スメラギの国

読んだ本の感想。

朱川湊人著。2008年3月15日 第1刷発行。



以下の二つの物語が上手く融合していないように思えた。作者の当初の計画では、交通事故によって子を失った人間と猫が対決する話だったのではないか?

①猫との戦い
香坂志郎が子猫?を自動車で轢き殺した事で、猫の集団から命を狙われるようになる。途中から何故か猫達は、香坂志郎の運転する車に意図的に轢かれる事で精神的打撃を与えるようになる。最終的には猫の親玉と対決する。

②交通事故によって子を失う
交通事故によって9歳の息子 悟を失った村上が、交通事故によって人を殺しながら大して罪に問われていない中平忠五郎を殺そうとする。人間並みの知能を持った猫のチョコが、幽霊となった悟の声を村上に伝え、殺人を止めさせる。

******************

途中まではスプレーや犬(オズワルド)によって猫の集団と戦っていたのに、いつの間にか自動車で猫を轢き殺す事に精神的打撃を受ける展開になっている。

<ヒュン>
猫に似た動物で体が光る。蛹から生まれ、体が傷つくと蛹になって回復する。眉間と喉元に超音波を発する突起があり、超音波によって破壊や、他の猫の知能を向上させる事が出来る設定。

【登場人物(猫)】
香坂志郎:
26歳の事務機メーカー営業マン。自動車事故で、スメラギ(マツ)の子を轢き殺した事で猫の集団から襲われるようになる。学生時代は男娼をしていた。

深町麗子:
25歳のデザイナー。香坂志郎と交際しているが、猫との戦いに巻き込まれ、猫による交通事故で右足を切断する重傷を負う。

佐久間不二彦:
26歳?の小説家。香坂志郎の友人で、身長170㎝、体重110kgの巨漢。最後の戦いでは猟犬三匹をスメラギ(マツ)に嗾ける。

村上:
香坂志郎の会社の主任。息子を交通事故で殺されて精神的に病んでいる。最後は『交通事故被害者の人権を守る会』を始めたらしい。

スメラギ(マツ):
ヒュン。他の猫の知能を向上させる。単性生殖で出来た子のプリンスが香坂志郎に轢き殺された事で騒動が起こる。最後の対決の後は蛹になって傷を癒しているらしい。

ルイ:
スメラギ(マツ)の国を作ろうとする側近。スメラギ(マツ)の子が殺された事を切っ掛けに香坂志郎との戦争を始めるが、スメラギ(マツ)に粛清される。

ジンゴロー:
自由な猫の生活を愛する。雌猫で香坂志郎と猫達との戦争では中立的立場であったが、子(ラッキー)を人質にとられて、香坂志郎の運転する自動車に轢かれるよう強制される。

ヨアヒム:
人間の言葉を話す。ジンゴローの子の父親。香坂志郎の家に出入りしていたが殺される。

アイス:
70歳の老婆 佳代に飼われている。スメラギ(マツ)によって知能を強化されるが、ルイに強制されて香坂志郎の運転する自動車に轢き殺される。

チョコ:
アイスの弟。人間に襲われた事で耳が不自由になる。人の言葉を習得し、村上の殺人を止める。最後は佳代の家に戻ったようだ。

P116:
力による支配をしているのではなく、何か別のもので猫たちを惹きつけているような気がする。強いて言えば、そう、神秘的なカリスマ性のようなもので

P142:
仲間はずっと前からいた。しかし、それはたまたま同じ動物に生れ、同じような習性、同じような特色を持っているというだけのことだ。しかし、今の新しい猫たちは違う。みんなでオウさまの森に集まっていると、それぞれの猫たちと不思議な繋がりのようなものを感じる

P199:
天才は、頭脳や行動力ばかりがあってもダメなんだよ。人をひきつけるカリスマ性みたいなものがないと……そうして同調する人間を集めたコミュニティーを作って、時代を変える足掛かりにするんだ

P297:
クニってわかるかい?自分たちだけのマチさ。他の動物は締め出して、自分たちだけで生きていくのさ。ほら、僕たち、普通の猫じゃなくなったろう?だから、そうするのが当たり前だって、ルイが言ってるんだ

P330:
人間の弱点の一つ―死、あるいは死んだものを恐れる―を、見抜いたのかもしれない

P455:
もう誰もいなくなってるよ。ルイのやつの仕業さ。もしかしたら、あいつはあんたを独り占めしたかったのかもしれない

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