オービタル・クラウド

読んだ本の感想。

藤井太洋著。2014年2月20日 印刷。



週刊東洋経済 2016.9.17の特集『IOT発進!』で紹介されていた本。

IOTに関連する小説ではないと思う。つまらない小説だった。

オービタル・クラウド = 軌道の雲。

2020年12月11日(金)~2020年12月16日(水)にかけて、北朝鮮の電脳ハッカーと米国や日本の軍人・技術者が戦う話。

東洋経済に書いたあったように、インターネット上であらゆる階層の人間が対等に繋がるという印象は無い。能力による序列に作者が拘っているように感じられた。

【用語】
スペース・テザー:
テザー推進理論を活用した宇宙機。磁場のある惑星の軌道上で使う推進方式。金属の紐(テザー)を360度方向に回転させ、自転する事で自由に軌道を移動出来る。無数のスペース・テザーが雲のような集合体として宇宙空間を自由に行動する。そうしたスペース・テザーの群れをオービタル・クラウド(軌道上の雲)と呼んでいる。

大跳躍:
小説世界における北朝鮮の陰謀。スペース・テザーにより、デブリ衝突に偽装した事故を増やし、人工衛星を運用している国の宇宙開発意欲を削ぐ。そして、事故を恐れる大国から人材を獲得し、北朝鮮やイラン、パキスタン、アフリカの小国が宇宙開発の本場となる事を目指す。

フールズ・ランチャー:
渋谷にあるシェアオフィス。フリーランスの起業家や技術者が集う。

TLE(二桁軌道要素):
物体の名称や軌道の傾き、運動等が二桁に纏められた形式の情報。

サフィール3:
2020年12月1日に、イランから打ち上げられた宇宙ロケット。ロケットボティの二段目は、SAFIR3 R/Bと名付けられ、地球に落下せずに高度を上げる事で注目を集める。サフィール3の近くには、4万ものスペース・テザーが飛んでいるらしい。

ASM140:
米国が開発した対衛星兵器。ホウセンカ(目標の手前2㎞で無数の弾体を叩き付ける)という攻撃手段。

【登場人物】
<フールズ・ランチャー>
木村和海:
28歳の日本人男性。流れ星の発声を予測するWebサイト「メテオ・ニュース」を運営する。脳内で宇宙での軌道計算を行う能力を持つ。

沼田明利:
23歳?の日本人女性。アフロヘア。有能なITエンジニアであるらしい。北朝鮮エージェント白石蝶羽の姪。

渡辺:
フールズ・ランチャーの古株。32歳。

仁美:
フールズ・ランチャーの英語屋。待ち受けが月額3000円、日本語翻訳が1件300円の英語サービスをする。メアリーというビジネス・ネームを名乗る。

<北朝鮮>
白石蝶羽:
元JAXA職員。長めの長髪に古い型の眼鏡。かつて技官として情報集衛星のプロジェクトに携わるが、技術職が冷遇される事に絶望し、中国や北朝鮮に居場所を求める事になる。

パク・チャンス:
北朝鮮エージェントの女性。根元を黒く染めた金髪。拷問で指の筋肉を削ぎ落とされたため、樹脂のサックを装着している。

<JAXA>
黒崎大毅:
白石蝶羽の元同僚。

関口誠(ワンチンミン):
20代半ばのキャリア。中国のスパイ。

<北米航空宇宙防衛軍(NORAD)>
クロード・リンツ大佐:
59歳。NOARDの指揮官。

ダレル・フリーマン軍曹:
インドネシア出身。市民権を得るために軍に志願している。

ブルース・カーペンター:
CIA職員。アフリカ系黒人。元は戦車乗り。

クリス・ファーガソン:
CIA職員。初老の女性。

<その他>
ロニー・スマーク:
米国の投資家。2020年12月12日(土)から、娘と共に宇宙船ワイバーンで5日間暮らし、国際宇宙ステーションとワイバーンの合体に立ち会う予定を立てる。

ジュディ・スマーク:
28歳。ロニー・スマークの娘。

オジー・カニンガム:
セーシェルに住む。アマチュア天文写真家Xマンを自称。Webサイト「セーシェル・アイ」を運営している。ロニー・スマークとは旧知の仲。大金持ちで、アマチュアながら軍用の防空レーダー等の設備を保有する。

ジャムシェド・ジャハンシャ:
テヘラン工科大学に所属。テザー推進理論提唱者。

アレフ・カディバ:
テヘラン工科大学法学部に所属。イランでインターネットが自由に使える運動をしている。

柳教授:
イランには、北朝鮮との技術交換プロジェクトで来た。冴えない風貌で信望が無い。


*************

第一部 サフィール3 R/B
イランから打ち上げられた宇宙ロケット サフィール3のロケットブースターが、地球に落下せずに高度を上げる事が注目を集める。インターネット上でイランの宇宙兵器「神の杖」と命名され、国際宇宙ステーション攻撃が噂される。

○フールズ・ランチャー
木村和海が、自身の運営しているWebサイト「メテオ・ニュース」が提供している情報が間違っているという指摘をオジー・カニンガムから電子メールで受ける。木村和海は、オジー・カニンガムの運営しているWebサイトから観測情報を収集し、解析する事で、イランから打ち上げられたサフィール3の周辺に数万もの物体が飛んでいる事に気付く。

