権力に翻弄されないための48の法則

読んだ本の感想。

著者/ロバート・グリーン/ユースト・エルファーズ
1999年12月10日 初版発行。






力の行使は、道徳的で文化的、且つ公正に見えなければならない。これは逆説だ。道徳的な人間であっても力に飢えており、その行動は力を手にする事を目的にしている。

法則1 主人より目立ってはならない
太陽は一つしかない。

失墜しかけていない限り、主人には優越感を持たせておくべき。ルイ14世に更迭された大蔵卿ニコラ・フーケや豊臣秀吉に処刑された千利休を例とする。

法則2 友を信じすぎず、敵をうまく使え
猛獣に恩を期待出来ないように、仕事上の友人との関係は必要な境界線がぼやけてしまう危険がある。

ビザンティン帝国のミハエル三世は、友人であったバシレイオスにその位を追われた。

人間は自分で思っているよりも友人を知らない。友人同士では、口論を避けるために安易に相手に同意するため、自分の望ましくない部分を隠す事がある。そのため、友人を頼ると隠された部分が明らかになる。友人であるというだけで他人に恩恵を与える事は人の誇りを傷つける行為である。

逆に、必ず勝てる敵の存在は、自分の大義を知らせ、目標を明確化するために有益である。

法則3 本当の目的は隠しておけ
目的を示さない事で相手を不安にさせる。意図が見えなければ防御出来ない。さらに、偽りの秘密を明かす事で信頼させる方法もある。

<ニノン・ド・ランクロ>
17世紀フランスの高級娼婦。他の女に関心を持たれている男の価値は高い。さらに、会えると思える時に顔を出さない事で混乱させ、誘惑を成功させ易くするとしている。

法則4 必要以上に多くを語るな
言葉で感銘を与えようとすると凡庸に見られる。沈黙は相手を不安にさせ、喋らせる事で情報を引き出す事が出来る。ただし、饒舌を見せる事で自分を愚かに見せる戦略もある。

<ガイウス・マルキウス:コリオラヌス>
紀元前5世紀のローマ軍人。紀元前454年に執政官に立候補し、自分の傷跡を示すパフォーマンスをしたが、実際に演説をすると人気が急落し、尊大な態度から終身刑になった。

法則5 名声は大いに頼りになる
   ―生命をかけて名声を守れ

名声は力の礎である。人間は他人を完全には理解出来ず、それが人間を不安にさせる。そこで外見で判断するようになる。それだからこそ名声を保つ事は重要だ。自分の評判が傷ついている場合は、高い評価を受けている人間と組むべき。

法則6 ぜひとも人の注目を集めよ
全ては外見で判断される。忘れられないイメージを作るべき。群衆は利益を生む。注目の種類を選り好みしてはならない。ただし、権力者の評判を汚す事の無いようにしなければならない。

<マタ・ハリ>
20世紀初頭のパリで有名になった踊り子。聖なるインドの踊りをすると話題だった。第一次世界大戦中にスパイとして逮捕され、オランダ北部出身の西洋人である事が明らかになった。神秘的な雰囲気で人気だったらしい。

古代世界は理解出来ないものを精霊に置き換えていたが、科学の進歩は精霊を駆逐し、世界が凡庸になる事で人々は不可思議を切望するようになっているとしている(神秘性の力)。

法則7 他人を自分のために働かせよ、
    ただし手柄は決して渡すな

他人の力を活用しても、助力者は忘れられ、自分の名前だけが残る。全てを自分で行う者は高みに到達出来ない。

これは同時代の人間だけでなく、過去の人間を活用する意味合いもある。シェークスピアは、戯曲のプロット、人物造形をプルタルコスから拝借しているが、手柄はシェークスピアのものである。

法則8 他人に足を運ばせよ―必要ならば餌を使え
他人に行動を強要する時、主導権はこちらにある。

<ナポレオンのエルバ島脱出>
1815年のナポレオンのエルバ島脱出は、フランスの元外相タレーランがナポレオンを完全に潰すために仕組んだとする。フランスは破産状態にあり、ナポレオンの反抗は短期間で終わる。ナポレオンはアフリカ西海岸から遠く離れたセント・ヘレナ島に追放される事となる。

