社内政治の教科書

読んだ本の感想。

高城幸司著。2014年10月30日 第1刷発行。



課長職のための組織論。

政治:
自分が意図したように他人を動かす事。

第1章 社内政治は「影響力のゲーム」である
01 社内政治は避けられない「現実」である
政治は、人間が生きていくうえで必ず遭遇する現実であり、力関係を推し量る事で集団生活は営まれる。課長の仕事は「人を動かす」事であり、政治力の無い課長に仕事は出来ない。

以下が政治力の源。

①権限
組織に与えられた他人を強制的に動かす力。
②影響力
他人を自発的に動かす力。



権限には反発が伴う。影響力を生み出すには、信頼関係、相手に好かれる事、実績や専門知識が必要である。影響力には自己増殖性があり、一つの影響力が形成されると、それが別の影響力を強化する。

02 「うまく立ち回ろう」としない
場当たり的な対応は破綻する。

社内政治は長期戦であり、多少上手く立ち回ったところで見破られ信頼を失ってしまう。

信頼を勝ち取るには誠実である必要がある。信頼を貯金する。

03 「あなたは重要な存在」と伝える
人間は、他人に認められる事を渇望する。



以下は、他人に「あなたは重要な存在」と伝える方法。

①挨拶
②名前で呼びかける
③個別具体的な話題を投げ掛ける
その人ならではの話題を投げ掛ける事で、相手に関心を持っていると伝える。
④聞く
相手に正面から向き合う姿勢が重要。
⑤相談する
相手の得意分野を事前に知っておく。

褒める場合には、抽象的に褒めるのでなく、具体的な場面を織り交ぜながら褒める。相手を見ている事をアピールする。

04 まず、人に与える
返報性の原理を利用する。

相手に対して提供する事で、相手が自分に報いるようにする。多くの人間に与え、協力的なネットワークを幅広く作る事で政治力を手に入れる。

以下の注意点。

①義務感を感じさせない
過大な価値を提供すると、相手に重荷を感じさせてしまう。最初は小さな価値を提供する。
②過剰に見積もらない
人間は「利」によって動くため、返報性は相手の「利」を後押しする程度と考える。
③忘れる
返報性を返さない人間もいる。そうした人間にネガティブな感情を示さない。ただし、善意を利用する人間とは適切な距離を取るべき。

06 「私心」を「大義」に磨き上げる
多くの人間が共感出来る正義の必要性。

稲盛和夫は、第二電電(KDDI)を立ち上げる際に、自分のやる事が、本当に国民のためになる事か自問自答し、一点の曇りも無い心境に至ったところから実行に移したとする。



松下幸之助も、「業界がさらに向上発展していくために」という大義を掲げた。

しかし、「私心」は生きる原動力であり、捨てる必要は無いとする。私心を大義に昇華する。

第2章 おしゃべりに政治の巧い者はいない
06 「議論」に勝って「政治」に負ける
人間は感情の動物であり、議論に負けると相手を恨む。

議論は必ず勝ち負けが生じるゲームであり、負の感情が付き纏う。相手に相談する形式で、自尊心を擽りつつ、準備していた論理に添うように相手を誘導する方法があるとする。

誰でも自分の知見をひけらかしたい欲求があり、それを利用する。相手を言い負かす事は未熟の証明。

07 なぜ、おしゃべりは「議論」に負けるのか?
議論に勝とうとすると相手の対抗心を刺激する。相手の発言を否定する事は最悪。

議論の主導権を握ろうとする「おしゃべり」は相手に反論する材料を与えてしまう。相手に喋らせる事で感情的抵抗を削ぐ。議論は感情によって左右される。

相手に喋らせて駆け引きの材料を集め、落としどころを推し量る。

08 「情報」は社内政治の武器である
情報力を身に付けるには、明確な問題意識を持つべき。

「会社の方向性」、「自部署に重要な事」等に対する意識が明確であれば、情報の質を判断出来る。

価値の高い情報を入手するために、自部署では当たり前だが、他部署では貴重な情報を提供する方法もある。情報格差を利用する。

09 「社内ゴシップ」を巧く活用する
社内ゴシップの使用方法。

①人間関係の地雷原を避ける事が出来る
②周囲の反応を確かめる
噂話を聞く人々の反応を見る事で、噂話の主人公の評価が見える。

ゴシップとは確たる根拠も無い噂話であり、自分が話す事にはリスクがある。ゴシップ好きは、敵を増やす事もあるため、表面的な人間関係に留めるが、一応はゴシップ情報が入るルートを確保しておく。

