黒猫の遊歩あるいは美学講義

読んだ本の感想。

森晶麿著。2011年10月20日 初版。



何となく合わなかった。説明の仕方がおかしい

博士課程一年目の主人公と24歳の大学教授 黒猫の雑談が続く。

第一話 月まで
主人公の母が持っていた、現実と違う所無の地図について。

主人公の母親の恋人だった扇教授が、ユートピアを求めて描いたと説明。マンション『アラベスク』と照明デザイン店『エヴァンテール』だけ場所が変わらず、『アラベスク』に近い建物は全てが片仮名表記で、外部に向かうに連れて漢字が多くなる。それは、主人公の母親の住む『アラベスク』から光が発信され、最も遠い所に敢えて配置された扇教授の父親が営んだ『エヴァンテール』に向かう事を意味するらしい。

〇モルグ街の殺人の解釈
舞台となるパリには意図的に現実との相違がつけられ、虚構の街である事を示す。パリを知の都とし、そこに野蛮から訪れた語り部が、探偵役と図書館(閉鎖的な知の象徴)で出会う。犯人はパリの住人ではない野蛮。

第二話 壁と模倣
主人公が大学四年の時の事件。

批評家 関俣高志の長男が首吊り自殺をする。彼は父親の人格を模倣していたが、好意を抱いた女学生ミナモが黒猫を好いている事を知り、黒猫の模倣をするようになる。黒猫の真似をしてピアノを演奏している最中に自分の名前を呼ばれ、さらに女性の悲鳴が聞こえたとされた事で、妻を殺して自殺した父親の模倣をして自殺したらしい。

〇黒猫の解釈
人間は状態を変化する時に壁の内部に移行する。天邪鬼の精神を持つ黒猫の語り部は、他者を傷付ける代償行為を得て、自己破壊に至るが、他者を壁の中に追いやる行為の中に、自己が壁の中に至る萌芽がある。母胎回帰の一種であり、自分の妻を壁の中に埋める事で母と一体化させ、やがて操られるように壁を崩す。

第三話 水のレトリック
香水作りの職人いろはが探している男性の話。

ステレオフィッシュというバンドのボーカルをしている男性 柚木であり、小学校の時に同級生だった主人公の事を未だに想っている?らしい。

〇マリー・ロジュの謎の解釈
現実の事件では煙草売りだった被害者を香水売りに変えたのは、セーヌ川を香水に見立てたからだと説明。香水店の売り子が巨大な香水壜の中で息絶える。

第四話 秘すれば花
学会に訪れなかった井楠准教授(28歳)を探して愛知県まで行く。井楠准教授はその場にいない人間に恋をする習性があり、自らが出家して世界から自分を隔離し、そこに黒猫が訪れる事で自らの恋を永続化させたいらしい。

〇盗まれた手紙の解釈
犯人であるDがデュパンに行った仕打ちは説明されず、手紙の内容も明かされない。Dは『偽デュパン』を象徴しており、報復の言葉を引用して物語は終わる。かかる痛ましき企みは、よしアトレにふさわしからずとも、ディエストにこそふさわしけれ。ギリシア神話のアトレは妻をディエストに誘惑された報復にティエストを晩餐に招いて彼の三人の子を殺す。

第五話 頭蓋骨の中で
映画監督 柄角監督の自殺について。

別名義で詩人 織条富秋として活動しており、死に向かう自己を担当している。黒猫の姉である冷花が入院したと聞き、自己と他者が未分化であるために死に至る。ちなみに冷花は死なずに退院する。

P206~P207
梶井の短編『ある崖上の感情』では、自己のサディズムに苦しむ青年・生島と聞き手の青年・石田という二人の人物が登場する。石田は、生島を<欲情を感じる男>、自分を<もののあわれを感じる男>と対照的に規定している。しかし、生島のほうでは、石田を自分の分身と捉えている
(中略)
エロスの欲求にもがき苦しむ生島には『生』の字が、死を目撃する石田には『石』の字が当てられている。冷たく硬い存在である石は、死の象徴でもある

P210:
丸善の本の上に檸檬が置かれる。本もまた死の寓意表現だから、上の檸檬は梶井の意志、あるいは、躍動的で色鮮やかな生の象徴だろう。西洋絵画を愛していた梶井は、死のモチーフの中に自己の意志を置き、勝利を高らかに宣言する、という絵画的試みを小説上で行った

〇黄金虫の解釈
頭蓋骨のモチーフ。探偵役ルグランに付き随うジュピターは頭蓋骨にあたり、羊皮紙は頭蓋骨でそれに書かれる暗号が脳。主人公達は知という頭蓋骨に穴を開けて脳である財宝を手にする。宝を隠したキッド船長は、ルグランという分身を通して自己の財産を奪還し、人間の意志と頭蓋骨の意志が一致して物語は終わる。
ルグラン宅に語り部が訪れる行為は、家という頭蓋骨の内部に入り、ルグランの脳内を覗き見る行為であり、訪問の後にルグランの様子がおかしくなるのは脳に侵入されたからと解釈出来る。

第六話 月と王様
ギリシア音楽の老研究者 郷田紘史の自宅の書庫で音楽が聞こえた話。

郷田紘史は自らの骨を操作して口の開閉の強弱で音階を操っていたらしい。

追う王:
ギリシアの劇作家シュステマイオスによる悲劇。姿を消した王妃を探す王が冥界で王妃を探し出すも、それが王妃である確信出来ず、互いに視線をかわす事なく生活する。暗殺された王の彫像は王妃を探している姿であった。

〇大鴉の解釈
探偵小説の一種という解釈で、主人公は質問する事で大鴉が楽器であると見抜き、大鴉の口にするNevermoreという言葉で主人公の感情のヴェールが剥がされる。

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