不連続の世界

読んだ本の感想。

恩田陸著。2008年7月30日 第1刷発行。



塚崎多聞シリーズ。

【登場人物】
塚崎多聞:
レコード会社に勤める。妻はジャンヌ。

ロバート:
証券会社に勤める日本好き。

美加:
通産省キャリア。帰国子女。

ジャンヌ:
フランスの田舎出身。客員助教授として来日。

木守り男
良く分からない物語だった。

バブル期の日本。

20代半ばの塚崎多聞は、大学の先輩 田代(30代半ば)と話す。「コモリオトコにでも聞かせてもらうんだな」。そしてケヤキの茂みに、瘦せこけた男がしがみついているのを目撃する。

同じように、ロバートも自分の家の執事をケヤキの茂みに目撃する。

塚崎多聞は、「こもりおとこ」を幸福橋、森川橋、乙女橋、梢橋の語頭を繋ぎ合わせた言葉として、脱税のための領収証を購入する場である橋を、その日によって変えていたと想像する。

後で、塚崎多聞はロバート達と四人で「木守り男」を見に行き、ベビーカーに乗る赤ん坊が黄色い風車を掲げているのを見て、「子守り男」が田代に風車の色で合図を出していたと想像する。

P42~P43:
タモンは何からも自由に見える―国籍からも、階級からも、ジェンダーからも
(中略)
タモンは世界を拒絶していないだろう。全てを受け入れているんじゃないかな

悪魔を憐れむ歌
40代前半になった塚崎多聞が、聴いた人間を死に誘う音楽を捜す話。

ミニFM放送局で「山の音」というシールが貼ってあるだけのMDに録音された音楽が放送され、「山の音」を聴いた人間は死ぬという噂が立つ。

MDを送付した封筒の文字と同じ筆跡を持つ元高校教師(神津良祐)を尋ね、音楽が彼の娘(神津麻子)のものである事を知る。神津麻子は夫の借金の清算を父に断れれた事が原因で自殺し、行方不明になった事になっている。

神津良祐は、娘の音声を繋ぎ合わせて放送し、神津麻子が生きていると思ってやって来た元夫を殺す。

「山の音」を聴いた人間の中には、『死』に引き寄せられた男が幾人かいて、神津良祐は自然死に見える生薬を配合していたらしい。

P123~P124:
あなたは、世間に属さない。どこにも属さない。私の与太話、何の証拠もないホラ話を聞いて、誰かに言ったりはしないでしょう

幻影キネマ
40代半ばになった塚崎多聞の話。

自社のバンド ネバーモアのボーカル杉原保が見る悪夢について。

彼が帰省し、映画の撮影を見学すると、誰かが死ぬ。死んだ三人には腕や足に切り傷があった。

塚崎多聞が調べた所、杉原保の実家に隣接した保育園で火災があり、幼少期の杉原保が炎の中で子供が這い回る場面を目撃した事がトラウマになり、幼稚園の時に見た船が炎上する映画の場面と混じったとする。

切り傷が付く事は珍しい事では無い。もしかすると切り傷を見たと思い込んでいたのかもしれない。

砂浜ピクニック
塚崎多聞が翻訳家の楠巴と消える砂丘の謎を解く話。

『幻視者たち(アンリ・ベジャール)』という本に、鳥取砂丘が消えた話が掲載されている。

月夜に砂丘を見下ろした事で、窪地に見えたのではないかと想像する。

人が消えた噂を残す事で、U美術館に注目させようとする人達の存在?

P214~P215:
女の子の手の中にあるのは、黒と茶がリバーシブルになったハンカチである

夜明けのガスパール
塚崎多聞が黒田(検事)、水島(医者)、尾上(作曲家)と夜行列車で怪談をする話。

塚崎多聞は、失踪した妻ジャンヌが旅先から写真を送付して来る話をするが、実際には塚崎多聞は実父が死んだショックから、妻が失踪した妄想を抱いており、写真は彼自身が送付していた。

怪談は塚崎多聞の正気を取り戻す試みだった。

P284:
愛憎半ばする父親がいなくなるということを認めたくなかった。だから、代わりに妻がいなくなったという物語を自分の中ででっちあげたんだ

P286:
父親が亡くなったことを聞いて、何をしでかすか分からないおまえから目を離すわけにはいかなかった。だからこうして、一晩一緒にいる方法を考えたのさ

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