攻撃的な指導者は先が読めず、完全に支配権を握る事が無い。敵が自ら出向く状況では、敵は自分が状況を操作していると錯覚しているため、陰謀に気付かない。

法則9 言葉ではなく行動によって勝て
議論における勝利は一時的な勝利に過ぎない。ただし、相手を欺く時には言葉は有効である。

特に上位者との議論においては、相手の意見が正しいという前提で、間接的に自説を認めさせなければ勝つ事が出来ない。

行動よりも強力な説得手法は象徴を使う事であり、国旗や神話等を使用する。

<ヘンリー・キッシンジャー>
1975年にイスラエルとの会談を打ち切って、古代城塞マサダを訪れた。73年にローマ軍に敗れたユダヤ兵士が集団自殺した場所であり、その後、イスラエルはシナイ砂漠を一部返還した。

法則10 感染を避けよ
   ―不幸な人間や不運な人間とはつきあうな

心理状態は伝染する。危険性を見抜くには、当人が周囲に与えている影響で見抜くべき。過去で判断する方法もあり、これまでに関係を壊した人間には注意すべき。逆に幸運な人間とつきあうと幸運を手に入れる事が出来る。

法則11 他人を自分に依存させておくすべを覚えよ
他人から必要とされるほど自由になれる。その代償は自分も他人に頼る事であり、それを超えるには上位者を排除する事になる。独占は内側からの重圧にあい、周囲の怒りを掻き立てて敵を結束させる。完全な支配を目指すと破滅する事が多い。

<オットー・フォン・ビスマルク>
力の衰えたフリードリヒ・ヴィルヘルム四世に取り入り、権限を回復させて自分の望む政策を行わせた。1861年に後を継いだ弟のウィルヘルムはビルマルクを嫌っていたが、ビスマルク無しでは敵に対抗出来なかった。

法則12 意図的な正直さや寛大さで敵の武装を解け
誠実な一つの行動は、他の不正直な行動を隠す。ただし、過去に欺きを繰り返したのなら悪党を演じた方が良い。

法則13 他人に助力を求めるときは相手の利益に訴えよ。
    情けや感謝の念に頼ってはならない

過去の恩ではなく、相手の利益に訴えるべき。私利私欲に訴える事を下劣と考える人間は、自分の正義を実行出来る機会を待っているのであり、それによる自分の優位を確認したがっている。そうした人間に頼む時は、彼等の力を強調するという方法で相手の利益に訴える。

<コルキュラ島>
紀元前433年にコルキュラ島とギリシアのコリントスは戦争し、アテネの支援を必要とした。コルキュラは自らの海軍力をアテネに提供出来るとし、コリントスは過去に行ったアテネへの援助を述べた。そして、アテネはコルキュラに味方した。

法則14 友を装ってスパイをはたらけ
社交的に相手と付き合う中で情報を集める。

社交の集まりのような無害な場では、人々は警戒を緩めている。自分が控えていれば、相手は友情を求めていると誤解するし、相手を怒らせて感情的な反応を引き出せば真実を知る事が出来る。

法則15 敵は完全に叩きつぶせ
打ち負かした敵は屈辱を感じ自分を恨むようになる。

法則16 姿を見せないようにして周囲の敬意と
    称賛を高めよ

流通量が多くなれば値段は下がる。ある程度の力を持っている場合は、存在を強調し過ぎない方が良い。優れた人間であっても、周囲は最盛期との比較をするので引き時を心得る必要がある。

法則17 予測不能の雰囲気をかもしだして、
    相手をつねにおびえさせておけ

人間は習慣の生き物であり、他人の行動に同質性を必要とする。予測可能な人間は支配可能と思われる。一貫性も目的も見えない行動は相手を消耗させる。

人間は他人の行動の裏にある動機を読み取ろうとする。そのため、不可解な行動は相手を防戦に回せる。

時には、一定のパターンを作っておいて、他人に慣れさせて裏をかく方法もある。

法則18 保身のために砦を築くな―孤立は危険である
砦にこもると情報から遮断され標的になる。周囲と交われば群衆が敵を遮断する。

人間の力は社会的相互作用と交流の上に成り立っている。

例外は思索であり、社会からの重圧を避けて一時的に孤立して思索する事もある。ただし、孤立には歪んだ思想が生まれる可能性がある。また、孤立から抜け出る事は困難であるため、社会復帰の窓口が閉ざさないように注意すべき。

法則19 相手の性格を見きわめよ
   ―不適当な人物を攻撃するな

以下の型は、ペテン師が厄介とする人物像。

平均的な人間よりも自信が無いために、僅かな侮辱にも耐えられない人間がいる。冗談をしかけて笑う人間は自信がある人間であり、不安定な人間は侮辱と感じる。

① 傲慢でプライドが高い
傷つき易い自尊心のために過剰反応する。何をされたかは問題でない。
② 不安定な人
上記①と近いが暴力性が低い。攻撃されたと感じるとしつこく攻撃する。
③ 猜疑心が強い
他人の中に自分が見たいもの(最悪の部分)を見て自分を狙っていると思う。しかし、この型はとても騙され易い。他の人と敵対するように仕向けるのは容易い。
④ 記憶力が良くて陰険
表面上は怒りを表さないが形勢が逆転すると復讐する。
⑤ 愚鈍な人
騙されるには、見返りを期待する知力と想像力が必要。鈍感な人は逆に用意した罠にかからない。欺く事に過大なエネルギーを消耗するので、別の型を相手にした方が良い。

法則20 誰にも深く肩入れするな
周囲の喧嘩に巻き込まれない事で中立を守る。当事者達が疲れた時を機会とする。

大抵の人間は感情の渦の中で行動し、周囲に反応しながら揉め事を起す。完全に孤立していれば無用な怒りを買うため、他人に興味があるように見せかけながら、深入りせずに問題を表面化しない。

贈り物をし、同情を持って話を聞き、それでいて距離を置く。自分を求める人間を長く待たせ過ぎると嫌悪されるため、他人に共感出来る事を証明するために味方をしなくてはならなくなる。

法則21 だまされやすい人間を装って人をだませ―
    カモより自分を愚かに見せよ

他人に愚かと思わせれば、真の目的を疑われない。

他人が自分よりも聡明と感じる気分は耐え難いものであり、知的に優位にあると錯覚させる事で騙す事が出来る。ただし、下位にいる時は過度に愚鈍に振る舞わず、巧妙に自分の実力を知らせるべき。

法則22 降伏戦術を使って、弱さを力に変えよ
自分の方が弱いと思ったら、降伏して時間をかせぐ。敵に過剰反応すべきでない。降伏戦術では、内面には信念を持ち、外面では屈服する。

法則23 自分の力を結集せよ
複数の戦線に戦力を分散させるべきでない。ただし、劣勢である時は分散して的を絞らせない戦略もある。

<ロスチャイルド家>
18世紀末に金貸しで富を築いたマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドは、事業を外部に委託せず、近親者だけを使用した。五人の息子が跡を継ぐと、子供達同士、いとこ同士を結婚させるようにして財産の分散を防いだ。欧州最速のメッセンジャー・システムを確立し、情報はフランクフルト訛りのイディッシュ語で書かれていたため、一族外には漏洩しなかったらしい。

法則24 完璧な廷臣を演じよ
廷臣は支配者を喜ばせる小宇宙を作るべき。廷臣は上品で礼儀正しく攻撃性を隠す。
以下の法則。

① 誇示しない
② 呑気な態度(仕事中毒でなく天才を装う)
③ 諂わない(間接的に相手を褒める)
④ 態度に他とはさりげない違いを見せる
⑤ 相手によって態度を変える
⑥ 悪い知らせの使者にならない
⑦ 主人に友達のような態度を取らない
⑧ 上司を直接批判しない
⑨ 上司に頼み事をしあに
⑩ 外見や好みで冗談を言わない
⑪ 皮肉屋にならず褒め称える
⑫ 自己観察を怠らない
⑬ 感情を抑える
⑭ 時代精神に合わせる(時代遅れの恰好をしない)
⑮ 喜びの発信者になる

法則25 新しい自分を創造せよ
同一事象の繰り返しは周囲に自分を慣れさせてしまう。今までの方法論を壊してこそ興味を掻き立てる事が出来る。

法則26 自分の手を汚すな
事情が許すなら、敵に破滅を選ばせる方が良い場合がある。敵が激しく応戦するなら退路を残しておき、退却によって疲弊させる。

法則27 何かを信じたがる人間の性向を利用して、
    盲目的な崇拝者をつくれ

人間は信じたい欲求を持っている。特に変転極まりない時期は、新しい大儀が必要とされ集団を求めるようになる。

以下のステップ。

① 曖昧で単純
大きな変化を引き起こす何かを約束し、それを曖昧に主張する。聴衆は、漠然とした情報を自分が見たい夢に関連付ける。細かく説明すると約束を果たす事が期待されてしまう。
複雑と向き合う忍耐を持つ人は少数なので単純な解決策を見せる。
② 視覚と感覚を強調
自分の周囲を贅沢品で囲み、あらゆる感覚を利用して信者を幻惑する。劇場に似た設定。
③ 組織宗教の形式
信者が増えれば、儀式を用意し、階層性を作り、信望者に宗教的な肩書を与える。パワーを大きくする犠牲を信者に求め、予言者のように振る舞う。
④ 収入源を隠す
自分が金を渇望していると思わせない。収入源を偽れば、それが布施でなく理論の正しさから出た事になる。
⑤ 「我々」対「彼等」
集団が大きくなると、団結を保たなくてはならない。信望者が特権的クラブに属していると錯覚させ、架空の反対勢力を作り出して結び付きを強める。批判者は悪の走狗にしてしまう。

法則28 大胆に行動せよ
臆病は危険である。大胆が原因で犯した失敗は、さらなる大胆で帳消しにする。以下の意見。

・ライオンは怯える獲物に近付く
・大胆は恐怖を撃退し、恐怖は権威を作る
・中途半端は危険
・図太さは自分を際立たせる

誘惑される楽しみは、他人に圧倒されて自分を失い、疑いを忘れる事にある。誘惑者が躊躇うと魔法は消える。

法則29 終わりにいたるまで計画を立てよ
理性ではなく感情で動いた場合、計画は漠然として、障害にぶつかると姑息な手を打つ。具体的な目標が無ければ、勝利してもさらに欲しくなり、力を維持出来なくなる。目前の危険を過大に恐れ、遠くの危険を軽んじてしまう。

法則30 努力は人に見せるな
成果を出す仕組みを教えない。研究や研鑽を隠すと天才と思われる。

法則31 選択肢を支配せよ
   ―自分に都合のいいカードを引かせる

人間は自由が大き過ぎると不安になるため、選択肢を示す事で行動を制御出来る。人間は少しの意志の自由を手に入れる代わりに、大きな他人の意志に従っている事に気付かない。

<イヴァン四世>
1564年、イヴァン四世は国内の反体制貴族や、リトアニアに亡命して侵略を先導する亡命貴族に悩んでいた。彼は、何の説明も無しにモスクワ南部の村に隠居し、意図的にモスクワを無政府状態にした。
その上で自らに独裁権力を与えるか、内乱か選択を突き付けた。人々は強いツァーリを選んだ。

法則32 幻想に訴えよ
大衆の幻想を利用する。

とりわけ欠乏と衰退の時期には、人間は幻想に付け込まれ易い。平凡で退屈な日常や過酷な現実が幻想を加速させる。

現実社会には堅固な規律と境界があり、人間は同一の見慣れた範囲を動かなくてはならないが、幻想では新しい世界が手に入る。遠方にある世界は魅力があり、単純で問題無いように見える。

<P・T・バーナム>
親指トムというショーを成功させた。ナポレオン等の有名な指導者を諷刺する。当時の人々が求めた普通の人間こそ最高の知恵を持っているという幻想に訴えた。誠実な人間は困難いぶつからないし、幸福とする。幻想を保つために「普通の人間」をありふれたものにしてはならない。

法則33 人の摘みねじを見つけろ
どんな人間でも感情や欲求の弱点を抱えている。注意点として、本人でも制御出来ない感情は他人にも制御出来ない場合があり、こちらが与えようとしているものよりも多くを欲しがる可能性がある。

以下の原則。

① 無意識のサイン
意識の働かない些細な仕草に弱味は漏れ出る。
② 無力な子供
子供の頃の欲求は隠されているだけで継続している。子供のような行動を取る事が多い事に注意するべき。
③ 正反対
恥ずかしがり屋は褒めてもらいたい。見てくれの裏にあるものを探す。
④ 急所を見つける
集団のリーダーに気に入られるか、圧力に屈するメンバーを見つける。
⑤ 心の隙間
不安と不満を持つ人々は弱味を隠し難い。
⑥ 制御出来ない感情
状況に不釣り合いな強い感情を探す。

<カトリーヌ・ド・メディシス>
フランス皇太后として、侍女を愛人として派遣する事で貴族を操った。貴族のような高い地位の男性は女性をものにする時に、親から受け継いだ地位に頼る必要が無いと思いたがる。関係の初めに女性が口説き落とされた振りをすれば、情婦に支配されても気付かない。情熱が強いほど人間は無防備になる。

法則34 自分のやりかたで王になれ―
    王のように振る舞えば、王のように扱ってもらえる

親しみ易い見せかけを作り一般市民との距離を無くす指導者は忠誠を呼び起こす力を失う。
自分は偉業を成し遂げるという信念は外に放射される。以下の戦略。

① 自分を高く評価し大胆な要求をする
② 集団内で地位の高い人物を相手にする
③ 自分より地位の高い人物に贈り物をして対等の立場になる

法則35 タイミングをはかる技術を習得せよ
時間を掌握している事を示すために急いでいる事を見せてはならない。以下の3つの時間。

① 長い時間
辛抱強くゆったりと構えて対処すべき時間。
② 押し付けの時間
敵のタイミングを狂わせる武器として使う短い時間
③ 最後の時間
素早く計画を実行すべき時間。

法則36 手に入らないものは相手にするな。
    無視することが最大の復讐である

小さな過ちを修正しようとすると目立つようになる。ある人物に注意を払う時、二人はパートナーになる。相手の出方に合わせて動く事になる。こうなると主導権を失ってしまう。他人を認めると影響を受けてしまう。

ただし、小さい問題が破滅につながる可能性もあり、見分ける目が必要になる。

法則37 壮大なものを見せて人の目を釘づけにしろ
印象的なイメージや堂々とした仕草はパワーのオーラを生み出す。人々は感情に直接訴えるものを求めている。
イメージは、疑いが陣取る頭脳を迂回し、心を狙う。視覚を圧倒すれば強力な連想を呼び起こす事が出来る。

言葉を使用して相手を説得しようとすると、相手も言葉を使用して良く考えた結果、反対の意見を信じるようになる可能性がある。

イメージは既定事実として現れ、意図に反した解釈を抑え込む。議論を引き起こし対立を生む言葉に対し、シンボルは集団を結集させる。壮大な光景は人々を畏怖させ、不快な現実から目を逸らさせる。

法則38 考えは自由でも、行動は他人にならえ
革新的な行動は人々の劣等感を呼び覚ます。安全なのは普通になる事である。

<パウサニアス>
紀元前5世紀のスパルタ貴族。紀元前478年にペルシャに派遣され、ビザンティウムを占領したが、ペルシャ風のローブや宴会を催し、ペルシャの独裁者を気取ったため、人々の反感を買い、寺院に逃げ込んで餓死した。
異文化に心酔する事は、自国文化を蔑む事である。一つの文化が持つ規範は、数世紀に渡って共有された信念と理想を反映している。
 
習慣が最初の目的を失って抑圧的になる事は避けられない。そのような抑圧に我慢出来ない人間は、自分の価値観が優れている事を証明する義務がある。しかし、普通の人間は思考習慣を改める事に抵抗する。

オスカー・ワイルドは習慣に反抗して社会的パワーを獲得したが、やがては破滅した。

法則39 魚をつかまえるために水をかきまわせ
自分が穏やかなままで相手を怒らせた時は欺きの機会である。

怒りの反応を見せると、周囲は彼がどの程度まで怒りを抑制出来るか不安に思ったり、恨みを抱く。敵が制御出来ない感情を刺激し、主導権を握らせない。

ただし、彼我の力量差があまりに大きい場合は怒らせるべきでない。敵を前もって研究しておく。

法則40 ただ飯を軽蔑せよ
無料に用心せよ。費用を負担する事で感謝や罪悪感から無縁でいられる。贈与には相手と対等以上である事を示す特性があり、恩義を伴うものである。

<スペイン>
南米の黄金はスペイン没落の原因となった。得られた黄金は遠征のための再投資に費やされ、農業等の生産性向上に使用されなかった。簡単に手に入る物は力を減退させる。
金は循環させなくてはならず、そのためには生産性向上が必要である。

法則41 偉大な人間の靴に足を入れるな
何事も最初に行った者が一番良く見える。偉大な王国を継いだ者は、空隙を満たす必要性が無いために腐敗する事がある。

それを避けるためには、心理的に相続財産を軽視し無となる必要がある。

古代王国の多くでは、王が何年か支配した後に臣下が王を死刑にする風習があった。更新の儀式として王の権力が過大になる事を防ぐ。死んだ王は慢心する事が無いので神として扱われる。

モーセやヘラクレス等は世俗的な父親がいない。制約する父がいない事で大きな力を手に入れる。過去の幻影から逃れるのは、過去を軽んじる事である。そして、前任者とは異なる事を儀式等で象徴しなくてはならない。

法則42 羊飼いを攻撃せよ、そうすれば羊は散り散りになる
厄介毎は、大抵は一人の強力な個人に原因がある。影響力を中和するには孤立させるか追報するしか方法は無い。

トラブルが発生したら強力な個性を探し、それが混乱の発生源として孤立させるか追放する。

<陶片追放>
紀元前6世紀頃に民主化したアテネが作り出したシステム。利己主義者に暴力的でない方法で対処する。10年間アテネから追放したい人物を定期的に投票する。

一般市民に劣等感を抱かせる人物は民主主義を荒廃させる。暴力的な罰や教育は別の問題を引き起こすので追放する。

紀元前490年のマラトンの戦いでペルシャを破ったアリステイデスは紀元前482年に陶片追放されている。

その後を継いだ将軍のテミストクレスも紀元前472年に陶片追放された。

陶片追放の終りは、紀元前417年にヒュペルボロスという低級な人物を追放した事にあるとする。それまでは並外れた人物を追放していたが、道化師を追放した事で制度の価値が下がったとする。

法則43 相手の頭や心に働きかけよ
相手の感情に働き掛ける。

地位が高いほど下層階級の心の状態に合わせるように努力しなければならない。人間は誰しも愛着や帰属意識を持ちたいと願っており、そのような感情を刺激する。

そのためには最悪の事態を覚悟した捕虜に温情を与える等の衝撃が最良。簡単な方法は、何をすればどれだけ得になるかを示す事である。

誌的なメタファーやイメージも人々の心に具体的に届く。ナポレオンはゲーテを傍に置いた。

法則44 ミラー効果で敵を武装解除させ、
    あるいは激しく怒らせろ

敵の真似をする事は敵を嘲る行為であり、敵は過剰に反応する。

鏡の中に映る自分は主体ではなく客体である。自分を形成する思考も精神も無い。他人の行動を映し出す事で、相手が魂の無い物である事を示す。

同様に、相手の願望を映し出せば相手の心的防備を解く事が出来る。そのためには、相手の仕草を観察し、服装や友人の好み、習慣や何気なく喋る事から隠された欲望を分析しなくてはならない。

法則45 変革の必要性を説け、ただし一度に多くを変えるな
人間は習慣の生物であり、過激な変革には反発する。

<トマス・クロムウェル>
16世紀前半の英国において、プロテスタントを布教させるべく、ヘンリー八世がカソリックから改宗すれば愛人のアン・ブーリンと再婚出来ると説いた。

一時的には成功したが、1535年に反乱が起こる等、影響が大きかったために斬首された。習慣や儀式は人間を安心させるためにある。

<毛沢東>
共産主義を普及させるべく、革命を過去と同じものと見せた。『水滸伝』にある盗賊団の絆は儒教的な家族の絆を凌ぐ価値を説いており、革命軍を『水滸伝』の盗賊団の延長線上に描く事で共産主義を伝統的な大儀で包んだ。

政権についた後も、自らを諸葛亮に准えたり、政敵を孔子に例える等、過去の強大な力を活用した。伝統を熱心に支持する振りをすれば、実体が型破りでも気づく人間は少ない。

法則46 あまり完璧に見せてはならない
嫉妬は敵を生む。故意に欠点を見せる事で無害を装う事が出来る。完璧でも無事なのは神と死者だけである。
嫉妬心を逸らすには、大衆と同じ格好をして、同じ価値観を示し、一員になる事だ。

法則47 狙ったところを超えて進むな、
    勝ったら引きどきを心得よ

勝利の瞬間は、最大の危機の瞬間である。遠くへ進み過ぎると負かした敵よりも多くの敵を生む。
成功者は、自分に楯突く者に必要以上に敵愾心を抱くが、そのために状況に適応困難になる。勝利した時こそ、幸運が変化していないか注意し、基盤固めをするべきである。

法則48 かたちあるものなどない
明確な計画は攻撃を受け易い。生物進化の過程では、身を守る鎧によって柔軟性が無くなる事例が多々見られる。
厳格な制度や安らぎのための儀式は長期的には硬直化するか可能性がある。

無形の様式に通じるのは一人で君臨した女王達であり、女性であるために統治能力について疑念を抱かれ易く、柔軟性に富んだ統治方法を身に付けたとされる。男性のように権威主義者にはなれず、争いにおいて一方の味方をすれば感情的な愛着によるものと思われてしまう。

自分の方法に固執すると、予測され易くなってしまう。

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