ベッドルームで群論を

読んだ本の感想。

ブライアン・ヘイズ著。2010年9月10日 第1刷発行。



難しい本だった。

1 ベッドルームで群論を
マットレスの返し方を考える話。

2 資源としての「無作為」
無作為(ランダム)を導出する困難について。

現代文明には様々な無作為に依存している。1940年代にロス・アラモスで生まれたモンテカルロ法は、無数にある中性子が原子核に衝突すると跳ね返るか吸収されるかをシミュレートするために使用された。コンピューター・ネットワークでも無作為を外部資源として活用している。

無作為の元は、乱数導出アルゴリズムの最初に入力される種となる値であり、ランダムな数とは最初に入力された種に含まれる無作為を引き延ばしたものである。

3 金を追って
パレートの法則では、収入分布はべき乗法則に従い、収入がx以上の人間の割合は1/(xのa乗)となる。つまり、富の大きさに偏りがある。

フリーマーケット・モデル:富が一人に集まる
結婚離婚モデル:
結婚と離婚を繰り返すように、二つの主体が取引し合った時の分配は、相互の財産を合算し、出鱈目に分割するようになる。気体分子運動をモデルにしたパターン(気体分子が衝突し、全ての運動エネルギーが一つの分子に凝縮される事は無い)で、富は指数的に分布するが、一人の人間のみに集まらない。

4 遺伝暗号をひねり出す
1953年にDNAの螺旋構造が解明されて以来、遺伝暗号 = 4文字のDNAのアルファベットで書かれた文字(アデニン、チミン、グアニン、チミン)から約20種類の蛋白質のテキストに翻訳する鍵が科学者達の思考対象となる。

遺伝子は多くのジャンクを許容しており、パターンを見つけたいという人間の衝動が精緻な遺伝暗号という的外れな方向に科学者を向かわせる。

著者は誤っていたはずの遺伝暗号の仮説を美しいとする?

5 死を招く仲違いに関する統計
ルイス・フライ・リチャードソンの研究。

戦争を1820年~1950年までで、マグニチュード(死者数)で分類。マグニチュード2.5以上(死者数約300人以上)の戦いが315件掲載される一覧表を作る。

マグニチュード7(死者数約1000万人以上)の戦争は人類史上二回しか発生しておらず、この二つの戦争の死者約3600万人は過去130年間の戦争による死者の約60%になる。

マグニチュード6の戦争は死者約50万人~約200万人で七回発生しており、太平天国の乱(1851年~1864年)、南北戦争(1861年~1865年)、ラ・プラタの三国同盟戦争(アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイとパラグアイの戦争)、ボルシェビキ革命(1918年~1920年)、国民党と共産党の第一次抗争(1927年~1936年)、インドの宗教対立(1946年~1948年)である。

この戦争における規則を見つける事は困難で、隣国である事や軍備拡大競争は戦争における決定的な予見とはならない。大国は多くの国と隣国であるし、315の事例で軍備拡大競争の証拠があったのは15件だった。

6 大陸を分ける
分水嶺 = 分水界(雨水が流れる方向を分ける境界)となる山脈の事。

地理的に考えるのと数学的に考えるので違うらしい。

7 歯車の歯について
歯車の歯の数を決定するために数学が用いられた話。

例えば、一分間に一回転する歯車の動きを、一日に一回転する歯車に伝えなくてはならないとする。この場合、歯車の歯の数は、後者は前者の1/1440となる。しかし、歯車が一つの歯しか無い事はあり得ず、後者に10個の歯があると、前者の歯は1万を超える膨大なものとなる。

解決策は幾つかの歯車を組み合わせる事とする。

6/200と5/216の複合歯車を組み合わせると、積は30/43200となり、1/1440と一致する。30/43200の30を素因数分解すると、2 × 3× 5となり、この内の二つの数を掛け合わせた歯車を使用すれば、歯が30の歯車と同様の効果を生み出す事が出来る。

8 一番簡単な質問
集合を二つの集団に分ける困難について。NP完全問題。

簡単に出来る事でも、解答に時間がかかる。

9 名前をつける
識別に必要な名前や数が枯渇していく事について。

17世紀~18世紀にかけて、カルロス・リンナエウスは、同じ動植物が異なる名前で呼ばれないよう、ラテン語二名法つぉいて生物を属と種に分けて名付けるようにした。

現在では名前が枯渇していく。証券取引所のティッカー・シンボル、電話番号、製品コード、社会保障番号、etc。

天文学では星や銀河の数が膨大過ぎて意味ある名前を付けられる見込みは皆無となっている。

10 第三の基数
記数法の基準となる数について。

10は指で数える人間の基数であり、二進数は数値(1か0)と論理値(真か偽)を同じ信号で表現可能。

著者は、3が効率の良い基数とする。

自動車の距離計では、10進数を使用すると、10の目盛りがついた6個のホイールで0~99万9999の100万の数を表現出来る。それが二進数では百万の数を表現するのに20個のホイールが必要になる。

目盛りの数 × ホイールの数とすると、10進数は60、二進数は40の費用となる。

これを三進数とすると、13のホイールで百万の数を表現可能(費用は39)。

3の効率が良いのは、自然対数の基底である約2.718に近いからであり、分数が許されるなら2.718進数でホイールは13.82個が百万の数を表現するのに必要となり、費用は37.55になる。

11 アイデンティティーの危機
コンピュータープログラムで同値性を保障する困難。

以下の「同じ」は違う。

アレックスとバクスターは同じネクタイをしている。
アレックスとバクスターは同じ先生に習っている。

同じ種類と、一にして同じは異なる。アレックスとバクスターを同じ部屋に連れてくれば、二人のネクタイが一本なのか二本なのか明確になる。計算機でも、二つの対象のメモリ内でアドレスが完全に一致した場合に一にして同じと考える。

12 長く使える時計
ストラスブール・カテドラルの時計から、長く使用される時計について考える。

入念に整備した機械でも数百年後には動かなくなる。機械が壊れた時に部品を取り換えるには、その装置を支える制度も存続させなくてはならない。

さらに未来は異なる世界である。ローマ暦は1500年使用された後に放棄され、エジプトの暦は3000年、マヤ暦は2000年しか使用されなかった。現代の価値観が永遠の真実を具現している可能性は低い。

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