China 2049

読んだ本の感想。

マイケル・ピルズベリー著。2015年9月7日 第1版第1刷発行。



抽象度が低いため、鳥瞰的な視点から読む事が困難な本。

天安門事件を契機に、親中から反中に転向した著者の意見。

中国は、1949年頃から百年をかけて計画的に世界の覇権を握ろうとしていると主張。その本質は精密な工程表や詳細な青写真ではなく、態勢を整えておき、好機を逃さない事にある。

読んでいると、他者理解とは自己投影であり、自己と他者が同一でないと悟った時に憎しみが生じるように思える。著者は中国が米国に恐怖を覚え、支配されないために戦っているとするが、それは著者自身の姿勢でもある。

・中国に関する間違っていた前提:
①繋がりを持てば、完全な協力が得られる
②中国は民主化(米国化)への道を歩んでいる
③中国は脆い

米国はソヴィエト連邦への対抗上、中国を支援したが、中国は自らを偽って、弱く善良に見えるよう対外的に情報発信しており、報道からは真実を知る事は出来ないとする。

そうなると、本書に書いてある事の根幹は著者の推測という事になってしまう。以下の対中戦略は、著者が中国の戦略と呼ぶものと似ている。敵と戦うために敵になってしまうという事か。

・対中戦略:
①問題を認識する(中国を競争相手と認める)
②自分を知る(国内の対中支援者を知る)
③競争力測定(測れるものは改善可能)
④競争戦略を考える
⑤協力体制を作る
⑥反体制派を支援し、汚染者を突き止める

⇒他にもあったけど、全てを実行した場合、『中国』になってしまうんじゃないの?

【中国の思想】
毛沢東は資治通鑑を愛読した。その核は戦国時代の兵法であり、世界秩序は本質的に階層を成し、頂点には唯一の統治者が存在する。中国共産党の戦略は、容赦ない競争世界における生存競争を基本にする。

さらに歴史上の成功と失敗から具体的教訓を得ようとする。中国の公式発表や軍事政策においては、歴史上の出来事や格言が語られる。

以下は、戦略の9要素。

①敵の自己満足を引き出し、警戒態勢をとらせない
②敵の助言者を味方につける
③勝利するまで長期間我慢する
④目的のために敵の思想や技術を盗む
⑤軍事力は決定的要素ではない
⑥覇権国(米国)は地位を維持するために極端になる
⑦勢いを見失わない(騙す事と待つ事)
⑧自他を相対的に測る尺度を確立、利用する
⑨常に警戒し、騙されたり、包囲されないようにする

「鼎の軽重を問うな」とは、楚の壮王が、周王室に鼎(周が所有する釜)の軽重を問うた事から、周の所有物を奪う意図を疑われ、敵に対峙出来るまでは敵意を悟られないようにするという教訓に繋がる言葉。中国では、強くなるまでは欺くべきとする。

中華的思想からは、米国の競争と協力を繰り返す政策は、敵意と策略に満ちているように見える。

個人主義的な米国の価値観と異なり、中国には個人の権利が存在せず、中国が覇権を握る世界では民主主義が脅かされるとする。

【米国の中国支援】
1971年にニクソン大統領が対ソ戦略のために中国と交渉した事に始まる。

①インド軍の情報を提供
1971年9月、ニクソン大統領訪中を前に、第三次インド・パキスタン戦争について、インド軍の情報を中国に提供し、中国のパキスタン支援を認めた

②対ソ協力の約束1
1972年1月、ニクソン大統領は中国と協力してソヴィエト連邦に対抗する事を約束(対中禁輸措置からの転換)

③対ソ協力の約束2
ニクソン大統領は毛沢東と会談し、中国に対するソヴィエト連邦の攻撃行動に、米国が反対すると約束

④対ソ協力の約束3
ニクソン―毛会談と同じ日に、キッシンジャーは、葉剣英・喬冠華と対談し、中ソ国境のソヴェエト連邦軍の配置や核攻撃目標の情報を提供

⑤対ソ協力の約束4
1973年2月、北京で対ソを軸に米中協力して安全保障に努める事が確認される。

⑥対ソ協力の約束5
米国とソヴェエト連邦が交わす合意を全て中国とも交わす事を約束。1973年6月のニクソン―ブレジネフ会談の準備中に、キッシンジャーはその事を確認している