そして、イラン人 研究者ジャムシェド・ジャハンシャは、「メテオ・ニュース」に掲載されていた観測情報から、サフィール3に自らのテザー推進理論が活用されている事に気付き、「メテオ・ニュース」に連絡する。

○北朝鮮
「神の杖」の噂を利用し、「大跳躍」プロジェクトを隠蔽しようとする。そのために以下を行う。

・インターネット上に、朝鮮語の誤訳を多くアップし、「鉄拳」 = 「鉄槌」と誤訳されるようにする。北朝鮮首領の演説が、「神の杖」を示唆していると誤認させる。
・対地軌道兵器の設計図をイラストレーターに渡し、「セーシェル・アイ」のWebサイトに本物の対地軌道兵器を模したイラストを載せる。
・Web広告を利用したシャドウ・ウェアにより、「神の杖、サフィール3、ジャムシェド・ジャハンシャ、スペース・テザー」という文字列を使用したインターネット使用者を探知するよう仕掛ける。
・サフィール3を米国人投資家が宿泊する宇宙船ワイバーンに接近させる。

「メテオ・ニュース」がテザーに気付いた事から、スパイをかける。

○JAXA
北朝鮮首領の演説が誤訳されている事を感知する。また、フールズ・ランチャーの木村和海からサフィール3周辺に多数の軌道上物体が飛んでいる事を知る。

○北米航空宇宙防衛軍
サフィール3の二段目が地球に落下せずに加速している事を探知。また、CIAが「セーシェル・アイ」に載せられている「神の杖」のイラストが本物の設計図に基づいている事に気付いた事から、対地軌道兵器への対処が始まる。

JAXAからの依頼により、木村和海、沼田明利を協力者として招く事になる。

****************

フールズ・ランチャーにて木村和海とJAXA職員が、スペース・テザーについて話し合っているところに北朝鮮スパイがやって来て、木村和海は北朝鮮対策のために北米航空宇宙防衛軍を訪れる事にする。

第二部 スペース・テザー
米国における木村和海達と、ジャムシェド・ジャハンシャと接触するためにイランに渡ったJAXA職員達の行動を描く。対北朝鮮。

北朝鮮エージェントから木村和海にかかってきた電話から、北朝鮮エージェントの逗留先を米国シアトルと見極め、ウォー・ドライビング(街を巡り、無線LANのネットワークを探るハッキング手法)を行う。

北朝鮮が、スペース・テザーにより日本の情報収集衛星と、米国人投資家が滞在している宇宙船ワイバーンの帰還船を破壊する。

一方で、木村和海は、ジャムシェド・ジャハンシャとインターネットを介して連絡し、スペース・テザーの通信方式や材料について情報を得る。

そして、スペース・テザーを地球から制御するために60万個の発信基地が必要な事から、北朝鮮がUSBケーブルを他国の会社から販売してヒット商品とし、そのUSBケーブルにスペース・テザーの基地局ソフトを含ませている事を知る。

第三部 オービタル・クラウド
スペース・テザー撃墜作戦の完遂。

沼田明利と白石蝶羽が出会う。北朝鮮エージェントとの撃ち合いで、白石蝶羽は沼田明利を庇って死ぬ。

白石蝶羽は、生きている内にジャムシェド・ジャハンシャに対して「残されたる者の大跳躍計画」をメールで知らせる。大国が知らないスペース・テザーの存在を知っており、軌道予測が可能なイランや北朝鮮が世界中から人材を集めて宇宙開発に邁進するというアイデアをジャムシェド・ジャハンシャは気に入ってしまい、白石蝶々の残したスペース・テザー制御システムを活用し計画を引き継ぐ事を決める。

白石蝶々が死んだ後もスペース・テザーが止まらないため、木村和海達はスペース・テザーの破壊方法を探る。まず、強い電磁波によりスペース・テザーの紐を焼き切る事が出来る事を知る。さらに、スペース・テザーの紐が進行方向に対して真横を向いた時に、2つある終端装置の片方は進行方向へ、もう片方は反対側に放り投げられる事を計算する。

その結果、進行方向の後ろ側に放り投げられた装置は秒速3㎞で大気圏に落下し、反対側は秒速17㎞で地球の重力を振り切って宇宙空間に飛び出すため、宇宙ゴミにならない事を予測。

スペース・テザー群の進行方向から、テザー(紐)の長さより、少しだけ短い波長の電波を放射すると、正面を向いていないスペース・テザーは電波を捉えられずに通り抜けるため、電波源に対して正面を向いたスペース・テザーを見分ける事が出来るとする。

そして、米国国防省のGPS衛星が偽の情報を発信して、スペース・テザーを誘導し、スペース・テザーを撃墜出来る施設があるセーシェルのディスヌ島に向かわせる。

作戦は成功し、撃墜されたスペース・テザーは流れ星となる。

そして、2022年のエピローグで、木村和海達が手掛けるスペース・テザーの運用会社グレート・リープ(大跳躍)にて打ち上げられる宇宙機が白石蝶羽の名前である「アゲハ」である事が語られる。

アゲハを活用して木星からヘリウム3を採取し、宇宙灯台(太陽系内測位システム)を建設し、惑星間特急システムの構築を目指すらしい。

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