スクラム

読んだ本の感想。

ジェフ・サザーランド著。2015年6月20日 初版印刷。



プロジェクト管理手法「スクラム」について。

第一章 過去のやり方は通用しない
2010年から始まったFBIの情報化プロジェクトが失敗した事により、新しいプロジェクト管理手法が必要とされた事について。

プロジェクト工程を詳細に記述し、マイルストーンや納期を明確化する手法は現実的でない。管理と予測可能性を求めると、変化に対応出来ない。

スクラムでは創造性と不確実性を前提にする。

基本的な考え方は単純で、プロジェクトの途中で自らの成果を確認する。さらに改善方法を探る。検査と適応のサイクル。

第二章 スクラムが誕生するまで
著者のキャリアについて。

米国空軍で危機管理訓練を受け、観察、情勢判断、意思決定、行動を教えられた。

その後、スタンフォード大学で統計学の収支を目指し、生物統計学の博士課程に進む。

その後、情報技術会社に就職し、ウォーターフォール式の管理手法に疑問を抱くようになる。個々人と周辺環境を絶えず連携させるシステムを人間のチームでも実現する事を目指す。

第三章 チーム
3800のチームを分析した調査では、最も能力が高いチームが一週間で出来た仕事を、最も能力が低いチームが行うと2000週間が必要だった。

日本人経営学者 野中郁次郎、竹内弘高の論文「新たな製品開発競争」では、優れたチームの特徴を以下のように纏めている。

①境界や限界を超える
高い目的意識により、卓越した領域に達する。

②主体性
自己組織的、自己管理的。仕事の進め方を自分達で決める。

③機能横断的
優れたチームは、プロジェクト完成に必要な技術を全て持っている。それぞれが支え合い強化し合う。

そして、チームには適正は大きさがあり、9人を超えるチームではプロジェクトのスピードが落ちる。

<根本的な帰属の誤り>
自分が非難される状況では問題発生の背景や全体像を考えるが、他人を非難する時には個人の欠陥を責める。

⇒他者が非難される状況でもシステムの改善を目指すべき

第四章 時間
スプリント:
決められた時間の枠。やるべき仕事を分割して、理想的には一週間~四週間で達成出来るようにする。

そして、毎日のミーティングでは以下を話す。

①スプリントを終了するために昨日した事
②スプリントを終了するために今日する事
③チームの妨げになっている事

ミーティングが15分以上かかるようなら方法が間違っている。ミーティングの目的は、スプリントの現状をチーム全員が把握する事である。

個人の進捗報告の場にするのでなく、困っている事や提案を話し合う形式にする。

第五章 無駄は罪である
スクラムの真髄は周期性にある。人間は惰性で動くものであり、リズムを求め、予測出来る範囲内に収まろうとする。そこでリズムを検証し、無駄を削る必要がある。

その一つがマルチタスクであり、同時に複数をやると能率が落ちる。

人間の脳には限界があり、真に集中出来るのは一つだけであり、物事を修正する過程は時間が経過するほど困難になる。

第六章 幻想を捨て、現実的なプランニングを
事前に全てを計画出来ない。予測不可能は必ず発生する。

スクラムでは、何らかの価値を形に出来る次のタスクに必要なだけを詳細な計画にして、プロジェクトの残りの部分は大まかな見積もりだけを出す。そして、各サイクルの最後には、目や触覚で確認出来る付加価値が作られるようにする。

著者は、人間は見積もり作業が下手であるため、他と比較して相対的に規模を把握する手法を提案する。ドッグポイントとして、プロジェクトの大きさを犬種で表現する等。タスク同士を比較する際に有効とする。

比較に数値を用いす場合、フィボナッチ数列(それぞれの数が、前の2つの数字の和となる)として、1、3、5、8、13・・・・を用いる方法がある。フィボナッチは感覚的に分かり易いらしい。

デルファイ法:
匿名のアンケートを繰り返し、誰が出した意見なのか分からない方法で討議者にフィードバックする。スクラムでは、デルファイ法では時間がかかり過ぎるとして、フィボナッチ数が書かれたカードを配り、タスクの見積もり等で匿名で意見を出せるようにしているらしい。

