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読んだ本の感想。

野崎まど著。2013年7月26日 発行。



週刊東洋経済 2016.9.17の特集『IOT発進!』で紹介されていた本。

2081年の日本 京都が舞台。

【用語】
情報材:
微細な情報素子を含む素材・建材の総称。コンクリートやプラスチック等の様々な物質に添加されている。

情報素子:
通信と情報取得の機能を有する極小サイズの物体。常に周囲の情報をモニタリングし、取得した情報を世界に流し続ける。

電子葉:
人造の脳葉。人間の情報取得、処理能力を大幅に増強する。以下の3つの機能。
 ①個人最終端通信装置
  ネットワークと通信して情報を取得する
 ②脳副処理装置
  脳外部からの膨大な情報の処理を行う
 ③啓示装置
  脳神経の状態を非接触的にモニタリング、介入する

⇒電子葉を移植される事により、見た事や聞いた事に関連する情報が自動的にネットワークで調べられ、取得された情報が選別され、啓示装置によって教えられる

⇒「最初から知っている」と「調べて知る」の境目が曖昧になる。40歳頃を境目に、若い世代は「知っている」にインターネットで調べて分かる事を含める

情報格(クラス):
電子葉普及と共に公共的に整備された階級制度。各個人の社会的貢献度等により、全ての市民は市民基本情報格1~3を振り分けられる。それにより、①取得可能な情報量、②個人情報の保護量が規定される。

情報格という格差は、意図的なソースコードの偏りによって生じている。

情報格(クラス)が高いほど多くの情報が得られ、多くの情報が守られる。

⇒生活保護を受けている人間は情報格0となり、全ての情報が覗き見られる

以下の上位クラスがある。

クラス4:
情報を扱う職種等に付与される。

クラス5:
情報庁の上級職員に付与される。

クラス6:
内閣総理大臣と各省大臣に付与される。

進々堂・京大北門前店:
昭和5年開店の喫茶店。

神護寺:
天長元年(824年)に創建された山岳寺院。

【物語世界の歴史】
2040年:
情報材の開発により、情報インフラの革新が起る。様々な情報が取得される超情報化社会の到来。

2051年:
増え続ける情報に人間の脳がついていけず、国内の総流通情報量を規制しようという法案が出される。

2053年:
初めて電子葉が人間に植え付けられる。

2066年:
日本における電子葉移植が義務化される。六歳になると全員に電子葉が付与されるようになる。

2104年:
個人の情報範囲を規定する情報制度が廃止される。国民は、全ての情報を取得し、同時に全ての個人情報を公開している。

【登場人物】
御野連レル:
内閣府情報庁情報官房付情報審議官。28歳。

三縞歌ウ:
内閣府情報庁情報官房付情報副審議官。25歳。

素月・切ル:
情報庁機密情報課職員。逆立った赤髪、六角形で蛍光イエローのサングラス。

道終・常イチ:
元京都大学知識情報学研究室教授。67歳?20代で情報材の基礎理論を作り、40代で電子葉を実用化させる。御野連レルの師。

道終・知ル:
14歳。量子コンピュータの電子葉 量子葉を付けている。

群守調エ:
情報庁次官。

有主照・問ウ:
情報通信事業の国内最大手企業アルコーンの最高経営責任者。

ミア・ブラン:
アルコーン中央技術研究所主任研究員。

日座円観:
神護寺の大僧正。81歳。

佐和宗ドウ:
神護寺の僧侶。40歳頃?

