安楽探偵

読んだ本の感想。

小林泰三著。2016年2月20日 初版第1刷発行。



以下、ネタバレ含む。

探偵事務所に持ち込まれる奇妙な依頼集。重ね合わせの物語だと思う。二つの可能性が提示され、物語終盤で一つに集約される。

第一章 アイドルストーカー
アイドル富士唯香がストーカー被害を相談する話。

ストーカーは、富士唯香自身になりたいらしい。終盤まで、相談者が富士唯香であるのか、自分を富士唯香と思い込んでいるストーカーであるのか明確にならない。

ストーカーは元マネージャーである事が判明して物語は終わる。

第二章 消去法
気に入らない人間を消去する能力を持つと主張する中村瞳子の相談。自分と同じ能力を持つ山日という同僚が現れたとする。

中村瞳子は、超能力で探偵助手を消去するが、終盤で探偵が調子を合わせていただけと告白する。

会社がリストラのために、職場全体で中村瞳子を騙していたと説明される。

第三章 ダイエット
ダイエットについて相談する戸山弾美の話。

「依頼者はふらふらと立っているのもやっとな状態で、事務所の中を歩いて」という描写から、戸山弾美は痩せているように思えるが、終盤で太り過ぎである事が判明する。

スーパーマナと称して大量のピザを食べていたらしい。

第四章 食材
大鐘達郎、久子夫妻の依頼。娘の千里が行方不明になったと言う。

ショズ・ビザールというレストランが舞台で、客が持ち込んだ食材をシェフが即興で料理する。レストランが娘を調理したと思わせながら、実際には誘拐事件だったという話。

店員は身代金要求の脅迫状を届けるために、夫妻を追いかけていた。

第五章 命の軽さ
慈善団体に寄付する伊達杏太郎の話。

依頼者は、自分の寄付金が動物救済でなく、人間の子供を救うために使用されるのが嫌なだけだった。

第六章 モリアーティ
これまでの物語の総集編。

探偵助手は、探偵がシャーロックホームズに登場するモリアーティのように、依頼された事件の黒幕で、事件の真相を知っていた可能性を指摘する。

ある人物Aが、別の人物Bを正直者としたとする。そして、BがAは正直者としたとする。この場合、AとBの両方が正直者であるか、両方が嘘つきであれば矛盾が無く状況を説明出来る。

ある前提で矛盾無く全てを説明出来たとしても、その前提が真実とは限らない。

安楽椅子探偵は、依頼者が推理に必要な全ての情報を語ってくれなければ成立しない。そのため、依頼者は必要な情報を収集出来るくらい観察力、記憶力、判断力に優れていながら、それらを使用して推理する論理的能力のみを持たないという微妙な存在となっていく。

問題は、依頼者が話さなかった情報を、探偵が知っていた場合に生じる。

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