形して別の命題を導く事が出来る。

つまり、数学の論理とは定義に従った論理式の変形である。

そのため、現実を完全に包括する事は出来ない。

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