図説 世界史を変えた50の動物

読んだ本の感想。

エリック・シャリーン著。2012年10月10日 第1刷。




世界中に生息する蚊は3500種類ほどで、蚊は紀元前4億年ほどに誕生した。蚊は伝染病を媒介し、1900年には蚊が媒介したマラリアで約300万人が死亡した。
17世紀初頭、南米リマに滞在したイエズス会師が、現地人がキナノキの樹皮でマラリアを治している事を知り、1820年にはキナノキからキニーネ(マラリア予防薬)が作られた。

ミツバチ
欧州では中世に中近東から精製糖が齎されるまで、蜂蜜が唯一の甘味だった。他に蝋燭の原料となる蜜蝋。養蜂で、巣を破壊する必要の無い巣箱はロレンゾ・ラングストス(1810年~1895年)が発明した。

ミンククジラ
大規模な商業捕鯨は、17世紀初頭の北欧にて始まった。19世紀初頭に石油製品によって代替されるまで鯨油はランプ用オイルの原料だった。

アメリカヤギュウ
19世紀に欧州からの植民者によって大量虐殺される。

アクキガイ
フェニキアの都市テュロスで作られたティリアンパープルという染料の材料。紫は高貴な色とされ、ビザンティン皇帝は「紫の生まれ」と称された。

カイコ
伝説では蚕の飼育方法は、黄帝の妻、嫘祖(紀元前27世紀頃)が考案したとされる。考古学上の資料からは、紀元前4000年まで遡る事が可能で、染色は紀元前3000年頃には始まっていたらしい。
西欧には紀元前2000年頃に持ち込まれ、養蚕の技術が3世紀にインド、4世紀に日本、6世紀に中東に伝播した。欧州には12世紀~13世紀の十字軍を通して伝わったとする。

ウシ
家畜化は、紀元前6000年頃~紀元前4000年頃とされる。多くの古代文明で神聖視された。

ラクダ
多くの哺乳類では、脂肪が体中に分配され、寒さに対する断熱材となるが、ラクダは体熱を発散する妨げとなる脂肪を背中に集中させた。赤血球は楕円形で水分不足の濃い血液中でも流れる事が可能で、人間は水分の12%を失うと死ぬが、ラクダは40%を失っても死なない。
ラクダの家畜化は紀元前3000年頃とされ、オーストラリアの砂漠に19世紀から導入されたラクダが野生化し、15万頭以上が生息するとされる。

オオカミ
狼は人間が初めて家畜化した動物だが、家畜を襲うとして乱獲され絶滅寸前になっている。

イヌ
家畜化は紀元前2万年~紀元前1万年頃とされる。選択繁殖の結果、多様な外観となる。

ヤギ
紀元前8000年頃にトルコ東南部(アナトリア)で家畜化される。世界のミルク生産量の2%を占め、チーズ加工に向いている。ユダヤ教では、ヨーム・キップルーという贖罪の日に二頭の山羊が選ばれ、一頭は生贄に、一頭は贖罪の山羊として荒野に放たれて共同体の罪を背負った。

ビーバー
ビーバー香として、尾の近くの分泌物(カスター)が珍重された。頭痛、発熱、ヒステリー発作治療にも使用され、米国食品医薬品局では天然香料に分類している。

ニシン
北欧のハンザ同盟の経済力の基盤。17世紀にハンザ同盟が衰退したのは、バルト海の鰊減少が理由の一つとされる。

ハト
紀元前8000年~紀元前3000年頃の近東で家畜化される。帰巣本能が1000年頃までに発見され、エジプトやペルシア伝書鳩として利用された。

コイ
飼育は東西で別々に始まり、5世紀には修道院が鯉の養殖を広め、同じ頃に中国から日本へ鯉が輸出された。2002年には養殖されている淡水魚の14%を鯉が占めている。

カイガラムシ
古代メキシコやペルーでは、コチニールカイガラムシを染料の材料とした。19世紀初頭までコチニールはメキシコの専売品だった。1ポンド(454g)を作るには約7万匹が必要で、19世紀に化学合成染料が登場するまで赤い色素で優位を占めた。