第3章 リアリストしか生き残れない
10 社内の「パワー・バランス」をつかむ
組織は権力によって動く。その指標は以下の通り。

①人事権
②予算
③人員数

予算と人員数という顕在化している数字を把握する事で、人事権の在り処を探る事が出来る。最も観察し易いのは人事異動で、新任役員の出身部門、新規事業のポスト、出向させられた人間の部門、部長に昇進した数が多い部門、etc。

また、役員会議や社内行事に参加する事で、影響力を持つ人間を見る事が出来る。

会社の歴史、組織図の変転も重要とする。

11 社内における自分の「立ち位置」を知る
自分が周囲の人間にどのようなレッテルを貼られているか知る。

学歴、出身地、趣味、実績、経験部署等。

重用なのは、自分を課長に引き上げた支持者であり、自分を支持する人間を知る必要がある。

12 「権力者」との関係は常に不安定である
特定の権力者に依存する事は危険。

上層部は少ないポストを巡って闘争状態にある。課長職は、一般社員と触れ合う最後の時期であり、課長時代に一般社員の支持を多く得られるようにする。

13 まず、「立場の弱い人」を味方につける
「下」にも序列があり、最初は最下位の人間に意識を向ける事が支持を集めるために効果的。

立場が弱い人間は丁寧に扱われると、強く感謝する。味方が多い人間は潰され難い。

権力者も多くに慕われる人間を高く評価する。

第4章 部下を掌握する
14 部下との間に「見えない壁」をつくる
課長には、以下の矛盾する側面がある。

①会社の権力構造の末端に位置する
②一般社員で構成される現場の長

部長の直属の部下は数人の課長だが、課長は多様な個性を持つ大勢の人間と対峙しなくてはならない。

全体最適を志向する経営と、部分最適を志向する現場の間で、安易に経営批判を行ってはならない。経営からの命令に課長は逆らえず、信頼を失う原因になる。

部下の不満をモニタリングする事は大切だが、現実的な対応策を一緒に考えるスタンスを取るべき。

「自分は経営側の人間である」という建前 = 見えない壁を堅持する。

15 すべての部下を公平に「えこひいき」する
求心力のある管理職は部下を良く知っている。プロフィール、家族構成、趣味、価値観、etc。

部下を知るためには、出来れば半年に一回は部下全員と面談する機会を設ける。第三者が立ち入らない会議室等。ゆったりとした雰囲気で耳を傾ける姿勢を示す事で部下に心を開いてもらう。

面談のコツは喋らない事で、聞き8割くらいが適当。聞き出そうとはせず、素直に聞く態度をとる。

16 部下同士を競わせて「影響力」を保つ
課長は現場仕事の競争から降りて、部下同士を競わせる事で影響力を強める事が出来る。

課長の仕事は以下の3つ。

①伝える
現場情報を経営に伝え、経営の意思を部下に実行させる。
②管理
市場全体の動きを見据え、課の方針を明確化し、業務進捗を管理する。
③整備
部下が働き易い環境を整える。

上記のために現場仕事に没入せず、全体の状況を俯瞰する。

17 部下の昇格は「政治力」の試金石
最終的な人事権を持つ上司を把握しておく。

部下をアピールするために、人事権者との接触回数を増やし、さりげないPRを積み重ねる。

さらに、利害関係の無い第三者から高評価が伝わるようにする。

18 必要ならば、躊躇なく部下を切る
基本的には太陽のように振る舞うが、必要な時は罰を使う。

不満分子が専門性の高い業務をしている場合、他の人間と業務を分担させる事で、専門性の高い仕事を他の人間にも出来る仕事にしていく。

会社では全ての構成員が依存関係にあり、経験豊富な部下に対しては上司の依存度が高まる傾向がある。より多くを依存している方が立場が弱い。相手への依存度を低める事が大切。

