おいしい資本主義

読んだ本の感想。

近藤康太郎著。2015年8月20日 初版印刷。



朝日新聞やAERAは、こんなに恐ろしい人間が記事を書いているのかと思い怖くなった。

自立しようとして自立出来なかった人間の物語だと思う。「農」による自給自足により、社会から自立しようと試みるも、著者の思想
は同調圧力に抗えず、記述の節々に認知不協和が見られる。

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朝日新聞に勤務する著者が、新聞社に勤務しながら稲作を行った経験を綴る話。

著者は、1987年に朝日新聞に入社し、書きたい記事(日本のアンダーグラウンド音楽)が新聞に掲載されないため、29歳で外部の雑誌社に自らの記事を寄稿するようになる。

そうした事を20年以上継続した結果、新聞記者としての専門分野が無く、遊軍として毎週違うトピックを追いかけるようになる。同期が専門分野の担当記者となっていく事に焦りを感じ、50歳で片手間農業の企画を朝日新聞に提案する。

生活のメインは記者だが、自らが生きるための最低限の食糧は自作する事で、社会からの一定の独立性を維持する狙い?

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著者の試みは、失敗していると思う。

P75~P76に、「レイシストをしばき隊」についての記述がある。

以下は、web LITERAの「宮台真司がネトウヨを語る「あれは知性の劣化ではなく感情の劣化だ」」の記事へのリンク。

http://lite-ra.com/2014/11/post-601_4.html

刺青をして暴力を振るう「レイシストしばき隊」を格好良いとし、そうしたイメージ戦略が有効と書いている。著者は、宮台真司の意見に同意している。

著者は、自由に好きな記事を書きたいとしながら、「レイシストしばき隊」を批判出来ない。それは無意識的な作用で、暴力を認識出来ないようだ。

P200~P201に朝日新聞の従軍慰安婦誤報や福島原発吉田調書誤報の問題が記述されるが、著者はそれについても当事者意識を持たない。朝日新聞に20年以上勤務し、編集委員兼諫早支局長であるのに、問題に関する自分の見解が記述されない。

そして、著者の認知不協和が明確に感じられるのは、P151の農薬無人ヘリについての記述だと思う。自分の田が小学校の隣にあるとしながら、お世話になっている農家に逆らえずに農薬無人ヘリを申し込む。この部分の記述は繋がっておらず、著者の葛藤が感じられる。

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自由になる事を目指しながら、著者は自由になっていない。

その理由は、具体を抽象化する能力の欠如であるように思える。著者が新聞記者として、一定の階級以上に出世出来なかった理由の一つは、抽象的に考える能力の弱さかもしれない。

著者が政治や経済、文化や歴史、道徳等について考える時、その思考は他の人間が書いた文章を想起する事によって代替される。思考構造が僕に近い。

「レイシストをしばき隊」を批判出来ないのは、『外国人に対する差別に反発する行為は無条件に肯定される』という文章が著者の中にあり、それを参照する事で著者の思考が組み立てられているからではないか?

それは全ての人間にとって同様で、自分の夢や目標をフィクションでなく答えられる人間はいないと思う。本で読んだ事や他人の意見を参照し、それを想像の代替にしているだけに過ぎない。

宗教や近代社会が命じる戦争に抗う事が出来ないのは、誰もが社会の仕組みという抽象的実体を理解出来ず、社会正義を暗記して従うしかないためであるとしてみる。

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それでは、著者の考える歴史観を僕なりに整理すると、膨張欲求だと思う。

江戸時代の日本では人口が増えたため、刈敷農法(草を土に踏み込んで肥料にする)が盛んになった。水田一反に対し、十倍~二十倍の山野が必要になる。温帯で雨の多い日本は森林が増えるため、柴山状態を保つために伐採が行われ、水害が多発するようになる。

近代に至ってもそれは同様で、膨張のために辺境を開拓する。その方法は資本(お金)の蓄積で、資本投下を繰り返す事で、より多くの資本を作り出そうとする。

社会構成員も資本増加に巻き込まれ、あらゆる物品に価格が付加された結果、多くの人間の欲望が金銭によって計測可能になり、欲望が一般化、普遍化していく。同じ欲求を多くの人間が持つようになる。巨大な同調圧力。

そのため、際限の無い膨張や同調圧力から、どのように身を守るかが現代のテーマとなる。同調するか、独立するか、社会変革を目指すか?

著者自身は、堅固な階級を仮定しており、本当の意味での変化を望んでいないように思えた。

P187に『バートルビー』という中編が紹介されている。労働者が交換可能な歯車として、「断る力」を失い、他者と同じように振る舞う事を要請される事を示しているのだとか。

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