***************

指示を出す場合には、背景となる物語が必要になる。最初に考えるべきは登場人の役割であり、誰のための仕事であるかという点だ。次に、何を達成すべきかを考える。最後に動機付けとして登場人物がタスクを必要とする理由を考える。

第七章 幸福
プロジェクトにおける幸福の重要性。

成果を出すには、メンバーが感情面で大人であり、互いに信頼し合っている事が大切になる。

「幸福度の計測」と呼ぶ手法。スプリントが終わるごとに以下を問う。

①会社内の自分の役割。1~5で表すと何か
②会社全体についてどう感じているか(1~5で)
③そう感じる理由
④何を一つ変えれば次のスプリントで幸福を感じるか

チームメンバーを幸福にする要素は、優れたチームを作るのと同じで、①主体性、②スキルアップ、③目的意識だ。そのためには透明性が重要で秘密を作らないやり方を目指す。

そして、幸せのバブルには注意すべきで、適当な仕事に満足するのでなく、仕事のパフォーマンスと幸福度を比較し、両者に乖離があれば行動しなくてはならない。

第八章 優先順位
スクラムを取り入れる際に、最初にする作業がバックログの作成だ。最終的に何がしたいかを定め、取り組む項目をリスト化する。

そして、項目に優先順位を付け、低リスクで最大の価値を付加出来る項目から着手する。製品の価値の80%は、20%の機能に含まれる。

スクラムでは、目指すビジョンと価値の所在を把握出来る人間を「プロダクトオーナー」と呼ぶ。プロダクトオーナーは、スプリント毎に顧客要望をメンバーに伝える。

以下は、プロダクトオーナーに必要な要素。

①仕事に精通している
②決定権を行使出来る
③メンバーへの説明能力
④価値を説明出来る

優先順位は入れ替わるので、スプリント毎に状況変化を考慮する。

第九章 世界を変える
スクラムを学校や貧困対策プログラム運営等に役立てた実例について。

以下は、スクラムの実践手順。

①プロダクトオーナーを決める
プロダクトオーナーは、「何をするか」のビジョンを明確化する。そのためにリスク、利益、実現可能性、熱意を考慮する。

②チームを作る
チームはプロダクトオーナーのビジョンを理解し、それを実現する技術を全て備える。構成人数は3人~9人。

③スクラムマスターを決める
スクラムマスターは、メンバーを導き、仕事の障害を取り除く手助けをする。

④プロダクトバックログを作成する
バックログ(ビジョンを実現するために必要な作業を挙げたリスト)を作成する。バックログは、開発中、常に進化する。

⑤プロダクトバックログを整理する
タスクを実際に行う人間が、それぞれの仕事量を見積もる。そして、チームでバックログの各項目について実際に実現可能か検討する。どの項目も実際に成果物を見せられるかが重要で、仕事量の見積もりは所要時間ではなく、他と比較した相対サイズで見積もるのが良い。フィボナッチ数を推奨している。

⑥スプリント計画を立てる
一定の期間での計画を立てる。前回のスプリントで完了出来たポイント数をチームのベロシティと呼ぶ。メンバーは、スプリント毎にベロシティを上げるよう努める。

⑦仕事を見える化する
スクラムボードを作成し、完了すべき仕事を「未着手」、「作業中」、「完了」の三列に分ける。

⑧デイリースクラム
毎日、決まった時間に15分以内でミーティングを行う。

⑨スプリントレビュー
スプリントの間に達成した成果を見せる場を作る。

⑩スプリントレトロスペクティブ
前のスプリントで達成した事を発表したら、上手くいった点、もっと上手く出来た点、次のスプリントで改善出来る事を話し合う。誰かを責めるのでなく、過程に焦点を当てる。

チーム全体での改善点を決め、改善出来たかを判定する試験とともに、次のスプリントのバックログに入れる。

⑪次のスプリントの開始

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