ザ・セカンド・マシン・エイジ

読んだ本の感想。

著者:エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー。
2015年8月3日 第1版第1刷発行。



機械化について述べた本。著者達の主張は間違っていると感じる。費用対効果を考えた場合、単純労働ほど機械によって代替され難いはずだが、それに関する観点が無い。

評価されない人達を正当に評価するシステムが無い限り、機械による代替が阻止されても問題は変わらないと思う。マイナーなラダイト運動に注目しても、フランス革命や明治維新、南北戦争にはそれほど注目していない事がおかしい。

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人類史における一大画期は、18世紀後半の産業革命である。未だかつて、総人口や生活にこれほどの変化を齎した事象は無い。

現代における第二機械時代も同じようなインパクトを齎す可能性がある。

〇モラベックのパラドックス
ロボット工学者ハンス・モラベックの意見。機械知能にとって高度な推論の実行は容易いが、初歩的な知覚・運動技術の習得は困難とする。

⇒著者達は、本作でこのパラドックスを完全には打ち負かしていないと思っているはず

しかし、機械知能には成長速度が速い特徴がある。自動車の速度が二年毎に二倍になる時期が50年継続した事は無いが、機械知能にはそれが可能だ。デジタルの世界における制約は、物理世界よりも緩く、短期間での大幅な成長が可能。

スーパーコンピュータCray-2(1985年発表、3500万ドル)と、タブレット型端末iPad2(2011年発表、1000ドル程度)の演算速度は同等であるが、iPadにはカメラや電話の機能まで付いている。

〇生産性の重要性
米国の一人当たりGDPは、1800年以降、平均して年1.9%伸びている。これは36年でGDPが二倍になる事を意味する。この原因は生産性が向上したためであり、1950年に週40時間で獲得した生産量が、2015年?では週11時間の労働で実現出来ている。

1940年代~1960年代は電気の導入期にあり生産性が向上したとする。1973年には生産性向上の鈍化が確認された。電気が動力源として米国の工場に導入されたのは、1890年代後半の事だが、その後20年間は労働生産性は向上しなかった。

経済史を研究するポール・デービッドの意見として、当時の工場の多くは、蒸気機関を動力源としていた頃と同じようなレイアウトや組織のままだったとする。蒸気機関を動力源とする機械は、蒸気機関から近くに配置する必要があった(伝達距離を最小限にする)。そのため、機械類は蒸気機関の上下階に配置される事が一般的だった。

電動モーターが導入された後もレイアウトは変わらず、生産性は向上しなかったとする。

1920年代頃に、当初の技師長が引退し、新世代が指揮を取る頃になって、小型モーターを多数利用する事が一般的になり、生産性が向上したとする。

⇒電力による生産性向上のペースは、情報技術導入による生産性向上のペースと極めて似ているらしい

米国の労働生産性は、情報技術により向上している。1971年~1980年が年率1.7%、1981年~1990年が年率1.5%だった労働生産性の伸びは、1991年~2000年が年率2.3%、2001年~2010年が年率2.4%となっている(2000年代後半から生産性の伸びは鈍化している?)

〇GDPについて
国民所得が計算され、議会に提出されたのは1937年の事。それまでの為政者は貨物の輸送量や株価指数等の断片的情報に頼って政策決定をしていた。

サイモン・クズネッツが全米経済研究所、商務省と行った調査研究に基づく。経済が変容した事で新しい指標が生まれた。

現代における情報経済においては、GDPは不適切な指標かもしれない。無料のデジタル資産や時間節約、インターネットによる悦楽、アクセス拡大、比較レビュー等の無形資本財。

新しい指標が必要とする。人間開発指数(国連開発計画が発表する健康や教育等の指数を用いて社会を計測する指標)や多次元貧困指数(栄養、衛生等の指標から貧困状況を評価する)等。

〇べき乗法則
一部の人間に富が集中している。

2012年に米国の全所得の半分以上を上位10%の所得層が占めるようになったという。所得や生産性が向上しても、配分が行われなければ大多数の人間は恩恵に与れない。

情報技術の拡大に伴い、デジタル化されたコンテンツが多くの人間に容易に配布されるため、勝者総取りの傾向が強まっているとする。CEOの成果報酬は1990年には平均的従業員の70倍だったのが、2005年には300倍になっている。情報技術の発達により、最終決定者の影響力、監督範囲が大幅に拡大した事を理論的根拠とする。

スーパースター経済においては、所得分布は左右対称の正規分布ではなく、非対称のべき分布になるとする。そこでは80対20の法則が成り立ち、上位20%の人間が利益の80%を獲得する。

こうした変化は世界観を混乱させる。それまでは、平均的な有権者に語りかけ、代表的な消費者を想定したが、べき分布での平均値は最頻値より遥かに大きいため、大半の人間は平均以下となってしまう。

〇個人や政府への提言
個人に対しては、発想力、広い枠でのパターン認識や複雑な意思疎通等の人間が比較優位を持つ認知分野を重視すべきとする。現実を動き回り、様々な人と接する仕事。

以下は政府への提言。

①初等・中等教育の改善
教育のデジタル化等。
②企業環境整備
③求人と求職のマッチング強化
④科学者支援
⑤インフラ整備
⑥課税の工夫
ピグー税(公害に課税)、超過利潤(年間100万ドル以上等)への課税等。

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労働は、人間を退屈、悪徳、困窮から救うというヴォルテールの言葉がある。多くの人間は、熟達、自主独立、目的を求めている。

働く事は基本的願望であり、自信を持つ事に繋がる。そのため、仕事が無い地域は、貧困な地域より悲惨な運命を辿るとする。

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