⑦人民解放軍への支援
1973年11月に北京を訪問したキッシンジャーは、ソヴィエト連邦が中国を攻撃した場合、「装備や他のサービス」を提供すると約束

⑧技術提供1
1979年1月31日、鄧小平は米国と科学交流を加速させる協定に署名。5年間で1万9000人の留学生が生れた

⑨技術提供2
1978年に調印された大統領指令43は、米国の科学を中国に伝えるプログラム創設を命じている

⑩軍事支援
チェスナット作戦。1979年頃に、中国北西部に信号情報傍受基地設立を許可。戦略情報収集で中国と協力

⑪軍事協力
1982年に米国とベトナム共和国軍が、中国、タイ、シンガポール、マレーシアの支援により、カンボジアプログラムをバンコクで展開。1984年にはその50倍の規模の協力をソヴィエト連邦をアフガニスタンから追い出すために行う。他にアンゴラでも対ソ協力している

⇒中国は弱者を装って米国から支援を引き出し、無為という戦略で他者同士を闘わせたとする

【米中対立】
著者は、1989年のソヴィエト連邦弱体化に伴い、中国政府が米国を危険な覇権国と見做すようになり、国内メディアを通じて米国に敵意を持つ者を育成するようになったとする。

1990年以降は愛国教育プログラムとして、米国が中国の繁栄を抑制しようとしてきた歴史が語られるようになる。中国国家博物館では、中国人民の歴史的優越と、外敵からの侵略に抵抗した歴史が展示されているとする。2004年から世界中に設立された孔子学院は、中国語と文化を学ぶ場として、中国の平和的イメージを外国に植え付けている。

中国古代の歴史を普遍的真実とするならば、米国は覇権国であり、戦国時代の覇権国のように利己的で疑い深く、無慈悲な振る舞いをするはず。

以下が、中国が米国に感じる恐怖。

①封鎖
中国の海岸線に沿って島々が並んでいるため、日本からフィリピンを抑えられると容易に封鎖される。領海内の資源等も奪取され、海上交易が脅かされる

②分断
広大な中国は陸路からの侵攻にも弱く、台湾やチベット、新疆などに分裂分子を抱える

【中国の軍事戦略】
越王勾践のように、中国は、機が熟するまで西洋に協力を約束し、弱体化するまで報復の機会を伺うとする。

人民解放軍の大佐が書いた『超限戦』という本では、直接的な軍事行動によらずとも、法や情報、経済によって勝利する事が出来る。

情報統制を重視しており、①直接的規制、②経済的利益と懲罰、③広告主等による間接的圧力、④サイバー攻撃等で、世論操作を行っている。

殺手鐗(強者に勝つための武器)として、敵を打ち負かすための新技術 = 非対称兵器の開発にも注力している。強襲レーダーやコンピュータウイルス等。安価な武器を秘密裡に開発し、敵が準備する前に使用する。米国軍は情報システムに依存しており、スパイ活動やサイバー攻撃に脆弱である。宇宙衛星への攻撃も手段の一つ。

【中国の米国理解】
特に1880年~1914年までの米国の外交史は、米国が英国を騙しながら覇権国の地位を奪取した過程とする。

共産党中央党校で学ばれている戦略プログラムでは、米国の繁栄は政府による企業支援にあるとしている。国内市場の保護や企業への経済支援を中国は模倣した。

助成金によって政府に育成された企業が市場を拡大し、醸造メーカー等が海外に工場を建てる事を支援している。また、米国は小麦やオート麦をシリアルに加工する技術等を欧州から盗み、ピルズベリー社が活用した。

1900年に製紙の新技術を持つドイツ企業を吸収合併して業界トップになり、鉄鋼業でも政府支援を行った。銅やアルミニウム製造、ゴム産業と石油産業は1880年代には世界的に支配した。

第一次世界大戦までに世界的指導者の地位になり、1914年からの50年間でエレクトロニクスや製薬も支配。

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