楊貴妃伝

読んだ本の感想。

井上靖著。2004年8月15日第1刷発行。



楊貴妃(718年~756年)の22歳~38歳までの話。

全てに飽きた唐の皇帝 玄宗が慮外を見せる南部出身の楊貴妃、北部出身の安禄山に心を奪われて破滅していく。

P29:
余は何もかも望みは叶えてしまった。さして、もう新しく望むものはない。そう、ただ一つある。いつまでも生きたい

P39~P40:
蜀の生まれであるという一事は、自分もそう信じていたし、人も疑わなかった。その顔容や体つきは全くの南方の生れであることをはっきり物語っていた。脂肪のたっぷりとのった豊満な体は北方にはないものだったし、その眼の明るく澄んだ蠱惑的な美しさもやはり北方の女性には見られぬものであった。それから水っぽい果物と香辛料を好む嗜好も、南方人の血を思わせるものがあった

P50:
玄宗はこの世に於て、自分が為さないで残されていることは殺伐なことと荒淫しかないと思った

P54:
人間の持ち得る限りの大きい権力を持ってしまった玄宗の心が、若し夢を持ち得るとしたら、永遠に老いないで生き永らえることか、空中を自由に飛行することか、一瞬にして自分ではない他の何ものかに変化することぐらいであった

P100:
玄宗は永遠に生きる奇蹟を望んでいたので、それを望み得るような不可思議なことが、この地上に数多くひそんでいて貰いたかった。頭が赤く、体の青い鳥の出現したことを、まことしやかに話す安禄山が意に適っていた

P203:
本国の武備は驚くほど手薄であった。兵になる志望者は全くなかった。兵になるとみな辺境に連れて行かれ、そこで死ぬまで苦使されるというので、兵になるべき者はみな逃げ匿れた

P256:
玄宗は他の事なら何でも陽国忠の言を容れていたが、安禄山に関することになると、いつもこれに従わなかった。これだけがただ一つ陽国忠に対する抵抗でもあるかのように、その言を容れず、安禄山をかばった

P261:
辺境に変があるということは予想されたが、都長安はそのためにどのような影響も受けようとは思われなかった。所詮問題は何千里も隔った辺境のことであった

P281:
皇帝というものは、誰から命じられてなるようなものではございません。国を樹てるに足るだけの領土を持ち、その領土を護るに足るだけの軍隊を持ち、そして、自分がその土地と人を統べるだけの力を持たなければなりません。雑胡めは、ついにそれを持ったのでございます

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード