倭国神話の謎

読んだ本の感想。

相見英咲著。2005年5月10日第一刷発行。



日本神話を四世紀に創出された物語と主張する。

第一章 <皇室版日本神話>の想定
日本神話の目的は、天皇家の支配正統化である。前の王権の非を責めるのでなく、最初から自分が日本国王であったと主張する万世一系神話の流布。

ヤマト王権の支配が確立されていった四世紀後半~五世紀初め頃の支配者達の関心を反映する物語が出来たとしている。

第二章 天地開闢の神話物語(一~三段)
日本書紀冒頭にある天地開闢の記述は、中国の淮南子や三五歴紀等から適当に文章を抜き出して加工したものとする意見がある。

しかし、著者は、中国開闢神話と日本書紀は相当に異なっているとする。

一段本文を構成する以下の二つの部分。

<Ⅰ>
開闢くる初に、洲壌の浮れ漂へること、たとへば遊魚の水上に浮けるがごとし。時に、天地の中に一物生れり。状葦牙の如し。便ち神と化為る。

<Ⅱ>
国常立尊と号す。次に国狭槌尊。・・・・

上記<Ⅰ>は中国開闢神話に頼らずに起源を語っているとする。<Ⅰ>は海洋的であり、海人の伝承と勝ち得する。原初においては、海洋?からイザナキ・イザナミが化生する物語だった?

イザナキ・イザナミ以前の神々は、大地や野等の大きな世界が設定された事を受けて、人間世界(家)が造られるまでを物語るとする。

・ウヒヂニ・スヒヂニ
ヒヂは泥、ニは土を表すとする。家の土台や壁の材料。

・角クヒ・活クヒ
クヒは杭として、家の土台を固める。

・大トノヂ・大トマベ
大戸として、門が出来た事を示す。

・オモダル・カシコネ
面足るとして、家が整えられた事を示す。

上記の神々で家作りが終了し、イザナキ・イザナミが登場する。

第三章 イザナキ・イザナミの物語(四・五段)
1 <大八洲生み>とは何か
日本列島の中心的な島八島。四世頃の観念で、諸説あるが本州、四国、九州、佐渡島は全てに入る。越洲(北陸)が含まれる説がある事から、洲は島でなく国と訓むべきとする。

2 “生まれ損ね”の兄、淡路洲
国生み神話の中で、生まれ損ねの島を淡路島とする話と淡島とする話がある。四世紀頃に淡路島の重要性が増加し、淡路島を救済するために淡島が創作された可能性(仲哀天皇は淡路島に屯倉を定めた)。

3 棄てられたヒルコの正体
太陽神として構想されたヒルコが、被支配民族である倭人の女日神構想に合わせて棄てられたという説?垂仁天皇の娘である倭姫命が近畿諸国を行脚して、天照大神の御杖代となって伊勢神宮を定めたという話は、日神信仰を統合する過程の話かもしれない。

4 皇祖神弟にスカウトされた出雲須佐の男
出雲の神である須佐の男を、凄まじい男として日本神話にスカウトした?
スサノオの誕生譚は不自然。日本書紀五段第1の一書では白銅鏡を左手に持った時に日神が生まれ、右手に持った時に月神が生まれ、首をめぐらした時にスサノオを生まれている。第6の一書では、左眼を洗った時に日神が生まれ、右眼を洗った時に月神が生まれ、鼻を洗った時にスサノオが生まれている。

⇒スサノオが後から導入された可能性

5 ヨモツ国からの逃走
ヨモツ国からの逃走経路には、山葡萄がなり、竹林がある。山の坂道をイメージしており、ヨモツ国は山の墓所であったとする。黄泉平坂は人里と山の墓所をつなぐ道。

第四章 スナノオと天照大神の物語(六~八段)
1 天照大神は女か男か
スサノオに対抗して武装したり御みづらという男性の髪型をする天照が男性であったとする説がある。著者はそれを状況に迫られたためとする。

2 スサノオと天照が交合しないわけ
スサノオの役割を、天照とのウケヒによって天孫ニニギの父親である天忍穂耳を誕生させるためとしている。

3 スサノオ、天照を追い詰める
二つ目のスサノオの役割。天照を追い詰めて岩戸隠れを引き起こし、天照が存在しなければ大混乱が発生するとして、皇統を正統化する。

4 スサノオの処罰と呪物体<卜>
役割を終えたスサノオを出雲に返す。処罰されて無害化したスサノオは自分の高天原への侵入を防ぐ大量の祓物を卜に載せて提出した。

5 ヤマタノオロチの謎解き
ヤマタノオロチの神話を製鉄民族が征服されるまでの話とする。

6 新羅・紀伊・熊野への注目
四世紀前半から五世紀前半にかけて日本列島に巨木伝説が出現している。神功皇后が美奴売神に与えられた木で神の船を作った話、応神天皇の枯野船、仁徳天皇の速鳥船等。

これらは朝鮮半島への進出のために造船ブームがあった事を示唆しており、木を供給する紀伊や熊野へ勢力を拡張している。

360年代から神功皇后が始めた朝鮮侵略政策により、スサノオが紀伊三神の父親となった?

第五章 神代紀にないQ段神話物語
大国主命の物語は古事記にはあるが日本書紀には無い?著者は、八段第6の一書が失われたQ段神話とする。

第六章 天孫の天降りとその後の物語
四世紀初頭に倭王となった支配者が、自らを天孫の子孫として支配を正統化し、それに合致する物語を作り出したのが日本神話とする。

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