子どもの脳と仮想世界

読んだ本の感想。

戸塚滝登著。2008年2月27日 第1刷発行。



著者は、社会変化を怖がっているのだと思う。

生活が変化する事によって、自分では理解出来ない人間が育成されていく恐怖。トレードオフの法則として、子供に仮想を与えるのと引き換えに現実的能力が失われるとし、本物の体験を優先すべきと主張する。それは自分に理解出来る子供であって欲しいという儚い願いだ。

『海の上のピアニスト』という映画の話を、著者はP237~P238辺りで引き籠りに准えて書いている。子供の時から客船の中で育ったピアニストが成長しても新しい世界に踏み出す事が出来ず、ピアニストは廃船となった客船ともに海上で爆破される話。

そのピアニストは著者自身の姿だ。発展しつつある仮想世界には無限の可能性があり、複雑過ぎて理解出来ない。苦痛に満ちた変化よりも、自らにとって居心地に良い現実世界が主流でいて欲しいと願う。しかし、著者の考える現実世界は幻想だ。



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<子供達の変化>
1950年代:
テレビの登場。

1960年代:
テレビが普及し、視覚と聴覚の突出が始まる。

1970年代:
カラーテレビの普及。視力、体力の低下が始まり、視覚と聴覚が肥大する。

1980年代:
パソコンとテレビゲームの登場。視覚がさらに突出する。運動能力は低下し、注意力が散漫になる。

1990年代:
インターネットの登場とマルチメディアの普及。視覚と聴覚がさらに肥大し、両指が肥大し、脚力が弱まる。

2000年代:
デジタルテレビ、携帯電話、インターネットの普及。視覚と聴覚が異様に肥大。両指先がさらに突出。

仮想世界が普及する前の時代と比較して、現代の子供達は猛烈に速く喋り、身体や手足は世話しなく、視線や表情の変化が激しいとする。そして、昔と比べて膨大な知識を持ち、難しい言葉を話し、身振り手振りを頻繁に使う。注意力や集中力は持続せず、話題や関心毎がすぐに変わる。

仮想空間に適応する事で、現代人は異なる生物になりつつあるのかもしれない。

<汽水域の概念>
海水と川水が混じり合う場所。二つの異なる流れが渦巻くため、潮流が不安定。人間は子供時代の終りに迎える危険な時期を汽水域に准える。

サンタクロースを信じた時代から、現実を知る時代への変化。

情動と結び付いた思考や道徳的判断を司る「前頭葉腹内側部皮質」は、子供時代の終りになって協調して機能し始める。周囲との意思疎通の中でモラルを築くとする。

⇒モラルの形成には時間がかかる

2006年に脳神経科学者ジュディス・ラポポート博士が行った研究では、高い知能を持つ子供(知能指数122~149)の脳は灰白質層の増え方が遅い特徴があるという。普通の子供は灰白質が6歳頃、やや知能が高い子供は9歳頃に最大になり、高い知能を持つ子供は11歳でも最大に達しない。

⇒高い知能は遅く成長する

思春期の到来は、脳の基礎工事が終わり、脳の可塑性が失われていく時期の始まりでもある。

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どうようの変化が人間社会でも発生しているかもしれない。これまでの社会全体の増大期から、刈り込みを行う時期への変化?

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