文明の生態史観

読んだ本の感想。

梅棹忠夫著。1974年9月10日初版発行。



第二次世界大戦から10年後くらいに書かれたエッセイ集。

<文明の生態史観>
各文明を系譜でなく、設計思想から読み解く。源が異なっても環境が同じであれば、同じようなデザインになる。

インドでバラモン教が仏教に発展し、発祥地でヒンドゥー教に駆逐され、東アジアでの信仰が主になっている。同じように、オリエントではユダヤ教がキリスト教に発展したが、発祥地ではイスラム教に駆逐されている。

以下の二つの地域。日本は極東にありながら、西欧と環境が似ているため、相似的変化を遂げる。

①第一地域:
日本や西欧等。第二地域から文明を導入し、封建制、絶対主義、ブルジョワ革命を経て、高度近代文明を発達させた。革命は主に内部から、封建体制によって養成されたブルジョワの力で発生する。中緯度、温帯、適度な雨量等により、技術水準が低い場合は文明の発源地になり難いが、ある程度の技術があれば容易い。

②第二地域:
ユーラシア大陸中央。専制君主体制を採用しており、革命は外部からの侵略等で発生する。封建制を経験しないため、ブルジョワが養成されず、近代における革命は、強力な指導者が共産主義という形式で行った。

以下の4つのブロック。

(1)中国
(2)ソヴィエト連邦
(3)インド
(4)イスラーム

古代における文明は、第二地域から発生し、影響された第二地域にて類似文明が発生する。第一地域では外敵の侵略が少なく、封建制が発達するが、第二地域では大帝国が現れても乾燥地帯から遊牧民の侵略を受け、破壊と建設を繰り返す。

第一地域における革命は、封建制度によって育成されたブルジョワが支配権を握り、資本主義体制を構築するが、第二地域ではよりドラスティックに旧体制下の皇帝が完全に消滅するため、伝統等が温存され難いとする。

日本や西欧では封建制の遺物たる「家」の重圧があったが、第二地域では血縁集団が解消され、超家族的集団(カーストや部族制等)が見られる。

<中洋>
インドやアラブ地域。

〇インド:
東洋に区分されるが、西方からの影響が強い。

アーリア人自身が西からの侵入者であり、その後もペルシャ人やギリシャ人、アフガニスタンの王朝やイスラム教徒等が西部から侵入し、ヒンドゥー語やウルドゥー語にはペルシャ語の影響が強いとする。

日本は中枢神経が発達した脊椎動物のようで、各地方が緊密に結ばれ、部分が影響を受けると全体が影響される。対して、インドでは各地域の独自性が強く、結び付きが緩やか。

中華と同様の正統意識があり、日本や西欧のような文化的劣等感が少なく、メディアの報道も自己礼賛的とする。

〇アラブ
以下の三地域に分かれる。

①イラン、アフガニスタン:アーリア族の一派
②トルコ
③アラブ諸国

イスラム教による統一原理がある。

<東南アジア>
第二地域に属する。

系譜が違う様々な民族が、互いに併立し、圧倒的に優勢な民族がいない。当初はインド方面から移動したモン族やクメール族の国があり、十三世紀の元朝侵入を受けて雲南からタイ族が大量移住、ベトナム族も中国南部から移動し十七世紀にはチャムを滅ぼして安南帝国を建てている。

日本と同様に隣接地域から文明が輸入され、類似文明が発達するが、別種族の侵入を受けて破壊と興亡が繰り返される。それは東欧と似ているかもしれない。

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