ワールドエンドエコノミカ

読んだ本の感想。

支倉凍砂著。

文章が長い。長過ぎる。もっと短くて良いはず。

近未来の月面にて株式市場で大儲けする話。主人公達が馬鹿過ぎてイライラしながら読んだ。

投資プログラムによる人間のトレーダーの駆逐というテーマが有耶無耶になった印象。人間心理を読み解く事が出来るのは人間のみとしているが、それでは繰り返しバブルが発生する理由を説明出来ない。

主人公を英雄に仕立てるためには、投資プログラムを否定しなくてはならないが、その論理が曖昧にされている。

WORLD END ECONOMiCA Ⅰ
2014年12月10日 初版発行。



川浦ヨシハル(16歳)が数学の才があるハガナ(アンナ・ハーグ)という少女に、トレード用プログラムを組んでもらい一儲けするが、偽のインサイダー情報を掴まされて破産する話。

P201:
フレイザーの『金枝篇』
(中略)
百年以上前に物好きなイギリス人が、世界中の神様の話を集めた本

P215~P216:
ロイド・F・スティール著『数学定理』。有史以来の数学の定理を集めた本だって。これを、最初から逆算しているみたい
(中略)
本には千いくつか数学の定理が載っているらしいんだけど、ついこの間、八百個目の定理を導き終えたと言ってた

P367:
千百二十一個中、八百四十一個目まで、地球の数学の歴史を逆算した。解けなかったものは、一つもない

P580~P581:
ハガナのプログラムが俺のすべてをコピーし終わり、完全な自動化プログラムを作り上げたとしたら?現時点で、俺の生身の人間としての処理能力は限界に達している
(中略)
俺のやっていることが、別に俺でなくてもいいような、単純作業となんら変わらないからだ

WORLD END ECONOMiCA Ⅱ
2015年3月10日 初版発行。



エンロン事件をモチーフにしている。

川浦ヨシハル(20歳)が、4年前の投資コンテストの成績を評価されて株式市場での取引を行い、アバロンという電力取引会社が存在しない発電所の電力を売買して電気の値段を引き上げている事を暴露して儲ける。

P44:
抽象的なものを学ぶこと。なぜなら、現実の物に触れれば触れるほど、摩擦によって速度が落ちるからだ
(中略)
工場で半導体を作る人は、徒歩で歩く人。その工場を采配する人は車に乗る人。その工場で製造する半導体の設計図を引く人は飛行機に乗る人。その設計図を引く博士連中を束ねる経営者が、軌道エレベーターに乗る人

P221:
月面の電力生産は太陽光発電がメインですから、発電量とコストはほとんど固定ですけれど、需要は変数です。しかも、都市全体が一斉に停電に陥るのを避けるために、かなり細かく区分けされて電力が供給されています。よって、需要と供給の法則に従い月面のあちこちで局所的に価格が変動し、価格が変動する場所では必ず投資機会が発生する

WORLD END ECONOMiCA Ⅲ
2015年7月10日 初版発行。



2008年の金融危機をモチーフにしている。

川浦ヨシハル(24歳)が月面の不動産市場がバブル状態にある事を見抜いて大儲けする。金融危機を救うために、月植民地で徴税を行い、ムール(月の通貨)の価値を安定させる。

ABS(資産担保証券):
住宅ローンや国債等のキャッシュフローを生み出す資産を元にした証券。

P226あたりでABSへの投資を決定する意思決定過程が不明瞭。

P304からは月面の不動産市場がバブルである事を証明する記述があるがこれも不明瞭。

月世界の経常収支が圧倒的に黒字であるが、賃金や企業収益は不動産相場ほどには伸びておらず、不動産収益も利回り1.5%程度の低利である事は不自然。不動産バブルが発生した国でも賃貸利回りは3%台が限度であり、バブルが崩壊した後に5%~7%に戻る。10年ほど前までは、月面の不動産利回りは5%前後だった。

⇒後知恵だと思った。バブル崩壊を知っていなければ、このような論理展開にはならない

さらに、不動産バブル崩壊に反対する部下の意見も訳が分からない。ABS投資には熟慮の結果が見て取れたとしているが、熟慮なんてしていないではないか。

P603:
現代の通貨は純金などの、現物資産による裏付けがない。ではなにによって価値が決まるかと言えば、通貨を発行する政府の徴税能力に大きくよっている
(中略)
政府にも収入と支出があって、黒字や赤字がある。黒字の場合は市場から吸い上げられたムールが政府の金庫にたまるが、赤字の場合はムール札を刷って民衆に支払いをしていることになる。よって政府の営業が黒字であれば、市中に出回るムールが少なくなり、ムールの価値は上がっていく。赤字だと市中に出回るムールが増えるから、ムールの価値は下がっていく

P744:
純金などの裏付けがない現代の不換紙幣は、そのほとんどが、政府の徴税能力によって価値が担保されている

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