テンペスト

読んだ本の感想。

池上永一著。平成二十年八月三十一日 初版発行。





以下は、Wikipediaの『テンペスト(池上永一)』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88_(%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E6%B0%B8%E4%B8%80)

浅田次郎先生の『蒼穹の昴』を下敷きに、ひたすら不幸な女、神憑りな我儘少女とその従者、オカマという池上世界の住人を活躍させた印象。

主人公の知性を表現する方法が、試験の成績と、史実に則った対米交渉しかないため、主人公は賢い設定なのに愚かな行動を選択するので違和感を覚える場面がある。対米交渉が賢い超人官僚の活躍で成功したのなら、何の対策も練る事無く日本に併合されるのは不自然。

女性キャラクターを不幸にする事に拘っていて?、情景がコミカルで不自然になっていく。最初はオペラを見ていたのに、途中からカーニバルが始まっていた印象。

1826年~1879年を描いた話なのかな?



【登場人物】
真鶴/寧温(1826年頃に生まれる?):
主人公。第一尚氏王朝の末裔。女性でありながら優秀で、男装して科挙に合格する。

真牛/聞得大君(1812年頃に生まれる?):
もう一人の主人公。王族神からユタ(市井の巫女)、ジュリ(遊女)、ニンブチャー(念仏屋)とどんどん転落していく。

孫嗣勇:
真鶴の兄。美形で女形として宮廷で活躍する。

朝董:
二歳年上の真鶴の同僚。

思戸:
女官見習いから女官大勢頭部(女官長)になる。

浅倉雅博:
薩摩藩の士族。

徐丁垓:
清国の宦官。琉球を支配しようとするが真鶴に殺される。

尚育王(1813年~1847年、在位1835年~1847年):
第十八代琉球王国国王。

尚泰王(1843年~1901年、在位1848年~1879年):
第十九代琉球王国国王。

ベッテルハイム:
琉球に滞在する宣教師。真鶴に外国語を教える。

以下は、Wikipediaの「ベッテルハイム」の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%A0

【あらすじ】
<男装>
第二尚氏王朝に簒奪された第二尚氏王朝の末裔 孫家は、龍が交尾をする日に、運命の子 真鶴を産む。女性であるが成績優秀で、養子である兄 孫嗣勇の家出を受けて男装し、科挙を受けて13歳で合格する。

<仕事>
真鶴は、評定所筆者主取(行政機関主任)として働く事になる。家出をして宮廷で踊り子となった兄 孫嗣勇との再会。行政府では予算の切り詰めを行い、御仮屋(薩摩の行政機関)で浅倉雅博と出会い恋をする。

1840年8月14日に、英国船インディアン・オーク号が琉球にて座礁。漂流民を保護し、本国へ送還した事で、真鶴はナイトの称号を英国女王から賜る。

<発覚と反撃>
王族神の真牛が、真鶴が女性である事を見抜き、行政府の権力を利用してライバル関係にある琉球王妃の追放や、真牛派の役人を増やすための科試試験問題を漏洩するよう脅す。真鶴は、反撃のため宣教師ベッテルハイムに真牛がキリスト教徒であるという嘘の告白をさせ、周囲から恨まれていた真牛は王宮を追放される(1847年)。

真牛の目的は、王宮の権力を握り、琉球独立のために武力増強をする事であったらしい。

<阿片捜査>
真鶴は、王命によって琉球にて行われている阿片販売の捜査を行い、主だった役人達を追放する。

<徐丁垓>
清国の宦官である徐丁垓が琉球に現れ、デカルトの『方法序説』を餌に真鶴を誘き寄せ強姦する。徐丁垓の目的は琉球支配であるが、真鶴は王宮を辞職する。

しかし、1847年に尚育王が死去し、次に即位した六歳の幼帝に不安を感じた真鶴は王宮に復帰する。徐丁垓は尚泰王に取り入り、後宮にも出入りするようになる。真鶴は徐丁垓を殺害するが、その罪により八重山島に流罪にされる。

<流罪から復帰>
1852年に八重山沖にロバート・バウン号が座礁。逃げ出した清国人 苦力達を保護するために、八重山島に着いたばかりの真鶴がナイトの称号を利用して英国人達を懐柔し、問題を解決する。

⇒ここ時系列がおかしくないかな?1847年に尚泰王が即位し、流罪にされるのが5年後なの?

沖縄沖にまで列強が進出している事を知った真鶴は警告の手紙を本島に送るが、返って咎められて監禁され、マラリアに感染した事で山奥に捨てられ、素性が分からなくなった事で女性として社会に復帰する。

そして、国王の后候補として本島に復帰し、側室になる。

<対米交渉>
本島で真鶴はユタ(市井の巫女)をしていた真牛と再会。また脅されるが、違法行為を通報し、真牛は逮捕され、終には遊女になってしまう。

この頃に朝董の息子 朝温が生れる。

そして1853年5月26日に、米国艦隊が琉球に来航。軍事力を背景に補給基地建設交渉を要求する。植民地化を警戒した琉球政府は、対外交渉の専門家である寧温(真鶴)を恩赦する事を決め、真鶴は側室と役人の二重生活をするようになる。

真鶴は、内戦の火種を抱える米国が太平洋航路確保のための拠点を二つ維持する事は困難と推測。徳川幕府が米国に居留地や商館、石炭貯蔵施設を提供すれば琉球は独立を保てるとする。

1854年7月11日に結ばれた琉米通商条約は抽象的な文言で、自由貿易以外は骨抜きにされてしまう。

<薩摩閥>
1856年のアロー号戦争で清朝の勢力は衰微し、琉球では薩摩閥が幅を利かせる。琉球の自由貿易を利用し、欧米の武器を手に入れようとする。しかし、島津斉彬死去(1858年)を契機に薩摩閥は琉球から一掃される。

<懐妊>
真鶴が尚泰王の子を妊娠する。真鶴が女性である事を知る真美那(尚泰王のもう一人の側室)が、寧温(真鶴)を閑職に回し、出産に専念出来るようにする。

真鶴は息子である明を産むが、閑職に回された兄が将来を悲観し、真鶴が二重生活を送っていた事をばらす。

<逃亡>
真鶴は明を連れて逃亡する。逃亡して七年が経する頃には、朝董が行政府の長となっており、清国からの冊封使の接待を準備する。その接待が終わった翌年、明治維新が発生する。

1873年には琉球王国は琉球藩となり、外務省直轄領となる。1875年に日本は台湾に出兵し、1879年には琉球王国は日本に併合される。

真鶴は、明と真牛と一緒に他に誰もいない王宮で第三尚氏王朝を開く。その後、真鶴は浅倉雅博と暮らすようだ。

***********************

作品における一番の不満は、主人公達琉球政府が海外事情に詳し過ぎる事だ。

情報網確保や判断等、今までの常識が全く通用しない状態で、古来の儒教的知識で近代精神に立ち向かう様子を読みたかった。

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