Mission5:マインド・コントロール

読んだ本の感想。

ロバート・マカモア著。2009年10月30日 第1刷発行。



なんて恐ろしい世界観なんだろうと思いながら読んだ。

英国情報局の裏組織、CHERUB(10歳~17歳以下の子供達が活躍するスパイ機関)を舞台とするシリーズの第五段。CHERUBの構成員数は約300人くらいらしい。

主人公のジェームズ・アダムズは14歳だが、泥酔して11歳の妹に絡んだり、行動が暴力衝動と性欲に支配されていたりと中年男性のようだ。

そんな主人公や妹、同じくCHERUBの構成員であるデーナ・スミス(15歳)が、オーストラリアのカルト宗教団体サバイバーズに信者を装って潜入する。

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読んでいると、カルト宗教団体とCHERUBが大差無いように思えてくる。双方ともに階級があり、組織への貢献によって階級が上がる事になっているし、目的のために嘘をつくし、色仕掛けも使う。

<カルト集団の洗脳の手口>
世界を破滅せんとする悪魔が存在しており、安全に暮らすために自らの共同体で暮らすとする。共同体を去る者は怠け者であり、悪と対抗出来ないと考える。

ポジティブな思考や発言を奨励され、その通りに行動すると明るい気分になる。すると疑問や批判が締め出されてしまう。頻繁な肉体的接触や運動も操作され易い心理状態を生む。

呼吸訓練として、深呼吸を行うと血中酸素濃度が上昇し、微かな高揚感が生み出される。動作のみを大きくし、呼吸を平常に保つ。また、嫌な気分になるものを思い出す事も対抗策として有効らしい。

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主人公は教団中枢への潜入に成功するが、そこで教祖の実子ラスボーン(11歳)に女子シャワー室の覗きに誘われ、覗きを行った事で敬虔な信者でない事を見抜かれてしまう。

教団がインドネシアで二隻のタンカーを沈没させようとしている事を突き止め阻止し、教祖が死亡した事等により教団は壊滅する。ラスボーンはCHERUBに入会する。

P330~P331:
イヴは、コミューンの内でも外でも常にしっかり者だった。無駄のない受けこたえ、きりっとした笑顔、目的を見据えた迷いのない足取り。ところが、こなすべき日課から突如として解放されたとたん、イヴは完全なだめ人間になった。八歳のときからコミューンで暮らし、デビルやエンジェルがどうのこうのといったサバイバーズのたわごとを頭につめこみすぎたせいで、現実の世界は恐ろしいものだという考えが、すっかり染みついてしまったのだ。
(中略)
サバイバーズは、こうやって人間をだめにしているんだと思うと、デーナは腹わたが煮えくりかえった。

⇒この部分を読んで、お前が言うなと思った

結局、デーナはタンカー破壊を防ぐ過程で足の中指を欠損するが、主人公は足の指の爪を切る手間が10%減るとかいって、そんなに危険な任務が15歳の少女に押し付けられている事に疑問を持たない。

妹のローレンはCHERUB史上で三番目に若い黒シャツ着用者となった事で嬉し泣きする。こいつらの方がよっぽど危険なカルト集団じゃないか。

こういう児童書がベストセラーになる事が怖い。『窓から逃げた100歳老人』とか『国を救った数学少女』とかでも、登場人物達が暴力や性犯罪を躊躇わず、それをユーモアとして解釈する事が怖かった。欧州と日本の価値観は違うのだろうか?

柳広司先生の『ダブルジョーカー』で「躊躇無く殺せ 潔く死ね」をモットーとする「風機関」が登場するが、それをさらに過激したようだ。僕は目立たないように行動するスパイの方が好きだ。

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