ショウジョウバエ
ゲノムに人間の病気の原因となる遺伝子の75%が存在するため、病気を研究する資料となる。一週間で卵から成虫になるため研究に便利。

ロバ
アフリカノロバの原産地は、乾燥地帯だったソマリア、エリトリア、エチオピアの辺りとされる。紀元前4000年頃にエジプトで家畜化され、使役動物だった。

ウマ
軍馬として中央アジアの遊牧民を強大化させた。北欧では7世紀に、馬に鋤を引かせる耕作方が導入され、硬い粘土質の畑の収穫量が増加した。

ハヤブサ
南極大陸を除く全ての大陸に生息。殺虫剤の影響で数を減らし、1960年代~1970年代の環境保護運動の切っ掛けの一つとなる。

ネコ
エジプトでは、ライオンの頭部を持つバステトという女神がいた。その神殿が発掘された時、30万体以上の猫のミイラが埋葬されている事が発見された。

ニシマダラ
ジョン・カボット(1540年頃~1599年頃)がカナダのニューファンドランド島とラブラドル半島で見つけたタラの漁場は英国やフランスの対立の原因となった。18世紀におけるタラの価値は高く、「英国の金」と呼ばれた。

ニワトリ
紀元前8000年頃に東南アジアで家畜化される。紀元前7世紀頃には古代ギリシアに到達、南米には紀元前1300年頃にポリネシア航海民によって運ばれ、1350年頃の鳩骨の遺骨がチリのエル・アレナル遺跡で発見されている。

ダーウィンフィンチ
進化論発見の契機となった鳥。

ハクトウワシ
米国やローマ帝国で紋章に使用される。ローマでは他の動物も記章として使用していたが、紀元前二世紀頃には白頭鷲だけが残った。

ヒル
古代ギリシアやローマでは、肉体は血液、黒胆汁、黄胆汁、粘液によって生命を吹き込まれるとされ、蛭によって体液のバランスを保つ事が出来ると信じられた。
1980年代の医療では、血液の凝固を防ぐために、蛭の唾液に含まれる抗凝固剤ヒルジンが使用されている(合成ヒルジンが登場するまで)。

イグアノドン
科学的に検証された二番目の恐竜。最初に調査されたのは、1676年に英国で発見されたメガロサウルスで、聖書に出る巨人族の足の骨とされた。1822年に発見されたイグアノドンの歯は、進化論と結び付いて世界観を変えた。

ラマ
標高の高い土地に適応した家畜。ラクダに似ているが、寒さに耐えるために体中に脂肪が配分されている。アンデス文明におけるラマは肉や乳、毛の供給源だったが、国家の規模が大きくなるに連れて荷役用、生贄用の動物となっていった。

ゾウ
太古には戦象として活用された。43年にブリテン島に侵攻したローマ軍は、戦象一頭に驚いた敵軍を壊滅させたという。欧州における戦象は1世紀には使用されなくなるが、東南アジアでは12世紀にアンコールワットを造ったクメール人や、その後継国家ビルマ、シャムが戦象を大量に使用した。

ミミズ
糞には窒素、カリ、リン酸が含まれ、土壌を肥やす効果がある。

ミドリゲンセイ
催淫剤として使用される甲虫。マルキ・ド・サド(1740年~1814年)が使用したとされる。

シチメンチョウ
家畜化を示す資料は、紀元初期のマヤ遺跡から見つかる。16世紀にはクリスマスのメニューに登場し、1621年から始まる感謝祭においても主役を務める。

コブラ
ヒンドゥー教ではナーガというコブラを神格化した神が存在する。

ウサギ
スペインの国名は、紀元前2000年頃に栄えたフェニキア人がスペイン南部のウサギをハイラックス(イワダヌキ)と見間違えて、i-shaphanim(ハイラックスの国)と名付けた事に始まるという。
兎の繁殖力は高く、3歳~4歳で交尾可能になり、1年間に7回、1度に2~12匹を出産する。オーストラリアで増えすぎたために、粘液腫症のウィルスを散布し、個体数を6億から1億に減らしたが、原罪では免疫を持つ兎が増加している。

ヒツジ
白い毛を大量に生む動物。現在の羊の祖であるムフロンの家畜化は、紀元前8500年頃のイラクかイランとされ、紀元前6000年頃にはバルカン半島に到達し、青銅器時代(紀元前3300年~紀元前1200年)に欧州中に広まったとする。12世紀以降に盛んになった羊毛生産の中心地である英国とスペイン、製品製造の中心地である北海沿岸低地帯とイタリア北部の交易網は資本主義経済の予兆である。

チンパンジー
コンゴ民主共和国のルバ族の言語では、猿を「真似する人」と訳す。西欧の記録には16世紀のポルトガル人船乗りの日誌に登場し、17世紀に欧州に連れてこられた。人間と近い種の発見は、人間が特別でないという世界観形成に一役買った?

