竜が最後に帰る場所

読んだ本の感想。

恒川光太郎著。第一刷発行 2010年9月18日。



短編集。他の作品にも見える要素が登場する。

・別世界
・認識から消えるもの
・地下室への監禁
・別人になる
・etc

風を放つ
大学生の主人公が、アルバイト先の社員 高尾の知り合い マミさんと知り合いになる。電話のみでの付き合いであり、実際に会う約束をするが、実際には合わない。

マミさんは、風(精霊)を閉じ込めた小瓶を持っているらしく、蓋を開けたら、開けた人間の命令を何でも聞くと主張する。

⇒マミさんの自称するプロフィールは変転する。こうした人物が恒川先生の別作品にも登場する。

迷走のオルネラ
母子家庭の子供である主人公(10歳~11歳)は、母の恋人である宗岡貴博(38歳~39歳)に母を殺される。

主人公は体を鍛え、二十年後に出所した宗岡を地下室に監禁し、彼の妻がアイドルタレントの牧野ナルミであり、暴力を振るう輩を世界から排除するオルネラになるための試練を積むと洗脳する。

<月猫>
宗岡貴博と喜嶋ユキの子であるコオリユキ(主人公の4歳下)が描いた漫画。全四巻。

月(太古から大気と緑がある設定)に地球から来た宇宙船が不時着し、女と猫(オルネラ)が生活を始める。月にはグラスコードと呼ばれる妖精が出没し、捕まえた人間は妖精の国に行ける伝説がある。

一巻では連続強姦殺人犯として月に逃亡した男を射殺し、二巻では女の少女時代が語られ、三巻で女が死ぬ。四巻では死んだ女に時折変身するグラスコードが猫(オルネラ)を導き、宇宙船で月に逃げて来た家族と出会う。

P86:
情報が遮断され、たよりは記憶だけとなったとき、絶望そのものである冷酷な現実と、希望のあるやさしい嘘の二者択一しかなくなったとき、人はどちらを選ぶだろう。

夜行の冬
夜になると赤いコートの女が導く行列が現れる。行列について一晩歩くと、パラレルワールドに行ける。行列は死霊に追跡されており、足を挫く等して行列から外れると死霊に連れて行かれる。

P135:
危険な夜行に参加し続ける動機は自分でもよくわからなかった。「面白いから」という灰色ダウンの言葉は本音だろう。死が背後に忍び寄る夜から生還し、未知の町に辿り着くことで得られる生の充実感は、怠惰な日常では決して得られないものだった。

鸚鵡幻想曲
擬装集合体がある世界。

天道虫や雀蜂、蟻や小銭等が、寄り集まって携帯電話や郵便ポストに偽装している。主人公 宏は、擬装集合体を解放する能力を持つアサノニシカと出会う。宏は二十匹の鸚鵡が集合して形作られた存在であり、解放を恍惚とするアサノニシカに解放されてしまう。

二十匹の鸚鵡は南方に向かい、そこで女性と出会い、彼女から愛されるために再び集合し、人間となる。

ゴロンド
竜が成長する話。

五千匹の竜の幼生が卵から孵り、泥鰌に似た姿から、蜥蜴のようになり、やがて羽が生えて約束の地に向かう。全ての幼生が竜になるわけでない。時折、成長するものと、そこで終わるものに分かれ、一部しか竜になる事は出来ない。

P217:
食事と睡眠以外の静かな時間の多くを思索に費やした。月≪夜になると空に浮かび日毎に形の変わるあかり≫や、太陽≪ぎらぎらと輝く、熱を発し、見ると目がくらむもの≫の存在について思いを巡らし、親鳥を待つ雛≪たべものをはこんでもらって生きている小さなもの≫を観察しながら、これは何かと考えた。生きなくてはならぬ世界が、生まれたときから目の前に投げだされている。ただ欲求に従って生きているが、これはどういうことなのだろう?

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短編に共通するテーマは、分岐点をめぐる旅かな?

日々、様々な選択を行っており、無数の並行世界が発生している。

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