御厨:
宮内庁職員。京都御所の古い儀礼や仕来りを扱う。

Ⅰ.birth
情報審議官 御野連レルは、アルコーン社から14年前に失踪した研究員 道終・常イチの捜索に協力するよう依頼される。御野連レルは、14歳の時に京都大学APW(アルゴリズムプログラミングワークショップ)に参加し、そこで道終・常イチと出会い一週間ほど交流している。

御野連レルは、道終・常イチが書いた情報材ネットワークを規定するソースコード(基底ソース)を読む事を趣味としている。その中に、コマンドミスとして「/feel_o」と「/redo_o」の書き間違いがあると知っているが、それが意図的なものである可能性に気付く。書き間違いがある箇所を調べると、「kitamon shinshindo 10:00(北門 進々堂 十時)」の文字が浮かび上がる。

御野連レルが、10時に進々堂に行くと道終・常イチと出会う。道終・常イチは、現在の情報格による格差は全ての情報が開示される未来のために必要と語る。

道終・常イチは児童養護施設を営んでおり、世界最高の情報処理能力を持った人間として道終・知ルを紹介し、道終・常イチは自殺する。

Ⅱ.child
御野連レルは道終・知ルを引き取る事になる。彼女は高度な情報演算により他人の心を計算して知る事が出来る。

道終・知ルは4日後に誰かと出会うらしい。

翌日、道終・知ルは神護寺に向かい、住職から真言宗や密教、曼荼羅について情報を取得する。道終・知ルは他者の思考を計算出来るので僧侶の知識を全て吸収可能。

人間は「死」を知る事が出来ないため、死を永遠に恐れ続けるという意見。

その晩、情報庁機密情報課職員 素月・切ルが御野連レルに道終・知ルを引き渡すよう依頼する。アルコーン社の技術を使用した量子葉を回収する狙い。道終・知ルは量子葉の力で素月・切ルを倒す。

Ⅲ.adult
2日目、御野連レルは道終・知ルと逃亡する。

道終・知ルは京都御所に向かい、保管されていた古代史書を読む。

京都御所には電磁遮断網が張り巡らされており、量子葉は使用出来ないが、事前に関連する情報を集めておいた道終・知ルは、妨害者達の行動を全て予見出来るので、道終・知ルは止められない。

Ⅳ.aged
3日目、御野連レルと道終・知ルはアルコーン社に連れられ、京都ピラウ(大規模通信塔)に向かう。

アルコーン社は、14年かけてもう一つの量子葉を実現しており、それを最高経営責任者 有主照・問ウに三か月前に移植している。クラス9となった有主照・問ウは、三か月かけて道終・知ルの思考に追い付き、京都ピラウで出会う事の意味を理解したらしい。

量子葉を持つ道終・知ルと有主照・問ウとの会話が行われ、道終・知ルは死後の情報を得るために死ぬ。

死の生成実験:
二人のクラス9が情報をぶつけ合い、情報崩壊を引き起こして人工的に死を生み出す。

Ⅴ.death
御野連レルは情報庁を退職し、アルコーン社に勤務する事になる。

御野連レルは、道終・知ルが直接的に脳を破壊せずに、最高の情報状態で死んだ意味を考える。

epilogue
2119年10月の話。

死後の情報が広く開示されており、死は恐れる事ではなくなっているらしい。

****************

曼荼羅:
仏教美術の一つ。五感の中の視覚を用いて真理を表現する試みがあり、以下の2つがある。
①胎蔵界曼荼羅
物質的原理と客観的現象世界<理>を顕す
②金剛界曼荼羅
論理的原理と精神的世界<智>を示す

上記2つを合わせて理智であり、この世の真理、本質である。真理を知る事を密教では無上正覚 = 悟りと言う。今まで知らなかった事を知る事。真理とは全ての人間にとって新しい知識である。

悟るためには、自分が何を知らないかを知らなくてはならない。

*************

古事記や日本書紀に再編されて歪められる前の知識。出来事が起きた直後に近い状態で記された神話の記述。イザナギとイザナミのイザナは誘うの変化。二神とも人間を先に誘う神。

イザナミの別名は、道敷大神と言う。みちしきの変化とされるが、知識の変化とも捉えられる。道敷大神は、黄泉平坂でイザナギを追いかけた事からきた呼び名で、追い付いた神という意味になる。

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