ライオン
娯楽や宗教的儀式のために狩られてきた。

シラミ
発疹チフスと塹壕熱を媒介し、第一次世界大戦中は、英国軍の1/3、ドイツ・オーストリア軍の1/5が塹壕熱に罹患したとされる。20世紀半ばまでは戦争の度に発疹チフスが流行した事から、軍隊は理想的な虱の生息場らしい。
三十年戦争(1618年~1648年)では800万人のドイツ人兵士が発疹チフス等で死亡し、第一次世界大戦では2000万人~3000万人が罹患し、戦後は300万人が死亡した。

アザラシ
北米に移住した人々の蛋白源。現在では毛皮を目的とする海豹猟への反対運動がある。

シンジュガイ
蛋白源として重要で、セルギウス・オラタ(紀元前一世紀後半頃)は、カキの養殖場をローマ南部のルクリーノ湖に作った。牡蠣は邪魔な存在を真珠袋で包んで隔離し、その上に炭酸カルシウムを堆積させる。数千年もの間、天然真珠は宝石として扱われた。

コウモリ
ジョン・ポリドリ(1795年~1821年)の『吸血鬼』(1819年)やブラム・ストーカー(1847年~1912年)の『ドラキュラ』(1897年)等の多くの創作の元となる。

トナカイ
完全には家畜化されていないが、北欧のサーメ民族等が移動用や食肉用に活用する。アティスとナヴィスという兄弟の物語が伝わり、月の神マノの娘と結婚したアティスが兄ナビスとの関係を悪化させ、終には殺してしまい、太古に地中に埋められたトナカイの心臓が殺人によって動き始め、世界が震えてアティスが尽きに吹き飛ばされたとしている。

ドードー
1507年にポルトガル人がモーリシャス島に訪れた後、100年以内に絶滅した。

ネズミ
アジアの一部では伝統料理に使用され、スペインでもパエーリャ・ヴァレンシアーナの材料となる。人間と約99%の遺伝子が共通しているのでゲノム研究のモデル生物となる。

タマオシコガネ
古代エジプトで神聖視された。動物の糞を土に埋める事で肥沃度を保つ。オーストラリアやニュージーランドは数種類のフンコロガシを計画的に導入している。

サバクバッタ
定期的に大発生する。アフリカ西部のモーリタニアからサハラ砂漠、アフリカ東部、アラビア半島からインド北部に生息。飢えると成長が早まり、1200㎢の範囲を1平方マイル(約2.5㎢)あたり1億2000万匹~2億4000万匹の密度で移動する。

ジュウケツキュウチュウ(住血吸虫)
住血吸虫症は、年間20万人の死者を出す伝染病。原因が特定されたのは19世紀半ばで、古代エジプト人の主な死因だったらしい。現代の患者数は2億700万人程度で、その半数はアフリカの住人。感染の結果、学習障害になり易い。

ブタ
猪は七カ所(中国、トルコ東部、中央欧州、イタリア、インド北部、東南アジア、東南アジアの島々)の異なる地域で家畜化されたとされる。

ノミ
以下の三代疫病の原因となる。

①ユスティニアヌスの疫病
6世紀~8世紀まで続く。ビザンティン皇帝ユスティニアヌス1世(483年~565年)にちなんだ。病気を媒介する蚤のついた鼠がエジプトからコンスタンティノープルに運ばれたためとされ、東地中海の人口の25%が541年の最初の流行で死亡したとされる。

②黒死病
14世紀に欧州で流行。1346年に黒海に面したジェノヴァの貿易港カッファを包囲したモンゴル軍が、伝染病に感染した死体を町に投げ込み、ジェノヴァ商人が逃げ出して欧州に避難したため、1347年にコンスタンティノープル、1348年に欧州南部で感染が広まったとされる。1665年~1666年にはロンドンを最後の大流行が襲っている。

③腺ペスト
1855年~1959年に中国とインドで数百万人を死亡させた。

ヒト
過去二万年に渡って、様々な動物を利用してきた。

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