そして、権限行使の際には一気にやり切る事が対セル。短期間にやった方が恨まれ難い。

第5章 上司を攻略する
19 「嫌いな上司」を味方につける
好き嫌いを捨て、上司を顧客と考える。

上司を変えようとせず、嘘でも良いから本人のいないところで褒める。

そして、嫌われている上司ほど、自分に頼り成果を出す部下には好感を持つはずであり、存在感を高めるために有効活用出来るかもしれない。

20 上司の絶対的な「信頼」を勝ち取る
①上司が求めている事を知る。
課長になったタイミングで、率直に上司が求めている役割や目標を確認する。

課長としての発言力を高めるには、全体最適を考慮したうえで、課の意見を主張する。

②上司を驚かせない
上司の好みを把握して、それに合わせる。細目な報告を好むか、纏めて報告される事を好むか等。事前に上司のスケジュールを把握しておく。

定例ミーティングにおいては、澎湖事項と相談事項を箇条書きにした紙を用意するが、最大でも3つまでに絞る。そして必ず選択肢を用意しておく。

定期的に報告していると、徐々に上司の監視が弛むとする。

21 上層部に「顔」を売る
2段上の上司を味方に付ける。

直属の上司に相談したうえで、手短に2段上の上司に現場の情報を伝える。プロジェクトに顔も知らない人間が任命される事は無い。現場から入る経営判断に資する情報は喜ばれるはず。

さらに、社内横断的な勉強会を行う等して連携を持っている社員は重宝される。

第6章 課長のための派閥「学」
22 「派閥」を否定してはならない
派閥は必ず生まれる。
人間は群れる生き物であり、仲間を増やして居場所を確保し、強者の庇護下に入りたいと願う。

派閥の存在を認め、それを活用するべき。



23 独裁社長のもとでの「政治戦略」
派閥の状況を以下の4つに分類する。

①無派閥
社長による絶対的独裁体制。
②健全な緊張
③排他的な関係
④敵対的

独裁体制があっても水面下では派閥的人脈があり、必ず独裁体制は崩れる。独裁社長に近付き過ぎず、水面下の派閥を把握しておく。しかし、独裁社長の引退には注意が必要であり、新社長への支持は権力移行が完全に終わってからにするべき。

24 社内政治は「等距離外交」が基本
派閥に入る場合は、自分の社内での立ち位置を把握する必要がある。

支持者を無用に刺激する派閥に入るべきでない。

そして結束の強い派閥では、身内以外の悪口が多い等、問題がある事がある。

特に、上層部を領袖とする派閥に入ると、等距離外交がd系無くなり、相手に隷属したまま自己犠牲的に過ごさなくてはならなくなる事もある。

結束の緩やかな派閥と等距離外交を築くべき。

25 「派閥抗争」を生き抜く
会社は一つの意思によって運営されるが、複数の意思が存在するため、必ず闘争が発生する。



その中で、課長は出来るだけ政争から距離を取るべき。経営方針を闘わせる上層部は政治的になるしかないが、課長は本来そのような立場に無い。

第7章 「政治」に勝つより大切なこと
26 「敵」を滅ぼす最良の方法とは?
敵のネガティブ・キャンペーンは好機でもある。

ネガティブな感情を示さず、誠実に対応する。敵を滅ぼす最良の方法は、敵を味方にする事。社内トラブルは喧嘩両成敗になる事が多い。敵対関係を深刻化させるべきでない。

以下が、政治闘争に勝つ5つの条件。

①大義の存在
②大義を果たす力を持っている
③組織の民意を得ている
④退職の覚悟がある
⑤敵の不正の事実

上記の条件が揃わなければ、政治闘争は避けた方が良い。

27 「政治」に勝つより大切なこと
政治闘争においては、自分を大切にする事が重要。

会社での出来事が頭を離れないようにならないよう、適切な休養を取るべき。

自分の生き方に納得出来ていれば、政治の勝敗は大きな問題で無くなる。

・何を成し遂げたいか
・どのような生き方がしたいか

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