光の庭

読んだ本の感想。

吉河トリコ著。2016年2月20日 初版1刷発行。



現代版『ボヴァリー夫人』かな?

以下は、Wikipediaの『ボヴァリー夫人』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%90%E9%87%8E%E5%A4%8F%E7%94%9F

恩田陸の『球形の季節』と桐野夏生の『リアルワールド』を足して二で割った感じでもある。

1996年3月に高校を卒業した五人組(銀チョコラバーズ)の話。

仲間の一人の大石三千花は1998年2月に殺されており、2013年?に残された者達が当時を偲ぶ。

【登場人物】
大石三千花:
1998年に殺される。高校卒業後はフリーターになるが、将来に絶望し、かつての友人や男に依存していたらしい。

村西志津:
主人公。ライターをしているが売れず、同期の安田真生子が東日本大震災をテーマにしたベストセラーを出版した事に焦りを感じ帰郷する。殺された大石三千花を題材に本を書こうとする。

岩田麻里奈:
市役所の職員になる。自らを支配しようとする母親との間に葛藤がある。

倉木理恵:
モデル経験者。社長夫人。貧しい実家に劣等感を持っており、優雅であろうとする。eriという名で不倫ブログを運営する。大石三千花が高校生の時に好きだった萩尾と付き合っており、現在でも不倫関係にある。

菅川(橘)法子:
大学二年生時に妊娠し結婚。自らの醜い容姿に劣等感を持つが、それを認められない。インターネット中毒者。律子という名で倉木理恵の不倫ブログを荒らす。

岸田(稲川)比佐子:
高校卒業後の大石三千花の友人。大石三千花の名前でfacebook登録をする。

P129:
十八歳から二十歳にかけて、急速に世界が拡大し、めまぐるしく価値観が変化していく渦中にいた少女たちをいったいだれが責められるだろう。後にも先にもあれほど刺激に満ちた時代はなかった。もっともっと新しいことを知りたかったし体験したかった。もっと早く、先へ先へと進みたかった。故郷を思い出す時には郷愁よりも煩わしさが先に立つ、その若さをいったいだれが責められる?

P183:
雛形を三千花に押しつけ、そこからはみ出すことを許さなかったMと、自分の知らない世界に飛び出していこうとするMの足を引っぱり自分のほうが上だと示すことに躍起になっていた三千花。支配と従属がめまぐるしく入れ替わり、互いに互いを縛りつける。うまく機能しているうちは他のだれも寄せ付けない二人だけの世界に浸っていられるが、少しでもバランスを崩せば待ちかまえているのは悲劇だけだ。

P206:
三千花はくりかえした。ごめん、ごめんね。謝るから許して。無視しないで。一人にしないで。私を置いていかないで。
「正直ぞっとした」と率直にNは語った。
(中略)
Nにとって三千花はもうすでに、無敵の高校時代をともに過ごしたかけがえのない仲間ではなくなっていた。冬のあいだじゅう着込んでいたせいで重たく湿気った季節はずれのオーバーコート。

P248:
地元に残り、友だちはおろか恋人もおらず、職場と家を往復する毎日だった比佐子は、空いている時間のほとんどを三千花に明け渡した。そういう存在を三千花は必要としていたし、比佐子も切実に求めていた。さびしさを埋めるための間にあわせの関係だとわかっていたが、それでも構わなかった。
(中略)
「あたしたち最高」は気持ちがいい。外の世界に向かって大声で「あたしたち最高」を知らしめるのはもっと気持ちがいい。高校を卒業し、それぞれ少しずつ輪から離れていっても、三千花はただ一人あの場所に鎖につながれ、いつまでもその快楽に溺れていた。

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