兵器と戦術の世界史

読んだ本の感想。

金子常規著。2013年10月25日 初版発行。



細かい知識を披露する本になっている。著者が主張したいテーマがあるようだけれど、それを冒頭で纏めて記述していれば分かり易い内容になった気がする。

近代の戦いを、豊かな国の火力と貧しい国の人海戦術との対比で考えている?火力軽視の精神主義は第二次世界大戦の日本軍に限った事で無く、当時のフランス軍や朝鮮戦争時の中国軍等にも見られた現象としている観点は斬新かもしれない。

世界史としつつも、第一次世界大戦、第二次世界大戦に内容が偏っている点も気になるかな。

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第二次世界大戦時の日本軍が火力軽視に陥ったのは、戊辰戦争から第一次世界大戦まで、常に日本軍が攻者として戦っていたからかもしれない。

近代戦において防衛者は強靭であり、それを突破するには損害を覚悟した白兵突撃行動か火砲の集中射撃が現実的である。

日清戦争、日露戦争では砲弾や火薬不足の問題が度々発生しており、資金不足の日本では精神力が重視されるようになっていく。日露戦争での消耗小銃弾は9922万発、砲弾は99.2万発であるが、ロシア軍の負傷者の内、砲弾によるものは14%であったという。

火力軽視は日本軍だけの傾向でなく、フランスとドイツの対比でも明らかになっている。第一次世界大戦後のフランス軍は、敵軍の戦車によって敗北した経験が無く、むしろ自軍の戦車が大量に故障し、また、独軍火砲に破壊された経験から、戦車を軽視して補助兵器と見做していた(英軍も同様)。

戦車に敗れた経験を持つドイツは異なり、1935年には三つの装甲師団を保有するに至っている。

朝鮮戦争においては、中国軍が大量の突撃部隊によって米軍の弾薬を消耗させる人海白兵突撃戦略を採用し、米軍は大量の弾薬で対抗する事になる。

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P58~P60に中世イタリアにおけるマキアベリの失敗についての記述がある。フランス軍の大砲が過大視されていたが、損害が少ない事に注目し、歩兵が若干の損害に拘らずに突進すれば勝てると主張した(ローマのレギオン隊形を採用すべきとした)。
しかし、彼の市民軍は防衛に意欲を持たず、実戦では二門の大砲射撃だけで戦意を喪失した。その後のマキアベリは著作に専念し、ローマ軍を模範とした国民軍隊創設を主張した。

⇒本書の残り部分を読むと、むしろ火力を重視するべきだったのではないかと思えてくる

P292:
戦車が万能のように見えたのは、相手が対応の手段を見い出すまでの一時的な現象にすぎないが、勝利は、この現象の有効な間を十分に利用し、あるいはその終末を見極めた側にある。連合軍は、初期に戦車に対応する手段を見い出せずに失敗したし、独軍は、中期から戦車の活動にある種の限界がきたことを悟ることが出来ず、いつまでも万能の夢からさめなかったために自国の命運を失ってしまった。

◉クラウゼヴィッツ理論
ナポレオンに対抗するため徴兵制による新軍を主張。

母国プロシアの特性に合わせ、速戦速決を至上命令に、最初に定めた武器・弾薬・用法で遮二無二突進すべきとする。戦争中の技術変化は考慮しない。

指導者は技術の能力、限界を知るのみで内容まで知る必要は無いとした。歩兵、砲兵、騎兵について、歩兵は人口、騎兵は馬匹数、砲兵は財力を基礎としているとした。砲兵は強力であるが、騎兵のような運動性が乏しい問題がある。

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